第3話
魔王が武器(広辞苑)を装備した日の昼休み。俺は屋上に来ていた。
あぁ?理由?高町に弁当を拉致られたんだよ。
んで、今原作組自己紹介が終わった所。
「ふむ、八神Aに八神B、月村にバニングスにハルァ、テスタルォ、・・・失礼ですが舌が回らないのでフェイトと呼ばせて貰ってもよろしいでしょうか?」
「え?全然構わないよ。」
「と言うかなんや八神Aと八神Bって。どっちか名前で呼べばいいやんか。」
「あ、そりゃそうだ。んじゃ、八神Aとリィンフォースで。」
「私の八神Aは変わらないんかい!」
「まあその辺は冗談として、高町、何か言いたい事は?」
それに、高町がここぞとばかりに言う。
「フェイトちゃんとリィンちゃんだけずるい!私もなのはって呼んで!」
「嫌だ、面倒くさい。俺に名前で呼ばれたいなら名字を変えてくるか双子になってから出直してこい。」
そんなことを言っていると、八神が、
「そういえば西条君、自己紹介の時、声帯模写が得意って言っとったけど、やってみてくれへん?」
と言ってきた。断るとさらに面倒な事になると思い、高町の声で、
「後でO・HA・NA・SHIなの。はやてちゃん。」
と言うと、八神は震えて喋らなくなる。
「うわっ、凄ぇ威力。冗談半分だったのに。」
「私、そんな事言わないの!」
「いや、実際に言ってるからあの反応なんだろ?ほれ、他の奴もそうなってるし。」
「皆酷いの〜!!」
などと言い合っていると、
「今日も皆、一段と綺麗だね。」
等と言う、銀髪オッドアイの、転生者(バカ又はナルシ)が来た。
うわっ、面倒そうなのが来やがった。
目ぇ付けられない内に消えるか。
「おい!お前!何なのは達と話してやがる!」
う〜わ、早速目を付けられたよ。あ〜面倒くせぇ。
「しかたないだろ?弁当拉致されて連れてこられたんだから。」
「俺のなのは達がそんな事する訳ないだろ!」
あぁ、見えない所で皆吐く真似してる。よっぽど嫌われてんのね。ってか俺のって。どんだけ自分に酔ってるんだよ。
「はぁ〜、面倒くせぇ。んじゃ、俺はこの辺りでいなくなるから。皆さんごゆっくり〜。」
四人からの「行くなぁぁぁ!」という視線を華麗に無視し、屋上から出て行く。イヤイヤ、俺がそこにいた方がややこしく、さらに面倒になるっしょ。
そもそも俺ってばそんな面倒くさい事には関わらない主義なんだよ。
ナルシストな奴見てると気持ち悪くて吐きたくなるしね。
そんな事を思いながら俺は教室の机にたどり着き、寝る。
その後、授業中まで寝ていたが、高町に広辞苑を振るわれる。
そのスピードは前の三倍近くあった事をここに記しておく。
・・・ついでに避けた時、四つ程「チッ」と言う舌打ちが聞こえた事も。
・・・ほんと、何故俺はこんな奴等と関わったんだろう。
全員揃って怖すぎる。
◆
次の日、あのナルシストに絡まれた。
「てめぇ!俺のなのは達に話しかけるな!」
「いや、俺から話しかけた事なんて一度も無いし。」
「嘘付け!俺に惚れてるなのは達が、自ら話しかける訳ないだろ!」
はぁ〜面倒くせぇ。適当な事言ってさっさと終わらせよっと。
「彼奴等はお前の操り人形なのか?違うだろ?なら高町達の行動を決めるのは自分自身だ。違うか?」
「ああ、そうだ。」
「なら誰に話しかけるかも彼奴等自身。お前が〜する訳ない!と決めつける事でも無いだろ。いくら惚れてても友達位作るだろうし。」
「ああ、そうだな。」
おぉ、以外と素直。勘違いはしても馬鹿ではないのか。
「分かったのなら話しているだけで絡むな。そして俺に昼寝をさせてくれ。ただでさえ授業中(の睡眠)は常に死と隣合わせなんだから。」
そういって俺は寝る。ナルシストはとりあえず納得したのか帰っていく。
その後、授業中まで寝ていたら、またしても広辞苑が飛来する。
それをギリギリで避けた俺は思う。
・・・俺からしたらあのナルシストの方がまだ融通が効いて常識があるぞ、と。
そんな事を思う、常識の無い男であった。