小説『乙杯(・人・)戦争』
作者:神谷みこ()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

「おうっ、ありがとう。お店の手伝い頑張れよ」
「了解した。頑張る!」
おー、と元気よく右手を突き出して笑顔でまた売り出しを再開した。
「さて、と…」
今日買ってこいと言われていたサンマはちょうど美春の所で買っていけたし、あとは野菜やらなんやらを適当に買って帰るか。
俺は鼻歌交じりに、買い出しを続けるため、スーパーへと向かっていった。


後日。
「ここは…どこだっ…!」
現在地、不明。いや正確には頭では理解しているが、だがそれを納得することができないでいる。なぜならそれは…
「何度も言っているじゃない。ここは我が心霊部室よ」
「いやおかしいっすよね?!だってここ、明らかに教室じゃねーもん!!」
「…?何を言っている、きちんとここに椅子と机と台所とお風呂とトイレと液晶テレビとWiFiルータとパソコンがあるじゃない、これが教室じゃないと言えるのかしら?」
「明らかに教室じゃねーでしょっ!!なんで教室に台所とかがあるんすか?!大体こんなことしておいて学校側は黙っているんですか?!」
穂乃香は首を傾げ、少し考えたあと、
「学校の一つ程度、適当に金と『優しい』交渉をすれば済む話じゃない」
「その『優しい』がめちゃくちゃ悪に満ちてる気がするんですが?!あと先輩今金って言いましたよね?!」
「まぁ、そういうことでここが心霊部室。今後使用はしてもいいけど、夜七時以降は出ていくことね。夜ご飯の用意をしなくちゃいけないから」
「無理やりまとめた?!しかも今夜ご飯って…もうなんなんだよぉおおおおおお」
確か訊いたことがあるぞ…彼女、洲崎穂乃香は、大手企業会社社長の洲崎貴子(すざき たかこ)の社長令嬢で、その会社の売り上げは今の不況の世の中でもその勢いを弱めず高い売り上げを誇ったままでいる。その売り上げは国家資産に及ぶとかなんとか…
「あ〜もううるせぇっ!少しは黙れハエがぁっ!!」
「ひいっ?!」
先ほどまでおとなしい口調だった穂乃香に、荒れた口調で怒鳴られて俺は肩をびくつかせた。
「黙って都市伝説の一つや二つ探してこいっ!!」

-12-
Copyright ©神谷みこ All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える