小説『魔法少女リリカルなのは-神の気まぐれで転生したオレ!?-』
作者:ココアパウダーご飯()

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sideシグナム

シグナム「………」

何故か夜中に唐突に目が覚め散歩していると

ヒュン!

という何かが風を斬るような音が聞こえた

気配を消し、音の方向に向かってみると

銀臥「ふっ!」

ヒュン!

主銀臥が素振り………いや、落ちてくる葉を斬っていた

シグナム(凄い)

落ちてくる葉を斬るなんて芸当は相当の実力が無ければ出来ない

それを主は先程から連続してやっている

銀臥「…ふぅ」

構えていた剣を収め呼吸を整える主

銀臥「どうかしたのか、シグナム?」

とこちらを見て声をかけられた

気づかれていた?

シグナム「いつからお気づきに?」

銀臥「最初からだな、気配を消してる敵の居場所を知る方法なんていくらでもあるんだぞ?」

なるほど

シグナム「勉強になります」

銀臥「で、どうした?」

シグナム「ただ目が覚め、散歩をしていただけです。その時に音が聞こえたので」

銀臥「ここに来た………か」

頷きで返す

シグナム「そういう主は何故?」

疑問に思っていた

どう考えても誰もが寝ている時間だ

そんな時間に起きて一人で鍛錬している

まだこれが早朝というならわかるが、時刻は二時。とても早朝とは言えない

仕事を先程までやっていたというのもありえない

主が仕事を終えるところをこの目で確認したからだ

銀臥「………眠るのが怖かった」

主がぼそりとつぶやく

シグナム「なにか恐れる理由が?」

私の言葉を聞き目を閉じ、開いたと思うと空を見上げ

銀臥「少し………な。………悪いまだ話せない」

と辛そうな顔で言う

シグナム「では無理には聞きません。ですが少しは弱音を吐いてもいいのでは?」

銀臥「………意外だな、弱音を吐くなと言いそうなシグナムがそう言うなんて」

と驚きに満ちた顔で言われた

シグナム「弱音ばかりを吐く者ならそう言います。ですが主の弱音はあまり聞いたことがありません」

言いながら主に近づいてゆく

シグナム「我らは主の弱さを打ち明けられるほど信用できませんか?」

銀臥「………そうじゃない。………言うのがどうしようもなく怖いんだ。言えば皆俺から離れていくんじゃないかってな………」

辛そうな顔のままこちらを見る

銀臥「いつかは言おうと思っている………けど今はまだ無理だ」

シグナム「では、必ずいつか話してください。お待ちしています。では」

頭を下げ、去る

銀臥「ああ」

と言う返事が聞こえた気がした







宿舎へと帰りながら考える

主銀臥の辛そうな顔を思い出すととても辛い

どうかあの方には心の奥底から笑っていて欲しい

主銀臥が笑顔でいてくれる

それだけで私は貴方の為に戦える

シグナム「主、他の皆が離れても、私だけは貴方のお傍に居ます。貴方にどんなことがあったのだとしても私だけは絶対に。私の愛する主」

ですから、いつか貴方の重荷を私にも背負わせてください

それが私の願いです

剣の騎士は一人、誓いを胸に秘め歩いてゆく

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魔法少女リリカルなのはtype (タイプ) 2012 AUTUMN 2012年 10月号 [雑誌]
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