「え?なにこれ?ぜっと、えっくす…Zillions of enemy X…あ、ダメだ英語読めんし」
「ジリオンズオブエネミーエックス、通称【ゼクス】だよw低脳乙w」
手の中には一枚のカード、このカードは今目の前で俺を罵倒しているクソ野郎のだ
「うっせ、で、何?このカードゲームをやろうって?」
俺の目の前にいる友達が一枚のカードを眼前につき出してきた
ここは放課後の俺たち以外は誰もいない教室、それでいて一緒にいるのが幼女体型の幼馴染(彼女)かはたまた幼女体型の妹(彼女)かまたは幼女体型の女教師(彼女)かそれか幼女体型の…
〜以下略〜
だったら良かったんだけど、残念ながら一緒にいるのは幼女体型の(以下略)と比べるとどう考えても雲泥または月とスッポンの男友達だけである
なぜこんなところにいるかというと
「俺たちカードゲーム同好会(自称)だろ?新しいやつもやろうぜ?」
ということだ。
本当に自称だから教師に見つかったら即大切なカードたちがあの悪魔たちに没収されてしまうのだが、学校の近くにカードショップがないため誰もいない教室でカードゲームを興じているのだが
「それでこのZ/Xをやろうって?それはいいけど本気でやるなら金がな・・・バイトを増やすか?このZ/Xってゲームがハズレじゃなきゃいいけど…」
カードゲームにも当たり外れはあるしせっかくお金をかけたのにそのゲームが面白くないなら
「心配はいらない…こんな時のために」
「すり替えておいたのさっ!ってか?」
「じゃなくってさ、これこれ」
そう言って取り出したのは数枚の紙束だった
「フリーカードって言ってな、無料で配布されてんのよ、これでデッキ組んで一回やってみようぜ?」
「まぁ、金がかかんないならやってみっか」
そうして俺達はZ/Xをプレイした。結果は…
「うはwwwオーバードライブwwwおやすみなさいでバルバルスをスリープにおやすみなさいwww」
「ちょ、お前イグニッション引きすぎだろwwありえねぇだろjk(常識的に考えて)ww」
見事にはまってしまったのでありましたとさ・・・ちゃんちゃん
「うわ、もう最終下校かよ、もうちょいやりてぇな」
数時間で俺からこんなセリフを言わせたZ/Xはたいしたものだ
「まぁ、また明日って、明日は休みかじゃあ来週だな」
そう言って俺たちは帰り支度をする
「じゃあなまた来週」
「おう、また来週」
校門で別れを告げ、帰路を歩く中も、頭のことはZ/Xでいっぱいだった
帰ったら早速ホームページとかで設定なども見てみるかとか
そうだ、明日バイト代持ってカードショップでデッキ組むかとか
頭の中は既にZ/Xのことでいっぱいであった
俺はこんな感じの18歳の一般男子だ普通と違うところといえば少しオタクなところかな?
名前は「柏 此方(かしわぎ こなた)」という、名前のせいでオタク友達の中で色々話題になったりもしたがお大きな事件など起こした事も起きたところを見たところもない、普通のオタク
この日までは・・・
家に帰るとまず風呂に入り、置いてあったご飯を温めて食し、そして自分の部屋に入る
その際、隣の部屋がついているので姉がいることがわかったが特に話すこともない
そして、部屋に入るとまずPCを起動させる
二ヶ月分のバイト代をつぎ込んだだけあって高速起動したPCはデスクトップ画面をディスプレイに展開させた
「まずはZ/Xのことを調べるか」
誰もいない部屋にそう発すると有言実行そこからの自分はまさにZ/X漬けであった
気がついた頃には日をまたぐ寸前、そろそろ寝なければ明日に響く時間
一度ハマると設定からほとんどカードの効果読み倒してしてしまうがいつもの癖だ
「っと、マズイな、そろそろ寝るか・・・」
だが布団には直行せずに学校のカバンを開く
その中にあるのはコンビニのビニール袋であった
「くぅ、やっぱり、パックを開ける前のこの心境はいい」
あまり物事が長続きしない定評のある俺だがひとつだけここ二年間毎日欠かさずにやっていることがある
それがこの「寝る前パック開封」だ
毎日ほとんど全種類のカードパックを置いてあることで有名なコンビニでパックを一パックだけ買ってそれを開けるという至極簡単なことだ
今日買ってきたのはもちろんZ/Xのパック、第二弾「巨神の咆哮」だなぜ第二弾かというと一弾より二弾の方が出回ってる数が少ないのでカード単価が高いのではないかという大変打算的な都合である
「さて、本日は何が出ますでしょうか」
レアリティが高いものが当たるかもしれないというドキドキに新しいカードゲームであるというワクワクまでプラスされていい感じにおかしいテンションになりながらピリピリと端を破った
一枚目、二枚目とめくりながらも効果を読んでいく、そうすると
「お、最後のカード光ってんじゃんktkr(キタコレ)」
最後の六枚目をめくるとそこにあったのは…
「は、ははは、やった、最高だよ、っしゃああああああああああ」
夜中にもかかわらずつい叫んだ
その手の中にあったのはさっき調べた情報で二弾で最高のレアリティを誇るIGRの竜の巫女だった
「やっべ、今すぐ自慢だろこれは」
気持ち悪いぐらいニヤニヤしながらスカイプのカードゲーム同好会の枠に文字を打ち込む
コナタ<竜の巫女、一パックで入手ドヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
同志1<ハァ?夢乙、夜中だからって寝ながらキーボード打つなよ
同志2<あれ、どんな確率だと思ってるんだよ、ははは(震え声
コナタ<証拠画像→◇
<(´-`)どやぁ
同志1<氏ね
同志2<氏ね
同志3<氏ね
コナタ<はぁ・・・もう何時間でも見てられるわぁ、しかも幼女っぽいしktkr
同志2<さっさとネレ
コナタ<「汝、この世界を護ってはくれまいか」ってこのカードフレーバーもいいわぁ
そう書き込んでもう一度カードを見るそこに変化はあった
なんにも変哲もないが特に不満もないこの世界
その世界から柏 此方という人物を決定的に確定的に絶対的に切り離す変化が
「は?なんだこれ」
ちょっとした変化に過ぎないのにそれは異様な存在感を誇っている
IGRで最高クラスのレアリティの竜の巫女
その光輝く箔押しの文字
汝、この世界を護ってはくれまいか?
その文字のすぐ横に現れた変化の塊それは
フレーバーと同じ金箔の文字で書かれている
柏 此方
現実的にありえない、たとえプリントミスでもこれはありえない
自分の名前がカードに入っている
「おいちょ、これ」
意味が分からずもういっかいスカイプに文字を打ち込もうとする
が
「はぁ?フリーズか?嘘だろ?」
変化は続く、文字の次はコンピューターだった
「お・・・が・ら・れ・・・もの・」
スピーカーから流れてくるとぎれとぎれの声
「な、なんだよっ、なんなんだよっこれっ」
パソコンは全く操作を受け付けることはなくHDD音と声だけが響き渡る
ディスプレイはただ煌々と白い光を発し続ける
「あわ・る・・い、わら・はお・しにはなし・あるのだ」
だんだん明確に鳴り始める声
そこで混乱が頂点に達した
「うわっ、うわあああああああああああああ」
咄嗟に手にかけたのはコンセント
「待てっ、人の話を聞かぬかっ!」
明瞭になった声は明らかに少女のものだ
「え?」
その声に気が惹かれるが時すでに遅し
ブチッ
コンセントが抜けるそして画面がブラックアウトした
黒い画面を見つめるがそこに変化は現れない電源が切れた普通の画面だ
「な、なんだったんだよ、今の、ウイルスか?」
同様を隠せないままに画面に触れてみるが
「なっ!?」
突如画面の黒が部屋いっぱいに広がった
黒、黒、黒、黒、黒、黒黒黒黒黒黒黒黒黒■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
目に広がるのは漆黒、光を全く感じ取れない、本当に目を開いているのかさえわからない黒だった
そして急速に頭の中を何かが暴れまわるような頭痛が襲う
それは現れたのと同じく急速に収まるとともに柏 此方の意識を奪っていった
これが、始まりだった