小説『フリースクール奮闘記(短編)『完結』』
作者:下宮 夜新()

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 古奥理事長の話には親の気持ちが多く含まれているので、不登校の子どもの両親も興味津津に話を聞き続けていた。
「ただ、どうしてもお子さんの親として、その考えは許容しづらいというのがあったらこういう言い方をしてみてください。『それは〜だからこう思う。お前[お子さんの名前]の考えと違うところが多いけどこういう考え方もあるんだよ』 今のようにお子さんの考えに一定以上の共感をしてから私はこういう考え方をすると教えてあげるといいでしょう。こんなささいなことから一家の平穏を取り戻せるかもしれませんしね」

 都内シューレ代表の古奥理事長は質問に答えるだけでなく、自然体でアドバイスを織りまぜている。それを見て利道は、こうありたいと思う古奥理事長の姿に早く追いつきたいという意欲を燃やすのであった。
「古奥理事長、私の呼びかけに答えて頂きましてありがとうございました。それでは最後に僕からイジメについて語らせてもらうとします」
 
 利道が次のテーマについて語った。
「イジメは度が過ぎれば犯罪です。本当にイジメられっ子はいつまでもイジメられっぱなしなら学校に行く意味はあるのかをテーマに進めていきます。いつお子さんに何があるかわからない現代だからこそ僕の話を聞いてください」
 
 ひどいイジメを受けた経験を利道は持っている。 だからこそ見学会に参加中の親の方達に対して最もな意見を伝えることができるのだ。
「僕から伝えたいことはみなさんにイジメにあった子どもを追いつめたりする行為はしないでほしいということです。私が子ども時代の経験も含めてですがやられたらやり返せ的な指導は逆効果です」
 
 ここで利道は一息入れる。
「後はイジメッ子側の気持ちを考えたいと思う方もいらっしゃるとは思いますが特殊なケースを除いては問題外です。どんな理由があったにせよ、その行為は完全にイジメっ子の逃避的行動でしかありませんし、イジメられっ子の人格などを否定する権利はないと言い切れるのですから」
 

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