小説『フリースクール奮闘記(短編)『完結』』
作者:下宮 夜新()

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 利道が公共機関の許しも得て、アンケート調査をした結果、年配者には厳しい意見が多かった。彼はつねづねそんな社会を変革したいと思っている人物なのである。
(もっと多くの人に価値観を変えて欲しい)
 そんな考えの持ち主、彼の名前は近藤利道。二十三歳。職業はフリーター、今は屋外の軽作業という仕事をしている。そして彼は仕事後に家の部屋に入るとふと思うことがある。学歴なんて意味のない産物だと。本当ならやりがいのある仕事をしているはずだった。子どもに関係する仕事で辛さより楽しさが上な仕事を天職として一生やっていることを夢見ていたのである。
 
 彼はツメが甘いせいかどんなバイトの面接でも不採用、そんなのばかりであった。 
彼は自分なりの自己分析を終えてつぶやく。
「原因は多分こうだろう。熱意が足りなかったり、相手に自分のことを印象づけられる決定的なことがないからだろうな」
 そんな人生に迷いまくりな彼だが、フリースクールという主に不登校や引きこもり経験者が通っている場所でボランティアをさせてもらっていた。利道はここの子ども達が元気を取り戻していくのを見つつ、この子ども達は心に巣食う大きな闇と戦っている最中なんだなと感じていた。
(ボランティアをやらせてもらった日から約半年、やっぱりこの仕事をしてみたい)
 
 半年間子ども達を見てきた利道だが、このフリースクールという居場所を自分でも設立して責任持って運営してみたいとも思うようになっていた。
(とにかく今はお金を稼がないとな)
 彼は叶えたい夢のために屋外の軽作業という仕事を続けていた。しかし、夢を叶えたい一心で精神力を振り絞ってきたが体力的に相当厳しい状態に追いつめられていた。歯を食いしばって続けていたがもう限界だった。


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