小説『フリースクール奮闘記(短編)『完結』』
作者:下宮 夜新()

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「ご足労いただきまして非常に恐縮です。私がまず重要だと思っていることは地域の方にもこの居場所を認められる空間=場所にしていくことだと考えています」
 彼はお茶を用意しつつ自分の考えを述べると、フリースクール創始者の古奥理事長から的確な返答がなされる。

「いろんな子どもたちがいるから心遣いとしては正解ですよ子どもたちと共に地域の人達の考え方を変えさせることも出来はするけど難しいですからね。まずはチラシの作成配布とパソコンホームページの設立をしてみたらどうかしら?」
「パソコンとか今はないですね。あった方が便利ですか?」
 彼の質問には古奥理事長から予想通りの返答をもらった。
「早く持った方がいいわね、最近はインターネット検索で調べている方達も多いから」
 
彼はフリースクールを熟知している創始者の助言に従い、お金もあるので一部をパソコンの購入費にした。だが利道はつい一〜二年前の機種を専門店特価で購入してしまう。彼の昔からの貧乏性なタチは治らないようである。
 
フリースクール創始者からの話を肝に命じつつ、利道はフリースクール開設の準備をしようと思っていた。彼は想像よりも地域や家族の反発が少なかったことに肩すかしをさせられたかのような気持ちになったが、それだけ期待されているのだと思うことにして期待を裏切らないようにしようという思いがあふれた。
 そんなこんなで新しいフリースクールとして注目を浴びながらのスタートとなるのだった。

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