小説『ハイスクールD×D〜魔乖術師は何を見る?〜』
作者:ロキ()

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俺が近づくと、もう天龍に攻撃を放った5人がいた。もはや肩で息をしている点から見ても、戦えるようなコンディションじゃない。


「なっ!?まだ戦えるというの?」
赤『我等二天龍を嘗めるな!』


やっぱりか。少なく見積もっても、あいつら全回復した今の俺よりちょっと下ぐらいか。厄介な連中だな!


「ちょいと待てや!!」
赤『来たか。さあ貴様の力を今一度、我等に見せてみよ!』
「上等だ!その前に傷を抉るがな!【ストリームフィールド】」


俺の周りに666の悪魔、もといナイフが顕現した。そしてそれを縦横無尽に動かし、【裏切りの女神】でつけた傷に刺した。痛いだろうな。


白『き、貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!』
「わめくんじゃねぇよ、クソドラゴン!!」


さっきよりも魔力が溢れてくる!一体何でだ?


零『どうやらストリームフィールドに魔力吸収が入ってるみたいだな』


それはあの2体から俺が魔力を奪ってるって事ですか?


龍『その通り。でも、本来そんな能力は無かったと思うけど…』
「そうですか…。って危な!!」


いきなり飛んできた尻尾を回避したついでに、鱗を攻撃すると簡単に破壊できた。


「はっはっは!脆すぎるだろ!?掃射してやるよ。【黙示録に記されし皇帝|(ネロ・アポカリュプス)】」


ストリームフィールドを集結させ、目の前に存在する全てを食い散らかす。これこそが666の悪魔を使った必殺技【黙示録に記されし皇帝】だ。


白『グォォォォォォッ!この程度で嘗めるでないわ!!』


あ〜あ、弾かれちまったか。まあ、別に構わないけどな?


「来い!【うたまる&アルキメデス】!」


俺の両手には2丁の白黒の拳銃が出現させた。俺はそれで魔力を弾丸として撃ちまくった。勿論、鱗で弾かれまくったけど。


赤『フハハハハッ!!その程度か、小僧!!』
「吼えるなよ。もう下準備は完了した。後は調理するだけだ」
白『ほざくな、小僧!!たかが人の身で我等に抗うとは笑止!』
「じゃあ…お前らの命、ここで狩ってやるよ」


全てはこの為の布石にすぎない。俺は腕を交差させ、【うたまる&アルキメデス】に凄まじい量の魔力を込めた。


白『な、何だと!?』


空中にはさっきまで撃っていた白黒の魔弾が浮いていた。そして俺の魔弾に呼応し始めた。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!【福音の魔弾|(ヴァイス・シュヴアルツ)】【正邪必滅の流星群|(シュトゥルム・クロイツ)】!!」


2つの銃口から放たれた魔弾は一度止まり、そして一気に加速し交わった。そして空中に浮いていた魔弾も流星群のごとく降り注いだ。



赤・白『ガァァァァアアアァァァァッ!!』



「これで死んでくれたら楽なんだが…そう簡単にはいかないか」


満身創痍といった状況ではあったものの、いまだに闘志が衰えていない。どうしたものか…。


【BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!】

【Transfer!!】


「何だと!?」


 こいつ、自分の力を底上げして白い方に上昇分の半分を譲渡しやがった。


赤『我等を見くびるなよ、小僧!我々天龍が人間風情に負ける訳にいくものか!』
白『伊達や酔狂で力の権化たる天龍を名乗っている訳ではないことを教えてやろう!!』


これは結構ピンチだな…。なんて考えていた俺の処に勝利の女神がやってきた。


「駄目じゃないか。ちゃんと相手と自分の力量の差を分からせてあげないと」
「桜さん!もう大丈夫なんですか!?」
「うん♪大丈夫だよ。それにしても結構ピンチっぽいね?」
「ええ…一体だけならなんとかなるんですけど、2体同時となるとちょっと…ですね?」
「怒ってないから、そこまで焦らなくても良いよ?」


まったく信用出来ない。この人が怒ったらどうなるか知っている身としては、心配しすぎてもしすぎとは思えない。


「もう、疑い深いなぁ。そんなに師匠が心配なの?」
「桜さんよりも、相対した相手の方がよっぽど心配です。それに、俺なんかに心配されて嬉しいんですか?」
「そういうのがデリカシーがないって言われる要因なんだよ?」
「そうですか?」
「そうなの。まあ、今回は僕が協力してあげる。僕が白い方をやるから、赤い方はよろしくね?」
「はい!」


桜さんが協力してくれるなら百人力どころか万人力だぜ!!ぶっちゃけあの人が膝をついた所を一回も見たことがない。


「悪いが指名されたんでな。お前の相手はこの俺だ!赤い龍帝さんよぉ!」
赤『フハハハハハハッ!!面白い!実に面白いぞ、小僧!我が名はドライグ!力の塊と称される我が力、とくと見るがいい!』
「お前こそ面白すぎるわ!我が名は明人|(ライト)。明人・シュトレンベルグだ!テメェに格の違いって奴を教えてやる!!」


俺は【雷光を打ち砕くもの|(イルアン・クライベル)】に持ち替えると、ドッグファイトを開始した。殴っては吹き飛ばされ、吹き飛ばされてはぶっ飛ばしたり。


「中々しぶといじゃねぇか…。次の一撃で最後の攻撃かな?」
赤『フッ。貴様、人間にしては強いな。だがそれもここまでだ!!』



−−−−【九つの世界|(ノートゥング)】

【BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!】

【Dragon Driver!!】



「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!【総てを超越せし九つの雷光(トール・ハンマー・フルアクセス)】!!!!」


【雷光を打ち砕くもの】で九つの雷光の槍を作り上げ、魔力の密度を上げていく。赤い龍帝さん、いやドライグも口の中で魔力の密度を上げ、ほぼ同時に放ち衝突する。


それはまるで刀で鍔ぜり合う侍のように、一進一退の攻防が続いた。その結末は−−−−引き分けだった。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

〜桜side〜

どうやらあっちは勝負がついたみたいだね。僕もこっちに集中しよう。


白『その程度か小娘!』
「そんな訳ないじゃないか。あっちの勝負が終わるのを待っていただけさ」
白『ふん!負け惜しみを!』
「ハァッ!!」
白『なんだと!?』


何を驚いているんだろう?ただ、魔力を斬った(・・・・・・)だけなのに。


白『魔力を斬る、だと…?小娘、貴様一体何をした!?』
「何って…魔力を斬っただけ。それ以外に言いようがないよ」
白『馬鹿な!?魔力を斬るなど出来る筈がない!!』
「出来るよ?魔力の流れを見切れれば、だけどね?」
白『…なるほど。貴様は油断ならんな。魔力の流れを見切るなど、如何なる剣豪にも出来はしないだろう』
「そうかな?お祖父ちゃんもできたからなぁ。分からないや」
白『あの男は出来ないのか?』
「出来るけど…明人君は突きでしか消せないから、君達相手には使わないんだと思う」


球形というか、独立した魔力じゃないと消せない。ここは修行の必要あり、だね。



白『二天龍の片割れであり白龍皇と称される我が名はアルビオン!』
「絶端流剣術免許皆伝、絶端桜。推して参る」



そこから5分間、僕らは戦い続けた。僕にとっては小手調べの意味合いが強かった。相手であるアルビオンは結構必死だったけど。


白『くっ!ちょこまかとよく動くな!』


どうやらさっきまでの明人君との戦闘が体に応えているらしい。ふむ、彼も遊んでいた訳ではないみたいだね。後で褒めておこうっと♪


「龍断ち・霧隠れ」


龍を斬る事を前提に作られた技だ。まあ、作ったのは僕なんだけど。この技は斬閃を見極め、龍の肉を深く斬る。龍はその堅い鱗とその強さが由縁に痛みに対して耐性がない、という訳だ。


白『グォォォォォッ!!だが!それがどうした!』
「へぇ…それは予想外だったな。大抵の龍はここでのたうち回ってるのに。君は強いね」


でもまあ、僕もここで負けてあげる訳にはいかないんだよね!


「これで終わりだよ。天地神明破乖剣(てんちしんめいはかいけん)


やったことはただ軽く剣を突き刺しただけ。でも、威力は関係ない。この技で重要なのは、相手の溜め込んでいる力だからね。


白『グォォォォォォッ!?こ、小娘貴様一体何をした!?』
「これが剣士の至る境地の技。『天地神明破乖剣|(てんちしんめいはかいけん)』だよ。この技は相手を龍脈に見立てた技だよ。ただ少し突くだけで体に溜め込んだ力を爆発させる」


剣士ならある段階までいけば、その境地に至る事ができる。その先もあると言えばある。でもそれはここで語る必要はないだろう。


白『この程度でやられるものか!!』
「っ!?」


自力で天地神明破乖剣を打ち破るなんて…。なんて強引な事をするんだ。


「まさか自力で放出される力を循環させるとはね」
白『この程度も出来ずに天龍を名乗れるものか…!』
「その意志はご立派だけど、君はそれ以上戦えないね。疲労が限界でしょ?」


事実、これ以上彼は戦えないだろう。疲労、肉体のダメージ両方とも限界を迎えているだろう。


白『ふっ。貴様の言うとおりだ。最後に訊こう。貴様の名は?』
「さっき言ったけど?」
白『もう一度教えてくれ。頼む』
「…しょうがないなぁ。これで最後だよ?−−−−私の名前は桜。絶端流剣術免許皆伝の絶端(たちばな)|桜|(さくら)だよ」
白『そう、か…』


あらら、寝ちゃったよ。でもまあ、今は…。



「お休みなさい。今はゆっくりと寝なよ」


-3-
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