小説『黒子のバスケ〜創造者〜』
作者:蒼炎(小説家になろう)

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*俺らの思い1*

―――月曜日。
「フッフッフ。待っていたぞ!!」
と、屋上で1年の前にリコが仁王立ちで立っていた。


「……アホなのか?」 「決闘?」 「あははッ、ここってやっぱおもしれ―!!」
そんなリコに1年は戸惑っていた。(1名を除き)


「つーか、忘れてたけど月曜って…あと5分で朝礼じゃねーか!!」
火神はそう怒鳴る。


「オラ、とっとと受け取…「その前に1つ言っておく事があるわ。去年キャプテンに監督頼まれた時約束したの。全国目指してガチでバスケをやること!!もし覚悟がなければ同好会もあるからそっちへどうぞ!!」…は?」
リコが言った事に対し火神は呆ける。代わりに楓が、


「カントクー。そんなん…「あんたらが強いのは知ってるわ。けどそんなことより大切な事を確認したいの。どんだけまじめに練習をやっても‘いつか’だの‘できれば’だのじゃいつまでも弱小だからね。具体的かつ高い目標と、それを必ず達成しようとする意志が欲しいの。」…へぇ。(やっぱここにきて正解だったな。)」
リコが言っていることを理解し、楓は目を細める。さらにリコが続ける。


「んで今!!学年とクラス!名前!今年の目標を宣言してもらいます!さらに出来なかった時は、ここから今度は全裸で好きなコに告ってもらいます!」
と、とんでもない事を言う。


「「「「ええ〜〜!!!!!」」」」
1年は驚愕する。もちろん、1名は笑っていたが。


「はぁ!?そんなの聞いてね―!」
「いや、勧誘の時言ってた…!!」
「けど、まさかここまで…!?」
「どうしよう、てかマジ!?」
1年達がざわめく。


「さっきも言ったけど、具体的で相当なハードルの目標でね。‘一回戦突破’とか‘頑張る’はやり直しね。」
そんな1年を見てにやりと笑うリコ。


「そんなのヨユーじゃねーかよ。テストにもなんねー。」
「こんな面白い事よく考えましたねー!じゃ、遠慮なくやらせて貰います!ま、かがやんがやってからか。」
と、火神と楓が前に出る。火神がフェンスの上に立ち、


「1-B 5番!火神大我!!『キセキの世代』を倒して日本一になる!!」
「っ!?」
屋上から声が聞こえてみんなが見る。それに構わず、楓もフェンスに乗り移る。


「1-B 12番!白瀬楓!!『キセキの世代』を倒して、笑わせて、もう一度みんなでプレイする!!」



「びっくりしたー」
「ナニアレ?」
「よくやるー」
(うっわ、やっぱ今年もやったよ。)
下の生徒がざわざわと騒ぎ、バスケ部2年はそう思う。


「次はー?早くしないと先生来ちゃうよー。」
と、リコは静かな1年にそう発破をかける。


(って、あれー?黒子君もだめ?)
とか思っていると、


「すいません。僕、声張るの苦手なんで拡声器使ってもいいですか?」
いつの間にか拡声器を手にしてリコの隣の黒子が立っていた。


「わぁっ!?(びっくりするわ、コレ。)…イイケド。」
そう許可を貰い、黒子が言おうとすると、


「こらー!!またおまえらか!」
「あら、今年は早い!?」
そんな騒動があり、黒子はしゃべる事なく事態は収束していった。








―――――――――夜
「ったく。ちょっと大声出したぐらいであんな怒るかよ。」
火神は1人そんな事をつぶやく。


「未遂だったのに僕も怒られました…。」
否。1人ではなく、前に黒子がいた。


「ブフォッ!?(またかよ!?…店変えよ―かな……。)」
火神は本気でそう思い始めた。


「あと、困ったことになりました。」
「ほんとだよ…ってああ!?なに?」
悩んでいる所にそう言われ反応を間違えた火神。


「いきなり約束を果たせそうにないです。」
「は?」
「なんかあれから屋上に厳戒態勢をしかれたらしくて…。入部出来なかったらどうしましょう…。」
「それはねーだろ…。」
そんな黒子を呆れたように見る。


「……それより1つ気になってる事があるんだけどよ。」
真剣な表情で黒子を見る。


「そもそもオマエも幻の六人目なんて呼ばれているくらいだろ。なんで他の5人みてーに名の知れた強豪校にいかねーんだ。オマエがバスケやるには…なんか理由あんじゃねーの?」


「……僕のいた中学校は強かったんですけど」


「知ってるよ(怒)」


「そこには唯一の理念がありました。それは、勝つ事が全て。けど、―――」







―――――――――その頃
「わざわざ悪いわね。」  「全然構わないっすよ。」
楓を呼び出し、リコは言う。

「ちょっと聞きたいんだけど、あなた達『キセキの世代』の“幻の六人目”と“創造者”で合ってるわよね?」


「さすがにあんなプレイしたら分かりますよねぇ…。そうですよ、合ってます。ただ、自分から名乗った覚えはないんですけどね…。」
楓は頭をかきつつ、苦笑いをする。


「で、それがどうかしたんですか?それを確認したいだけなら帰らせて貰いますけど…」
と、楓はそこまで言い、帰ろうとする。


「ちょっ、ちょっと待って!!本題はここからなんだけど。……言っちゃなんだけど、なんでウチに来たの?他の『キセキの世代』は強豪校に言ったって聞いてるんだけど…。」
リコは真剣な目で楓を見、そう尋ねる。それに対する楓の返答は、


「皆知ってる通り帝光中は強かった。けど、」












「―――そこにあったのはチームワークなどではなく、ただ『キセキの世代』が圧倒的個人技を行使するだけのバスケット。それが最強だった。けど、もはやそこに’チーム’はなかった。」
そう言い、黒子は一息つく。


「5人は肯定してたけど僕には…。何か大切なものが欠落してる気がしたんです。」
「…で、なんだよ。そうじゃない、おまえのバスケで『キセキの世代』倒しでもすんのか?」
話を聞いた火神はそう尋ねる。


「そう思ってたんですけど…」
「おもってたんかい!」
「それよりもこの学校で僕は、君と先輩、そして白瀬君の言葉にシビれた。…白瀬君の思いは前に知ってたんですけど、改めて聞いて僕もそう思いました。今僕がバスケをやる一番の理由は、このチームを日本一にしたいからです。」


「……オマエよくそんな恥ずかしいセリフばっか言えんな!」
と顔をそらしつつ言う。


「てか、どっちにしろ『キセキの世代』は全員ぶっ倒すしな。あと、‘したい’じゃねーよ。日本一にすんだよ!」
そう火神は締めくくる。黒子はそんな火神を不思議そうに見つめた。










――――翌日の朝。
ザワザワ。
「なんだ、騒がしいな…。…………ハッ。」
火神は教室に来てそう思ったが、窓からグラウンドを見て疑問が解ける。



           日本一にします。



そうデカデカと書いてあった。

「面白いからこれもアリ、かな!」
それを見たリコはそんな事をつぶやいた。


ちなみに残りの部員は屋上宣言を当然禁止され、部活活動時間の声だしとしてやり15人→6人と絞られた。あと、名前を書き忘れた彼(黒子)の校庭文字は謎のミステリーサークルとして、誠凛高校七不思議の1つとなった。

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