*バスケは楽しまなきゃ損でしょ?*
「なぁ、白瀬ホントにこっちに来ないのかよ。オマエぐらいだぜ、俺とやりあえんのはよ。それに、オマエが二軍にいちゃ自主練ぐらいしかワンオンできねーじゃん。」
青峰は不満そうに言う。
「いいの、言ったろ?今は他の奴らを鍛えんのが楽しいの。それにワンオンならほとんど毎日してるじゃん。」
白瀬は笑いながら答える。
「でもよー。」
青峰がなおも言おうとするが、一人の男がさえぎる。
「諦めるのだよ。その言い合いなら前もしただろう?」「お、みどやん。げんきー?」
「みどやんは止めるのだよ、白瀬。で、そっちはどうなのだよ?」
「お、聞きたい聞きたい?最近ね、二軍の横谷のプレイスタイルが確立したとこなんだよ。」
白瀬は満足そうに笑う。
「フン、相変わらずのようだな。しかし、何度聞いてもお前の行動は理解できないのだよ。おとなしく一軍に来て己を磨いたほうがいいはずなのだよ。」
緑間は呆れつつもそう言う。
「えー、自分磨きならこっちでもできるし。それに、今はみんなとスキルアップしてたほうが楽しくね?あと、いろんなプレイ見たほうが俺はイイのが思いつくし。」
「なら、一軍のほうがいいだろ!」
ここぞとばかりに青峰が迫る。
「ちっちっち。そりゃ違うぜ青っち。確かに一軍のほうがスキルアップは早いだろうが、プレイスタイルは完成されているから、見ててつまらないんだよ。俺は変わったプレイを見たいの。だって、そのほうが見てる側としては楽しいジャン。」
「その意見は本当に理解できないのだよ。我が帝光中の理念は勝利だ。楽しさなど二の次でいいだろう?」
緑間は不愉快なものでも見たかのような目で白瀬を見る。
「はぁ…。なーんで分かんないかなぁ。バスケは楽しんでやんなきゃ損でしょ?だからここはつまんないんだよなぁ。ま、いいか。そのうちわかる日が来んだろ。じゃ、俺そろそろ行くわ。まったな―。」
「オイ!せめて、俺とワンオンしていけよ!…ったく。あんなのが俺らより上とは信じらんねーぜ。」
青峰は頭をかきつつ、そんなことを呟く。
「だが、事実なのだよ。現に青峰は一度も勝っていないだろう?」
「そりゃ、そーだけどよ。」
「まぁ、勝てないのも仕方ないだろう。なにせあいつのプレイスタイルはすぐ変わるからな。あれでは読めるはずがないのだよ。」
そんなことを喋りつつ、彼らは去っていく。このあと、青峰をはじめとして次々と才能が開花し、彼らの関係が崩れるとは知らないまま。