小説『ファミリー』
作者:zebiaps(ZEBIAPS小説)

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

次の日、愛里は普通に学校へ登校した。
学校では、聖弥の父が逮捕されたという話題でもちきりになっており、クラスでは聖弥はもう安全だね、と皆が言っていた。
愛里も皆の意見と同じく、聖弥が安全だと思っていたので、すでに登校していた翔大と美奈に
「聖弥助かったんだよね!」
と話しかけた。
愛里の心の中では聖弥が安全になったことを確認したいという気持ちが強かった。
翔大はそんな愛里の問いに対し
「当ったり前じゃん!」
と答えた。
「だよね? 本当にそうだよね?」
「おう!」
美奈はただ頷いただけだったが、今の愛里にはそれで充分な答えだった。
「良かったーー」
愛里はホッと息をついた。
「聖弥、早く学校に来るといいな」
「そうだね。先生も鬱状態だし・・・」
「自分を責めすぎかもな。実際は聖弥自身の家族のせいなのに」
「うん。でも、聖弥が戻ってきたら治るはず!」
「そうだな!」
愛里はなんだか聖弥がすぐ戻ってくるような気がして、心がはずんでいた。

警察署で、突然電話が鳴った。
「プルルルルル」
「小林さん、電話です」
そう言って部下が受話器を持ってきた。
小林は何だろうと思いながらも電話に出た。
「もしもし、小林です」
「あ、小林さん? 今、被害者の木村聖弥さんが刺されるところを目撃した女性から連絡がありました。私が聞いても分からないので、小林さん、直接会ってもらえます?」
「目撃者!? わ、分かりました!」
小林は驚いた。
「その目撃者は、彼が入院していた病院の看護婦だそうです。彼女は今、その病院にいるとのことですので、よろしくお願いします」
「分かりました! 今からその病院へ行ってきます!」
小林は電話を切ると、急いで聖弥が入院していた病院へと向かった。

-25-
Copyright ©zebiaps All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える