小説『ファミリー』
作者:zebiaps(ZEBIAPS小説)

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「くそ! 何であいつは死なないのよ! 止めを刺してやる!」
美奈は病院へと走っていた。
具合悪いなんて嘘だ。
今までのは全て演技だ。
全ては聖弥が悪いのだ。
私に話しかけるから!!!

「小林さん、大沢美奈の写真、持ってきました!」
部下が部屋の中に入ってきて、小林にその写真を渡した。
「ありがとう! じゃあ、これから目撃者に確認を取るために病院に行ってくる!」
小林は警察署を飛び出した。

病院へと着いた小林は、早速目撃者である看護婦を呼び出した。
「何かあったんですか?」
看護婦は息を切らしている小林を不思議に思い、尋ねた。
「この写真の人は聖弥君を刺していた人ですよね?」
小林は写真を取り出した。
「そうです! 見つけたんですか?」
「ええ! 彼女は今、時間帯的に学校にいるはずです。これから捕まえてきます!」
小林は急いで学校へ向かった。
その時、小林はすれ違いになった美奈に気づかなかった。

『皆どうしてんのかなー。会いたいなー』
聖弥は愛里、美奈、翔大の三人の顔を思い浮かべた。
前は毎日のように会っていたが、入院するようになってから、全然会わなくなった。
家族に会えないのはありがたいが、三人に会えないのは寂しさがこみ上げてくる。
『早く怪我が治ればな・・・』
聖弥は迫りくる危険を知る由もなく、ただそんなことを考えながらベッドに横たわるのだった。

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