小説『ファミリー』
作者:zebiaps(ZEBIAPS小説)

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美奈が小林に連れていかれてから、数時間後。
愛里と翔大が病室に来た。
聖弥は、警察に美奈が逮捕されたことと、美奈が今までしてきたことを全て話した。
二人は複雑な表情を浮かべていた。
翔大は「そうか・・・」と呟き、腕組みをして黙り込んだ。
愛里も驚きとショックとが混ざり合っているようで、じっとどこかを見つめているようだった。
そんな状況の中、最初に口を開いたのは聖弥だった。
「なあ、皆。美奈のことどう思う? 俺は、美奈の心も元に戻ったことだし、許してもいいと思う」
「・・・聖弥はいいの? 一番被害を受けたのは聖弥だよ? 聖弥がいいなら私も許してもいいけど、私が聖弥なら許すのに時間がかかるかもしれない。私は聖弥みたいに心が強いわけじゃないから」
「俺も愛里と同じ気持ちだ。聖弥、本当にいいのか?」
「ああ。俺がどんなに痛めつけられようと、美奈の心が元に戻ったんだ。結果、良かったじゃないか」
「途中経過が良くないけどな・・・」
「うん・・・。ちょっと酷すぎるよね・・・」
「それにしても、美奈が言ってた[あの男]の存在がどうも気になる。一体、美奈に何をしたんだ。トラウマを植えつけるって、相当だよな・・・」
聖弥は少し顔をしかめた。
「話によると、美奈はその男のせいでおかしくなったんだろ?」
「ああ」
「何したんだろうね・・・。ねえ、皆。美奈の前では[あの男]の話するのやめない?トラウマを引っ張り出すことになるしさ」
「そうだな」
「俺たちもこの件について触れるのはよそう」
「うん。じゃあ、聖弥、私たち帰るね」
「あ、もうこんな時間か。じゃ、聖弥、また明日な!」
「おう! じゃーな!」
愛里と翔大は病室を出ていった。

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