その日は、全ての授業がオリエンテーションだったので、特に苦ではなかった。
美奈は家に帰ると
「今日は友達が出来た。西原漲君という名前の男子。上手くやっていけるか心配だけど、仲良く接したいと思う。授業はやだなー」
と日記をつけた。
家族にも「友達出来たんだー」と話した。
家族はかなり感心した様子で「おー、早いな」と、言っていた。
美奈は上機嫌で風呂に入り、充電済みのミュージックプレイヤーで音楽を聞きながら寝るのだった。
目が覚めた時には気持ちが高ぶっていた。
オリエンテーションも終わり、授業が始まるのは少し嫌ではあったが、何よりも友達に会う、作るということが楽しみで仕方がなかった。
そういう意味では学校が楽しみだと言えるかもしれない。
美奈は素早く学校の準備を済ませ、日常でやっている朝食、洗顔をやると、いつもより早めに家を出た。
教室に入ると、また瑞穂と漲の二人が仲良く話していた。
美奈は二人のもとへ行こうと思い、席に鞄を置くと、いきなり周りの男子が集まってきた。
「美奈ちゃんだよね?」
そのうちの一人がいきなり馴れ馴れしく「美奈ちゃん」と言ったことに少し腹が立ったが、美奈は「はい」とだけ言っておいた。
「可愛いよねー」
「俺と付き合わない?」
軽々しくそんなことを言う男子に、美奈はかなり腹が立った。
「断ります!!」
美奈はそう言うと、男子達をかき分け、瑞穂と漲のもとへと向かった。
後ろで「ああいう美奈ちゃんも可愛い」と言う声が聞こえてきたが、あえて無視した。
「いきなり何なのよ・・・」
美奈は二人に愚痴を洩らした。
美奈達のやりとりを見ていた瑞穂は
「ああいう人達には関わりたくないね」
と言った。
漲も同意したのか、首を縦に動かした。
「あーあ・・・。クラスにはあんな男子がいるのか・・・」
美奈は少し憂鬱な顔になった。