小説『ファミリー』
作者:zebiaps(ZEBIAPS小説)

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

内心ではイライラしていても、感情には出さないように授業を受けた美奈は、休み時間に再び漲と瑞穂のもとへ行こうとした。
しかし、行手を妨げられた。
今度は女子達が群がってきたのだ。
男子達はニヤニヤしながらこちらを見ている。
「美奈ちゃん、小学校の時彼氏いたでしょ?」
初対面だと言えるほど、面識がないのに、友達のように話しかけてくる。
「い、いや・・・」
「え?うそーー!その顔で?アハハハハ!!」
その一人の女子の発言で、クラス中が笑いに包まれた。
唯一笑っていないのは漲と瑞穂だけだ。
どの方向を見ても、皆がゲラゲラ笑っている。
『どうして?どうしてなの?私は何もしてないよ?』
美奈は、その雰囲気に耐えられなくなり、教室を出た。
「あ、美奈・・・」
自分を呼び止める漲の声が聞こえたが、戻りたくなかったので、聞こえなかったことにした。
教室を出ても、ゲラゲラ笑っている声は廊下に響いているのだった。

帰る時には、すっかり気分が沈んでいた。
あんなに楽しみにしていた学校が、一瞬にして面白くなくなった。
学校に行きたくないとも思えるほどだ。
『何であんな連中しかいないのよ・・・』
美奈は込み上げてくる怒りを抑え、家に帰った。
日記には
「学校って面白くない!」
と書いておいた。
親からの学校についての問いかけも、心配かけないように楽しかったという話を適当に作り、自分の気持ちを誤魔化した。
「明日が嫌だな・・・」
美奈は、そう呟くと毛布にくるまった。

-39-
Copyright ©zebiaps All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える