小説『ファミリー』
作者:zebiaps(ZEBIAPS小説)

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

この日の日記は、ただ「頑張ろう」とだけ書いた。
だが、この「頑張ろう」という決意は、数週間後には曖昧なものになっていた。
今までは、美奈を見て笑ったり、周りに集まって気を悪くさせるような言葉を言ったりなどの「嫌がらせ」だけで済んでいたのだが、今度は「いじめ」へと発展していた。

決意をしてから数週間後のある日のことだった。
美奈はいつも通り学校へ登校すると、上靴を取り出し、外靴を下駄箱にしまうと、何気ない動作で履こうとした。
その時だった。
「キャッ!!」
突然痛みが足の裏を襲った。
見ると、靴下に画鋲が刺さっていた。
『痛ったーー。何なのよ・・・本当に・・・』
美奈は画鋲を仕掛けた誰かを激しく憎むと、即座に抜いた。
そして、それを思い切り投げ捨てた。
『もう!! 嫌だ!』
美奈は再び靴を履くと、不機嫌な様子で教室へと入っていった。

教室に入ると、そこには驚きの光景があった。
自分の机の上に、白い泡が沢山浮いていたのだ。
美奈はすぐに唾だと分かった。
美奈の怒りはついに爆発した。
「誰!!! 私の机に大量の唾を吐いたり、私の靴に画鋲を入れたりした人は!!!」
美奈はそう言って周りを見回した。
漲と瑞穂以外は全員薄ら笑いを浮かべてこっちを見ていた。
美奈はその様子に更に腹が立ち、窓側に干してある雑巾を手に取ると、自分の机に投げ捨て
「やった犯人はそれで拭きなさいよ!!」
と言った。
だが、誰もが身動き一つ取らず、相変わらず薄ら笑いを浮かべているだけだった。
その様子を見ていた漲と瑞穂は
「手伝うよ」
と言って、何枚かの雑巾を手にすると、美奈の机を拭き始めた。
美奈も『最悪・・・』と思いながらも自分の机を拭くのだった。

-42-
Copyright ©zebiaps All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える