小説『ファミリー』
作者:zebiaps(ZEBIAPS小説)

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いじめは更に深刻なものになった。
机を屋上まで持っていかれたり、チョークの粉がついた雑巾を顔につけられたり、机の中に蜘蛛を沢山入れられたりなど、数えきれないほどの辛いいじめを受けた。
だが、それでも美奈は漲と瑞穂を支えにして、家族に心配をかけないために、頑張って耐えた。
そんな日々が続いたある日の休日、美奈は瑞穂に呼び出され、近くの公園へと向かった。
公園に辿り着くと、美奈はすぐに瑞穂を見つけた。
「ミッズー!!」
「美奈・・・ごめんね、辛いはずなのに」
「いや、大丈夫だよ。だって、ミッズーと漲に支えられてるもん」
「でも・・・」
「大丈夫! で、今日は何? こんなところに呼び出して」
「ちょっと、相談があるんだ。私、漲のことが好きみたいで・・・」
「ああ、優しいもんね。しかも、あんなクラスの中じゃ、一際かっこよく見えるよ」
「うん・・・。それでさ、明日告白しようと思うんだ」
「おー! それで、何の相談?」
「告白の方法がよく分からなくて・・・」
「んー・・・。手段としては、直接伝える、電話で伝える、手紙で伝えるってとこだよね」
「私は直接伝えたい! ・・・けど、言葉が思いつかないんだ」
「何て言えばいいか分からないってこと?」
「そう・・・」
「んー、女の子なんだし、『好きです』って普通に伝えても可愛らしくて良いんじゃない? このことに関しては、結局は自分の言葉になるんだから、アドバイスって言っても難しいし」
「でも、『好きです』じゃあ、シンプルすぎない?」
「そんなことないって。想いが伝わればそれで充分だよ」
「そう? よし! 何か勇気が湧いてきた! ありがとう!! 明日頑張るよ」
「うん! 頑張ってね! ミッズーなら上手くいくって!」
「ありがとう!」
瑞穂は美奈の言葉で元気が出たのか、走って帰っていった。
そして、翌日。
美奈は瑞穂から「付き合ってくれるって!」という嬉しい知らせを受けたのだった。

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