小説『ファミリー』
作者:zebiaps(ZEBIAPS小説)

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

インターネットの見知らぬ男性に勇気づけられても、辛いことは変わらない。
結局はいじめを受け、嫌な想いをして、沈んだ気持ちで家に帰るのである。
そんな日々がまた続いていった。
だが、ある日から美奈が学校へ行く理由が少し変わっていった。
『私って何が原因でいじめられているのだろう』
そう思った日から「いじめに耐えるため」ではなく「いじめられる原因を見つけるため」に変わったのだ。
まず美奈が最初に思ったことは、顔やスタイルなどの見た目のことだった。
美奈は鏡を見てみた。
いじめからのストレスのせいか、目の下に隈が出来てはいるが、顔の形が崩れているわけでもない。
スタイルも、太っているわけでもなければ、痩せすぎているわけでもない。
胸もそこそこある。
元々、小学生の頃は結構モテるほうだった美奈は、いじめの原因は見た目ではないと判断した。
次に、性格ではないかと判断した。
だが、瞬時にそれはないと否定した。
なぜなら、性格が悪いなら友達なんか出来るはずもないし、モテるはずもない。
その他に考えられる理由は気分的にとしか考えられなかった。
『気分的にだとしたら酷すぎるよね・・・。やっぱり原因を探さなきゃダメかな』
後にこの出来事が自分自身を狂わせることになるとは思いもしなかった・・・。

美奈は、いじめの原因を探ろうと決心した次の日から、積極的に話しかけるようになった。
しかし、そう簡単に答えを言う人はいなかった。
「ねえ、私の話聞いてよ」
「やだね。何でお前の言うことに耳を傾けなきゃいけないんだよ」
「お願いだから!」
「無理だね」
「ねえ、質問したいことがあるんだけど・・・」
「うるせえよ。黙れよ」
「ねえ、少しだけでいいから私の話を・・・」
「消えろ。キモい。ツバぶっかけられたいのか?」
繰り返される質問の拒否、無視。
それでもめげずに頑張り、ある男子から一つの答えをもらった。
「ねえ、訊きたいことがあるんだけど」
「何だ? 早めに終わらせるなら聞いてやるよ」
「本当!? やっと聞いてくれる人に巡り会えた・・・。じゃあ、早速だけど、私がいじめられてる原因って何?」
そう訊いた瞬間、彼は少し顔をしかめた。
「悪いけど、それは言えねえ」
「な、何で?」
「いや・・・」
「訳があるんでしょ? 顔とか、性格とか・・・」
「・・・くそ、離れそうにねえな。じゃあこれだけは言ってやるよ。顔とか性格の問題じゃねえ。お前自身に問題があるんだよ! お前のせいで全てが変わってしまったんだ・・・」
彼はそう言うと、足早にどこかへ行ってしまった。
美奈は、彼の重々しい一言に異変を感じると共に、新たな疑問を抱くのだった。

-47-
Copyright ©zebiaps All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える