小説『ファミリー』
作者:zebiaps(ZEBIAPS小説)

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その後も沢山の人に同じ質問をしたが、答えてくれる人は誰もいず、いつものように軽いいじめを受けた後、家に帰った。
そして、 自分の部屋に戻り、ベットに横になると唯一質問に答えてくれた彼の言葉を思い出した。
『私のせい・・・』
考えても分かるはずがないのに、なぜか考えてしまう。
自分のせいだとなると、ますます理由が気になり、居ても立っても居られなくなる。
『何なんだろ・・・』
もし、自分のせいだとして、何が考えられるのだろうか。
美奈はそれを考え始めた。
『私のせいでいじめが起こるんなら、考えられるのは・・・やっぱり見た目かな? 他は・・・恨みとか・・・。でも、私は過去に何か問題を起こした覚えもないし、告白されても断ってきたから・・・それかも! いや、クラスにそんな人はいないし、そこまでいじめを強制させる権限があるとも思えないな・・・』
結局、美奈はこの悩みを寝るまで考えたが、答えは出ず、朝を迎えることになった。

次の日から、美奈は質問を「ガムあげるから」や「お菓子あげるから」などの条件つきにして、答えてくれる確率を上げようとした。
その試みは意外と成功し、答えようとしてくれる人は増えたが、良い回答は貰えなかった。
なぜ原因を言ってくれないのか。
それは謎に満ちていたが、帰りぎわに質問した人の答えで少しだけ真相に近づこうとしていた。
「ねえ、ガムあげるから私の質問に答えてくれない?」
「あぁ? ガム? 何の?」
「これ」
「おお!! これか! めっちゃ美味いんだよな。で、何の質問?」
「私がいじめられる原因って分かる?」
「・・・それは言いたくねえな・・・」
「何で?」
「何でって言われても・・・。くそ、ガムは欲しい! ・・・どうしても知りてえんなら、朝早く学校に来るんだな。そうすれば分かる。いいか、六時ぐらいに来るんだぞ」
「六時? 何でそんな早く・・・」
「俺は言いたくないんだ。どうしても知りてえんなら、その時間帯に学校に行け。はい、答えたからガムね」
「はい」
『六時・・・いったい、何があるんだろう』
美奈はこの日、真相を知るために、目覚まし時計を五時にセットして寝たのだった。

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