小説『ファミリー』
作者:zebiaps(ZEBIAPS小説)

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家出中で無論、学校に来ていない翔大は一人で公園にいた。
『あんなに最悪な親のところになんか二度と帰りたくねえ!』
翔大は固く決心していた。
聖弥のことが心配だったが、愛里と美奈がついてるから大丈夫だと思っていた。
二人とも自分と同じ状況になりつつあるとは知らずに・・・。

聖弥達の間の混乱のきっかけとなった聖弥の父、木村は今、愛里家に電話するところだった。
電話をかけると、すぐに愛里の母、中村が電話にでた。
「もしもし、中村ですが」
「あ、もしもし? 木村です。実は、少し注意してほしいことがありまして・・・」
「え? 何ですか?」
「実は、私の息子の聖弥が昨日の晩に、私に包丁を向けてきたんですよ」
「それは危ないですね」
「ええ。そこで相談なんですが、愛里さんにこう伝えてほしいのです。聖弥は危険だから近づかないほうがよいと」
「分かりました。しかし、そちらにも何か原因があったのではないですか?」
「いえいえ、とんでもない。おそらく介助に対してのストレスが溜まっていたのでしょう。じゃあ、よろしくお願いします」
「はい」
その電話によって、中村は聖弥の精神状態ならあり得ると思い、木村の話をあっさり信じ込んでしまった。
『愛里、大丈夫かしら・・・?』
中村は本当ならばいらない心配をし始めるのだった。

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