「……………………。」
「…………。」
暴走族系の男が一番最初に口を開いた。
「い……いきてるのか?」
「やったね、お兄ちゃん」
「あ……あぁ」
なんだこのシュールな光景は。
俺と心音を含む4人でつくられた四角形の中心にぬいぐるみがぐったりと倒れていた。
「爆弾じゃなかったのか……」
この男……ほんとに爆弾だと思っていたのか、このぬいぐるみを。
心音は格好をつけるように手を腰につけた。
「手加減してあげたっ!」
爆弾に手加減とかあるのかよ。
「爆発しないような仕組みになってるの、そのぬいぐるみ」
それは爆弾とはいわないぞ。
「助けてくださったのですかっ!」
おいなんだこの男、見た目とのギャップがありすぎるぞ。
「あまりにも怯えていたから助けてあげたっ」
だから心音、なんでお前はそんな堂々としてるんだ。
堂々とする理由がないだろう。
「それは本当に助かりました! もうあんなことは致しません!」
「あんた、何やったんだよ」
「お兄ちゃんがあたし乗せてバイクで走ってたら、目の前に建物が見えてきて ぶつかるっ って思ったら、案の定ぶつかっちゃったの。で、その建物っていうのが今あたし達がいるここって訳、ね、お兄ちゃん?」
「うむ、その通りだ」
「なるほど、えっとじゃあここにいる理由ってのは心音に謝りにきたって訳か?」
「そうだよー?」
いい人達だなー!
「え、そうだったの? 」
心音、お前自身は何も気づいてなかったのかっ!!
「てっきり、えぬなんとかけー とかいう受信料とりにくる人が来たのかと思ってた」
まずあいつらの見た目からして違うぞ心音っ!!
「ほんとすんません! 心音さん 今度何か持ってきます! それで許してください!」
「う、うむよかろう!あ……できればクッキーがいい」
「分かりました心音さんっ!」
いつから心音とこの男の間にこんな上下関係が生まれたんだよ。
あの後あの兄妹はすぐに帰った。
「ところで心音、なんであんな偉そうにしてたんだ?」
「舎弟ができたから!」
「しゃ……舎弟!?」
「うん。こういうの舎弟っていうんでしょ? テレビで言ってた」
な……なるほど。 また奇妙な関係ができたなぁ……。