小説『ニートな少女の活動記録』
作者:しゃいねす()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

 心音はとてとての玄関に向かって走っていった。
 そして玄関にたどり着くと、覗き窓から外を覗いた。

「ふぇっ!」

 心音が驚いて垂直に飛び上がる。
 そして着地するとき失敗して、足を絡ませてその場でこけてしまった。

「痛いぃ……。」

 何をやってるんだこいつは。
 何故驚いたのかを確かめるべく覗き窓を覗いたら、確かに何か黒いものがいた。
 良く見ると人の目だ。

 今、玄関を挟んで俺と逆の位置にいるやつは何をやっているんだ。
 そっちから見える訳ないだろ。

 心音の代わりに俺がお客を出迎えることにした。
 玄関の鍵を開けドアを開けると直後に、

「すみませんっ! 遅れましたっ!」

 と元気な声が聞こえた。
 そいつは、さっき心音の家に来る途中で会った女性徒だった。ほら無銭飲食がどうとか言っていたやつだ。

「さっき商店街で会ったよな?」

「え、え、誰ですか??」

 今さっき会ったばかりなのにもう忘れたのか!

「あ、それよりラーメンどうぞ!すみません遅れてしまって……あっ!! 」

 彼女は、注文したかも良く分からない出前のラーメンを持ったまま足を滑らせた。
 ということは、彼女の持っていたラーメンはどうなるか ということになるのだが……。

「ああぁぁ!!ごめんなさいごめんなさいっ!!」

 案の定、目の前にいた俺が被害にあった。

「あぁ……シャワー浴びてくるわ、そこでちょっと待ってて」

「うぅぅ……すみません!」

 シャワーを浴びて戻ってくると玄関に彼女の姿はなかった。
 既に靴を脱いで家に上がっているようだ。
 心音の部屋の中を覗くとそこに彼女はいた。
 彼女は自分の膝に心音を乗せて、動物と戯れているかのように頭をなでている。

「心音ちゃんかわいいーーっ!」

「うわぁっ……やめろぉーーっ! 悠、助けてーっ!」

 なにをやってるんだお前達は。

-3-
Copyright ©しゃいねす All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える