心音はとてとての玄関に向かって走っていった。
そして玄関にたどり着くと、覗き窓から外を覗いた。
「ふぇっ!」
心音が驚いて垂直に飛び上がる。
そして着地するとき失敗して、足を絡ませてその場でこけてしまった。
「痛いぃ……。」
何をやってるんだこいつは。
何故驚いたのかを確かめるべく覗き窓を覗いたら、確かに何か黒いものがいた。
良く見ると人の目だ。
今、玄関を挟んで俺と逆の位置にいるやつは何をやっているんだ。
そっちから見える訳ないだろ。
心音の代わりに俺がお客を出迎えることにした。
玄関の鍵を開けドアを開けると直後に、
「すみませんっ! 遅れましたっ!」
と元気な声が聞こえた。
そいつは、さっき心音の家に来る途中で会った女性徒だった。ほら無銭飲食がどうとか言っていたやつだ。
「さっき商店街で会ったよな?」
「え、え、誰ですか??」
今さっき会ったばかりなのにもう忘れたのか!
「あ、それよりラーメンどうぞ!すみません遅れてしまって……あっ!! 」
彼女は、注文したかも良く分からない出前のラーメンを持ったまま足を滑らせた。
ということは、彼女の持っていたラーメンはどうなるか ということになるのだが……。
「ああぁぁ!!ごめんなさいごめんなさいっ!!」
案の定、目の前にいた俺が被害にあった。
「あぁ……シャワー浴びてくるわ、そこでちょっと待ってて」
「うぅぅ……すみません!」
シャワーを浴びて戻ってくると玄関に彼女の姿はなかった。
既に靴を脱いで家に上がっているようだ。
心音の部屋の中を覗くとそこに彼女はいた。
彼女は自分の膝に心音を乗せて、動物と戯れているかのように頭をなでている。
「心音ちゃんかわいいーーっ!」
「うわぁっ……やめろぉーーっ! 悠、助けてーっ!」
なにをやってるんだお前達は。