しばらくして花火が打ちあがる。
なんで花火?
俺の隣で座っている心音にたずねる。
「知らないの?悠。今日は秋祭りだよ、ほら」
心音は、秋祭りと大々的にかかれたチラシを渡してきた。
記憶を辿ってみると、このチラシ見たことある。
龍人隊のアジトに潜入したときにポケットに入ってたんだ。
つい最近のことなのにすごく懐かしい。
「秋祭りといえば、町内のみんなで集まって楽しむ祭り 」
突然饒舌に語りだす心音。
「そうだな」
「そしてここは秋祭りの会場」
「ほんとだ……そうだな、ん?」
「ということはここにいるSHADOWは」
「まさか、町内の一般人!?」
「そうそう」
「でもあれ!? さっき見た限りごつくて若い男ばっかりだった気がするが……」
「あれは先頭にヴィンテージヘブンをおいただけ」
心音はにやにやしながら笑いかけてくる。
「つまり……SHADOWの制服を着せたヴィンテージヘブンの面々を表にして、その後ろにイベントがあることを知っている町民がさっきの状況をイベントだと勘違いして続々と集まってきただけって……訳か!? 」
「ふふふ……そう!」
そんな状況だったのか、あれは。何が起こったのかようやく理解できた……。
「病気的に天才でしょ!わたし! 」
「さっき自分で気持ち悪いでしょとか言ってなかったか?」
「でも、悠は自分で『俺はッ、お前のすべてを肯定してみせる!』とかなんとかいってなかったっけ?」
「あ、あぁそういえば、そうだったな……あはは」
「悠……ふふふ……恥ずかしいセリフッ! 録音してやればよかった! 」
「やめろぉ!俺の黒歴史になる!」
久しぶりの会話。これが幸せだと改めて確認する。