小説『SUMMER WARS 24<TWENTY FOUR>』
作者:ダイちゃん()

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A.D.2010――――
 仮想世界OZを占拠したラブマシーンは、その自らのアルゴリズムに従い情報と経験を無尽蔵に吸収していった。憧れの先輩であった篠原夏希と共に長野の陣内家へと訪れた小磯健二は、陣内栄との邂逅を果たす。
 ラブマシーンを生み出した陣内侘助との出会いや栄の死去。探査衛星あらわしの落下が迫る中、小磯健二はラブマシーンとの戦いに勝利する事が出来た。
 この夏、小磯健二と篠原夏希は、恋人同士となった始まりの夏だった。


A.D.2012――――
 小磯健二は東京大学へと入学する事になる。夏希と過ごす日常とテロ対策特殊機捜隊との非日常。それでも日々は過ぎてゆき、小磯健二の神経はゆっくりと……だが確実に磨り減って行った。親友であり学友の佐久間敬やかつての同級生達。自分や夏希の両親や陣内家の皆との交わりの中で、健二は自分の存在意義を見出してゆく。
 篠原夏希と共に暮らす様になったのはこの年の話。
 二人の生活は、まだまだ始まったばかりだった。


A.D.2013――――
 暮らしの安定は小磯健二と篠原夏希に日常の充足を与える。健二は数学者としての頭角を表してゆく事になるが、その表情は穏やかさを増していった。
 佐久間と始めたソフト開発において画期的な経理ソフトの開発に成功した健二と佐久間は、そう少なくない額の金を手にする事が出来たのだった。アルバイトをしながらの慎ましい暮らしに若干のゆとりを持たせる事が出来た健二には、先に広がる未来は波高し、されど晴天なり。と言った感じだった事だろう。
 この年の八月一日。陣内栄の霊前には、自分達の結婚を報告する、小磯健二と小磯夏希の姿が在った。



 そして――――――



――A.D.2015.7.30――10:00:00――


 これは、二千十五年七月三十日午前十時から、翌三十一日午前十時の間におきた出来事である。
 

 今、最悪の一日が始まろうとしていた。

-2-
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