小説『鏡の中の僕に、花束を・・・』
作者:mz(mz箱)

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“なんだ?”
奴は考えていた。悩んでいた。頭をなでられるのも、確かに気持ちいい。しかし、今の感覚はそれ以上に思えた。やわらかい唇と掌。似て非なるものだ。
どちらがいいかと聞かれたら、唇の方が良かった。

この間ダメだったから、どうするべきかと鏡の中で考え続けていた。鏡の外に介入し続けるには、それなりに力を必要とするのだ。
次に介入する時、何を得たいのか考えた。
“したい。”
さっきの行動を指し示す言葉を、奴はまだ知らない。だから、したいと言う願望だけ口ずさんだ。

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