小説『鏡の中の僕に、花束を・・・』
作者:mz(mz箱)

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本能が加速したのは、僕だけではない。奴もだ。
たまたま、彼女の淹れたお茶に僕の姿が映っていたのだ。
「う、うう・・・。」
まだ、外に出るだけの力を蓄えてはいない。それでも、どれだけ苦痛を伴っても、外へ出たいと思わせるものだった。だから、無理矢理手を伸ばした。
まず、人差し指が出た。お茶に小さな波紋が出来る。次は中指。ここまでで、かなりの痛みだ。
「はあぁぁ。」
冷たい鏡の世界では味わえない身を焼かれる感覚。奴は耐えていた。
次に一気に手首まで出した。もがき苦しむ。左右に振った。その勢いで、お茶が入っていたカップがテーブルから落ちた。

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