小説『魔法科高校の劣等生 〜不完全に完成した最強の魔法師〜』
作者:國靜 繋()

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 いろいろと忙しかったその日の夜、風呂から上がりさて寝るかなと思った時、見計らったかの様に滅多な事が無い限り鳴る事の無い携帯が、なったのである。

 「絶対面倒な事だろうな〜」とぼやきつつも携帯を手に取った。

 ディスプレイに表示される電話の主は、『四葉本家』と表示されていた。

 それを見て、「自分には拒否権はないだろうな〜」と深いため息を吐きつつも電話に出た。

 『夜分遅くに申し訳ありません龍弥様。葉山ですけどもお時間は、宜しいでしょうか』

 「大丈夫ですよ。しかし、態々電話を掛けて来るなんて、何か問題でも起こりましたか?」

 『いえ、今のところは問題は御座いません。しかし、御耳に入れておかなければいけない案件が一つ御座いまして、それでお電話を差し上げた次第で御座います』

 今のところはか、という事は、後々大変な事に為るだろう事は明白である。

 「それで、自分が動かざる負えない事に為る可能性はあるのですか?」

 ここは、重要な事である。

 もし龍弥自らが動かないといけない事となると、それこそ四葉家の中でもレベルの高い問題になる。

 『龍弥様自ら動く程の事では御座いません。この案件は、達也殿が”自主的に”解決していただけると思われます』

 「なら何故態々電話をなされたのですか?」

 『念には念をと真夜様が仰られましたので、ご連絡を差し上げたのでございます』

 「母がですか」

 『はい。案件と致しましては、ブランシュの動きがここ最近活発化しておりまして、その事について伝えておきたい事がございまして』

 「自分と深雪には、何も問題ないですよね?」

 自分だけならさして問題はない。

 しかし深雪に何かあろうものなら、それこそ国が一つ否、龍弥の魔法は使い方を誤れば世界さえ滅ぼしかねない代物だ。

 もしそれを使用したなら被害は”甚大”と言う言葉では収まりきれないだろう。

 『先ほども申しました通り、達也様が解決していただけると思いますが、念の為に監視をとのことでございます』

 「分かりました。母にもそう伝えてください」

 『畏まりました。それともう一件御座いまして、今の処は問題と言う程では御座いませんが、大亜連合に不穏な動きがございますくれぐれもご注意ください』

 「分かりました」

 『では、失礼いたします』

 ふ〜と一つため息を吐きベットに寝転がった。

 また面倒な事に為るなと思考する中、襲い掛かってくる睡魔に身を委ね眠ることにした。

-8-
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