小説『真剣で源氏に恋しなさい!S』
作者:maruhoge()

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九鬼極東本部地下三階鍛練場に三つの影が走る。


一人は黒い髪をポニーテールに結び、刀を持った少女。

一人は腰には酒瓶をぶら下げ、手には錫杖を持った少女。






「っく!! 弁慶、前後から挟み撃ちするぞ」


「はいよ。んじゃ、義経は陽動をお願いね」



義経は弁慶に小さく呟く。弁慶はそれに頷き、錫杖を構える。





この二人、『武士道プラン』と呼ばれる九鬼の計画で生まれた『源義経』と『武蔵坊弁慶』のクローンである。性格などの細かい所は違いはすれど、魂はきちんと偉人のソレを継いでいる。

勿論、武も智も『源義経』『武蔵坊弁慶』そのものである。



そんな二人に相対するのは比較的高身長の少年。

ふらふらと重心を移動させ、まるで幽鬼の様だとは弁慶の談。



「二人と・も、来ない・の?」



低く透き通った声と共に、少年が腰に差していた刀を抜き放つ。

鍔の無いその刀は黒漆の鞘とは対照的に、神々しいまでの白銀の光を放っている。



「なら……行かせてもらう!!」



義経が距離を一気に詰め、袈裟に刀を一振り。

少年はそれをギリギリで避け、義経に蹴りを入れる。

義経もそれを間一髪で受け止める。



「弁慶、今だ!!」


「応ともさ」



待ってましたとばかりに弁慶の錫杖による剛撃が振り下ろされる。


轟音を響かせ、地面を砕いて土煙を上げる程の一撃。普通ならばここで終了なのだが弁慶と義経の連携攻撃は止まらない。


弁慶が剛撃を放てば、義経がその間を埋めるように神速の剣撃を繰り出す。




「はぁぁぁぁ!!」


「せやっ!!」



義経と弁慶が、自身が持つ最高の一撃を放つ。


審判のいないこの場では止める者は誰もいない。自分たちの判断で勝敗は決まる。

攻撃が止まないのは、相手が戦闘不能状態に陥ってないからに他ならない。


その証拠に義経と弁慶の表情は硬いままである。




「うぅ……今回も義経たちの負けだ」


ガックシと膝を突く義経。


それもそのはず、最高の一撃を繰り出したのにも関わらず土煙の中に見える人影は立ったままなのである。これを見た義経は、素直に負けを認めた。



「そう落ち込まないの義経。前回よりはまだマシになったじゃない」


「しかし……義経は義経のクローンなのだから勝たないといけない………」


「そんなことはないと思うよ。義経にだって出来ないことはあるはずさ」



落ち込んでる義経も可愛いなぁ……という本音を胸のうちに秘めながら、義経を励ます弁慶。



「義経・も弁慶・も、強くなった・ね。結構危なかった・よ」



不意に聞こえた少年の声。

二人がそちらを見やる。


土煙の中から出て来た少年には掠り傷一つ無く、それを見た弁慶は思った。


『説得力にかけるよね……』



全力で挑んで掠り傷一つ無いとか何なのさ……と、流石の弁慶も苦笑いが抑えられない。



前回挑んだ時は何も出来ないうちに敗北した。

かかった時間は僅か一秒足らず。


この結果に対しては、普段は面倒くさがりの弁慶も悔しく思い、義経と共に鍛練の時間を増やした程だ。



しかし、結果は今回も敗北。義経的には前回よりも善戦したと言っても、それは時間的なもので、結果が変わらなければ同じこと。


ああ、今夜も義経は可愛いだろうなぁ……と、今夜部屋で落ち込んでいるであろう主の一挙一動に、思わず顔が綻ぶ弁慶であった。



因みに今回は一分は耐えられたと、弁慶的には満足した結果となった。




「義経・の一撃一撃・が重くなって・て、吃驚した・よ。弁慶・もだんだん・攻撃速度・が・早くなって・きた・ね。これ・で与一も入ったら、苦労しそうだ・よ」


「うぅ、義経はもっともっと鍛練の時間を増やすことにする……」


「流石は謙信、軍神の名は伊達じゃないね」


「まだまだだ・よ」





少年の名前は謙信。

越後の龍、上杉謙信のクローンである。

-2-
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