小説『ハイスクールD×D〜転生せし守り手〜』
作者:ブリッジ()

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――――――前書き――――――

アンケートはしばらく募集します。是非気軽に答えてください。

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Life.4〜異変、変わりゆく日常〜














昴side

「ん・・」

俺の意識が覚醒する。

「朝か・・っ!?」

俺は徐々に覚醒すると、俺は自分に起きた事を即座に思い出し、咄嗟に辺りを見渡す。

ここは・・、俺の家、俺の部屋だ。傷は・・。

「消えてる・・」

昨夜、貫かれた胸の傷が綺麗になくなっている。

俺は生きてる? ・・あの傷、あの出血では助かるはずがない。たとえあの後すぐに病院に担ぎ込まれたとしても・・。

「夢・・、いや、そんなはずがない」

あれは紛れもなく現実、俺は確かに仮面の奴に・・。

「死後の世界・・ではないよな・・」

俺は頭をポリポリ掻きながら状況を整理するが一向に答えは出ない。ふと俺は部屋の置時計に目をやる。

AM7時30分。

「・・・・OH」

そろそろ支度しなければ学校に遅刻する。普段なら5時くらいには目が覚めるのだが随分と寝入ってしまったようだ。学校サボって昨日の公園に確認しに行きたいが・・。

「・・仕方ない、放課後に行くか」

俺は制服に着替え、鞄を持つと、外に出た。



















・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・


ドォン!

俺は玄関の扉を開けた。

「うっ・・」

玄関を開けると、朝の陽射しが俺に突き刺さる。それと同時に身体が気怠くなった。どうにも陽射しがうっとうしい。

「ん〜、低血圧かな・・」

俺は別段朝は弱くない。普段は朝5時くらいに自然と起きてトレーニングするぐらいだからな。俺は怠さを我慢しながら学校へと向かった。





















          ※ ※ ※


「ふわぁ〜・・」

学校に着くと俺は早々に俺は机に突っ伏し、そのまま眠り着いた。結局午前中の授業は全て寝て過ごした。

昼休み、1度起きると昨日の夜に公園で何かあったかをクラスメイトに聞いてまわった。ところが誰からも芳しい情報は得られなかった。図書室に備え付けられている今日の新聞やパソコンで検索しても何も見つからなかった。

「やっぱり放課後に直接公園に調べに行くしかないか・・」

俺は教室に戻り、再び眠りに入った。



















・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・


1日中気怠さが続いたのだが、午後になるにつれて気怠さが治まっていった。

そして全ての授業が終わり、帰りがけに1日眠りこけた罰と称して担任に手伝いさせられ、それが終わると下校となった。

そして放課後の夕暮れ時、また異変が起きた。

「!? なんだ・・」

外に出ると俺の身体に異変が起きた。

『あはは・・・・ねえ聞いた・・・・ほら、早く来ないと置いてくわよ・・・・待って待って〜・・・・』

少し前から変化していたのだが、午後になり、時間が過ぎるにつれて俺の五感が徐々におかしくなっていった。主に視覚、聴覚、嗅覚、触覚が異常な程鋭くなっている。

「くっ!」

俺は思わずがぶりを振って頭を押さえる。さっきからかなり遠くの人の声が聞こえ、もう薄暗いにも関わらず暗さを全く感じさせない程はっきり見え、かつ遠くのものまでくっきり見える。さらに触覚が冴えわたっているので人間から小さな虫まであらゆるものの気配まで探知出来てしまう。全力で五感を研ぎ澄ませれば人間ならおよそ1キロ先に居る人間の位置まではっきり分かる。

「頭痛いな・・、とりあえず今はあの公園に行こう」

あの公園に行けば何か分かるかもしれないからな。

俺は駆け足で公園に向かった。



















          ※ ※ ※


走っているとさらなる身体の異変に気付いた。身体が異常に軽く、さらに力がどんどん湧いてくる。結構のスピードで走っているにも関わらず息切れも疲労も感じない。

「どうなってるんだ?」

そう疑問を抱くも俺は公園を目指した。

やがて公園にたどり着き、昨日の現場、噴水のある広場に足を踏み入れた。

「やっぱり何も無いか・・」

俺が力尽き、倒れた場所に来てみたが血痕はおろか痕跡も何もなかった。一応昨日激闘を繰り広げられた広場をくまなく調べたが何も見つからなかった。まるでここで何もなかったかのようだった。

「ここまではっきりと痕跡を消せるものなのか?」

あれが夢でないなら証拠の1つでもあるかと思ったが、結局何もなかった。

「はぁ、分からない事が増えたな・・」

昨日までとは一転、俺の日常は疑問だらけとなった。

俺を狙った仮面の奴。死んだはずなのに生きている俺。夜に近づくにつれて異常に上がる五感と身体能力。

ったくよ、急にいろいろ動きすぎだろ。

事態は創造主の喜びそうな方向に進んでいっている。

「さてと、どうするか・・」

もう少し調べるか、それとも帰るか、考えていると・・。

「!?」

突如、俺の身体を悪寒が襲った。それと同時に殺気と敵意も。

「・・・」

俺はそれを感じる方向に目を向けると、俺の後方およそ50メートル程の所にスーツを着た男がおり、俺を睨み付けながらゆっくりとこちらに歩み寄ってくる。

何だあいつ・・、ただの人間にこんな殺気を放てる訳がない。

「これは数奇なものだな。こんな都市部でもない地方の市街で貴様のような存在に会うのだものな」

「・・・」

こいつ、明らかに非日常側の奴だな。昨日の奴の仲間か?

「主は誰だ? こんな都市部から離れた場所を縄張りにしている輩だ、階級の低い者か、物好きのどちらかだろう。お前の主は誰なんだ?」

「・・・」

主? いったいなんの話だ?

バッ!

突如、男の背中から黒い翼が現れた。

おー、ファンタジーな展開だな。天使か? ・・・いやそんな神々しい者には見えないな。

「あんたこそ、昨日の仮面の奴の仲間か?」

「仮面? 何を訳の分からない事を・・、こちらの質問に答えろ。お前の属している主の名を言え。こんなところで邪魔をされると迷惑なんでな。こちらとしてもそれなりの・・」

黒翼のスーツの男は俺の質問を一蹴し、何やらあっちの事情を話してくる。

とぼけているとか、隠しているとか、そんな感じじゃないな。となると仮面の奴とは別のお客様か?

「まさか、お前、『はぐれ』か? 主なしならば、その反応している様も説明がつく」

はぐれだの主だの、俺の知らない単語が飛び出した。ただでさえ分からない事だらけだってのに、これ以上増やさないでほしいな。

「ふむ。主の気配も仲間の気配もなし。消える素振りも見せない。魔方陣も展開しない。状況を分析からすると、お前は『はぐれ』か。ならば、殺しても問題あるまい」

スーツの男がそう言うと、男が手をこちらに翳した。それと同時に男の右手に光が集まりはじめ、その光はやがて1本の槍となった。

こりゃ来るな。とりあえず分かった事はこいつはおそらく昨日の仮面の奴とは無関係なのだろう。さらにこいつは人間ではなくそれ以外の別の存在。後、仮面の奴に比べれば遥かに・・。

「格下だな。ちょうどいい、人外なら多少無茶をしても問題ないだろ。いろいろ試すにはもってこいだ」

ビュン!!!

男が槍を投擲した。俺は身体を半身にしてそれを避けた。

「ほう、これを避けるか、ならば今度はもう少し力を込めよう」

今一度男の手に光が集まり、槍が形成された。心なしか、さっきより光が強く感じる。男が槍を振りかぶる。

ドン!!! パシッ!

「なっ!?」

俺は男が槍を投擲する寸前に懐に飛び込み、槍を持つ右手首を掴みあげる。

ドス! ドス! ドス!

「ぐほぉ!」

そして空いてる手で男の腹に3発拳をぶちこんだ。拳をくらうと男は数メートル吹っ飛んでいった。

「ふむ・・」

俺は手を開いたり閉じたりする。

今のは6割ぐらいの力を出したつもりだったが、昨日までの10割の力が出た。やっぱり身体能力が上がっている。

「くっ! 貴様ぁ・・っ!?」

男が起き上がり、再び槍の形成を始めようとした。俺は瞬時に男の背後を取り、首筋に手刀を当てる。

「お前にはお前の思惑があるみたいだが、生憎こっちはお前もお前の命にも興味がない。大人しく退けば命は置いてやる」

「・・・・くっ!」

男が黒い翼を羽ばたかせると、上空に舞い上がった。

「この屈辱、忘れんぞ! 再び見えた時、貴様の存在ごと滅してくれよう!」

そう捨て台詞を残すと男はこちらを呪い殺すような形相で睨むと、夜の空に消えていった。

「何処の世界の三下も、言う事は変わらないんだな」

俺は男が去って行った方角を見つめる。

仮面の男、死んだはずなのに生きている俺、俺の身体の異常、黒い翼を生やした男。ここにきて、分からない事が加速的に増えていく。

「俺が今抱いている疑問。答えてくれるんですよね? ・・・・・・リアス・グレモリー先輩?」

俺は背後に語りかけた。




















          ※ ※ ※


リアスside

あの夜から一夜明け、彼、御剣昴は通常どおり学校に登校した。やはり眷属悪魔にした影響が出ており、太陽の光のせいでかなり気怠そうだった。その日はほとんど机で寝ていた。

放課後になり、彼と接触する機会を窺っていたのだけど、彼は学校を飛び出すと大急ぎで何処かに走っていった。そのスピードは凄まじく、気が付くと姿を見失ってしまった。

「いったい何処に・・」

少し考えてその答えに至ったわ。公園だわ。彼は昼休みに昨日の夜の事を調べていた。ならば彼は直接公園を調べにいくはずだわ。

私はすぐに公園へとジャンプした。




















・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・


公園にジャンプすると、昨日彼が倒れていた広場で彼を見つけることが出来た。ところが彼の目の前には堕天使もいた。

「あの堕天使、この街に入り込んだ奴ね」

少し前から堕天使が複数この街にやってきた。何か計画を立てているみたいだけど、私には関係のない話だから放っておいた。けどまさか私の下僕に手を出すなんてね。

「私の大事な下僕を堕天使なんかに手を出させないわ」

私は手に魔力を集めた。堕天使が手に光の槍を形成し、彼に投擲しようとした。私がその槍を持った手に魔力をぶつけようしたその時・・。

「っ!? 嘘・・」

彼は瞬時に堕天使の懐に飛び込み、槍を持ったを掴みあげると、空いた手で腹に拳を3発加えた。

早い・・。今の、もしかしたら裕斗より・・、そういえば裕斗が言ってたわね。

裕斗とは私の眷属悪魔の1人。裕斗は彼、御剣昴と面識がある。彼は剣道で裕斗と互角に戦ったと言った。いくら裕斗が悪魔の力を使わなかったとはいえ、あの裕斗と剣で互角となるとかなりの腕・・。後、裕斗はこうも言っていたわね。

彼は実力を隠しているようだったと・・。

今のがそうだと言うの?

彼が再び凄まじい速さで堕天使の背後を取り、堕天使は捨て台詞を残すと去っていった。

「すごい・・、これは思いもよらない拾いものだわ」

昨日の夜、自分の直感を信じて良かったわ。

「俺が今抱いている疑問。答えてくれるんですよね? ・・・・・・リアス・グレモリー先輩?」

!? 気付いていたのね。

私は彼の元に歩いていった。





















          ※ ※ ※


昴side

「俺が今抱いている疑問。答えてくれるんですよね? ・・・・・・リアス・グレモリー先輩?」

俺が背後に語りかけると、後ろの林からリアス・グレモリーが出てきた。

「すごいわね、まさか気付かれていたとは思わなかったわ」

俺はリアス・グレモリーに振り返り・・。

「それはもう。なんせ、1日中監視されていれば嫌でも気付きますよ」

「・・へぇー、そこから気付いていたの・・」

リアス・グレモリーは目を細め、薄く笑みを浮かべた。

「それで、俺の身に起こった事、全て説明していただけますか?」

「勿論させてもらうわ。けどもう時間も遅いから、それについては明日説明するわ」

「俺は今すぐにでも構いませんよ?」

「長い話になるのよ。それに、ここだと落ち着いて話せそうにないから、明日、放課後に使いを出すから話はその時まで待ってちょうだい」

「・・分かりました。ではその時に・・」

「では明日放課後で、それではごきげんよう」

そう言うと、彼女の足元から魔方陣のようなものが現れると、彼女は消えていった。

「おー、またまたファンタジーだな」

明日、俺の全て疑問が晴れる訳か。

それにしても、昨日の夜を境に俺の日常は非日常に変わっちまったな。文字通り、あの創造主の喜びそうな展開になったわけだ。運命はやっぱり、俺を非日常に引っ張り込んだか。

「はぁ・・」

俺は大きく溜め息を付く。

まあいい、そんなものは前世から日常茶飯事だった事だ。今更どうこう言っても始まらないなら・・。

「腹決めるか・・」

俺は覚悟を決め、家に帰宅した。

帰宅すると俺は夕食もそこそこにベッドに飛び込み、眠りに入った・・・のだが・・。



















・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・


「・・・寝れねぇー」

目が異常に冴えてしまう。昼間の気怠さが嘘のように今は覚醒しまくっている。何より俺を苦しめているのが・・。

「耳が冴えすぎてうるさい」

聴覚が敏感になりすぎ、至る物音を俺の耳は拾ってしまう。アイマスクを付け、耳栓を付けて改めて就寝すると今度は家に人や小動物や虫が近づく度にその気配を触覚が探知してしまい、その度に目が覚める。

結局俺が完全に眠りついたのは朝陽が昇る頃で、翌朝は昨日以上の気怠さを抱えながら学校へと登校する事になった。

















続く

-5-
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