小説『プライベート・ホスト』
作者:ウィンダム()

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すっかり出来上がった玲子は昭吾を見ると笑みを浮かべて、
 
  わたし、子供の頃だけど、夜遅くパパとママが口移しでお酒飲んでいるところ見たことあるのよ。

玲子は流し目のような横目で昭吾を見る。
そんな玲子にさすがに昭吾はレッドゾーンを感じる。
 
  君、だいぶ酔っているようだね、もう休んだら?

と促すのだが玲子は、
 
  大丈夫よ、心配しないで。

どうやら玲子はあまりアルコールに強い体質ではないらしい。
さらに、酔うと淫らになるらしいことも判ってきた。
礼儀正しいお嬢様であろうとする反動のためか普段抑圧してきた部分が表に出てくるかのようだ。
ところが酩酊しはじめてきたためか、そんなことにお構いなしのように玲子はシャックリしながら、
 
  ヒック、わたしに付き合いなさいよね!

と座った目で絡んでくる。
すると今度は、
 
  ねえ、アレのときってどんな感じ?

とまたもや際どいことを聞いてくる。
昭吾は酔った玲子を見ると呆れるように、
 
  なんでそんなこと知りたがるのさ。
 
  だって知りたいんだもん。

まるで会話にならない会話になる。
 
  教えてよぉ〜、ねえ〜・・・。

まるで子供がねだるような玲子に昭吾は笑いながら、
 
  それは、言葉で教えられるようなことじゃない。
 
  ふぅ〜ん、じゃぁ、どうしたら分かるのぉ?
 
  こればかりは体験しないと分からない。

すると玲子は悩ましい目で昭吾を見つめると、
 
  そう・・・、じゃぁ、わたしに体験させてよ〜ん・・・。

露骨なことを言い出す玲子は昭吾に体を密着させてくる。
だんだんと淫らになってくる玲子を制止しようと、
 
  ダメダメ! 君はかなり酔っているよ。 
 
  うぅん、詰まらない!
  わたしあなたの前ならいつでも『不道徳な魔子』になれるのよ。

と悩ましげに言ってくる。
そんな玲子を呆れ果てて見ている昭吾を他所に、しまいには、
 
  ねぇん・・・、口移ししましょう。

と甘える声で言い寄ってくる始末。

如何に玲子が酔っているとは言えさすがに辟易してきた昭吾は、
 
  ねえ、君、もう休もうよ。

すると玲子は態度を一変させると昭吾を睨みながら、
 
  なによぉ! わたしとじゃ相手にならないとでも言うの!

と絡むと今度は、

  ふん! なにさ、意気地なし!

と罵り悪態をつく。

そんな玲子に昭吾は思わず笑い出すと席を立ち、
 
  あした学校だよ、俺、先に休むよ。

リビングへ移りソファの背を倒して広げると、
 
  じゃ、お休み。

リビングの電気を消して広げたソファに寝てしまう。 

玲子はさっさと寝てしまった昭吾に腹を立ては見たものの、
静まり返ったダイニングに独り残っていると玲子の胸に寂しさが込上げてくる。
その寂しさに耐えかねるかのようにテーブルに顔を伏せると泣いてしまう。 


リビングのソファで寝入り始める昭吾。
暫くすると突然玲子が昭吾に覆い被さってくる。

驚いた昭吾は目を覚ますと、
窓から差し込む街灯の薄明かりに照らされ、
涙に濡れた寂しそうな目で昭吾を見つめる玲子が見える。
玲子は目を逸らすと、
 
  寂しいのよ、独りにしないで・・・。

涙声で昭吾の胸に顔を埋めてくる。

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