#13
さてさて、オカマからも酒盛りからも開放されたオレは勇太と二人になってウィルスを溜めたフロッピーを起動させる。
そして、カタカタとキーボートを叩く。カチカチとマウスを動かす
「クラッカーとしてのスキルと、情報屋としての腕前は上々
月々に20万以上の売上もあげる。
『NO.Hans』に喧嘩を売ったんだ。徹底的に打ちのめしてやるんだろう?」
NO.Hansとはオレのネット上でのハンドルネーム、ビジネスネームで酒の入った勇太は饒舌にオレの話し掛ける
「しかし、相手もガードも固い、侵入しても何重幾重にパスワードとロックをかけてある。大手企業のデータベースより厚いファイヤーフォールだよ。」
「NO.Hansもお手上げかい?」
「いいや、もう終った。」
オレは一旦、手を休めて、勇太の方に向き直る。
「んっ」
勇太はオレに、ワンカップの清酒を投げる
オレは、バーボン派なんだが、
「バーボンないか?」
「洋酒がないわ。ビールと酎ハイももうない。」
「ワンカップなんて、お前しか飲まないから余るんだ。買ってくるな。」
「一介の組員がえらい。大口叩くな、若頭様によ」
「うるせぇ、ココはオレの部屋だ。一番えらいのはオレだ。」
「で、何のウイルスを仕込んだんだ?」
「暴露ウイルス。あっちの情報が全部こっちに回ってくる。」
「3日間は様子をみるのか?」
「相手も素人じゃないからな、一週間かけてゆっくりとデータの改ざんを行います。
若頭」
勇太は苦虫を飲み込んだような顔をして言った
「それほど慎重にやる意味はあるのか?」
結構ノッてきたが
「意味はある。意味のないことはしない。」
「お前らしい、途中でバレて、パソコンを壊されたりしないのか?」
「警視庁のコンピュ−ターに送る馬鹿がいるかよ。
警視庁のネットワークを経由してみいるんだ。
安全性は、マジモノの国家レベル」
「色々な伝手があるもんだな。」
「NO.Hansは賢いのさ」