#15
俺の前でステップをふむ、若いヤクザ組員の若頭
“ヤクザの喧嘩殺法なんて所詮は素人に毛が生えたようなもんだ”
確かに俺は言った。そういってこいつらを連れてきた
“けど、・・・”
勇太、カズマ、田中を前にして、緊張を切らして攻め込んだ
アメフトラインマンと元中学横綱力士がもう、地に転がっている
それをやった大柄なヤクザはもう自分の仕事は終ったと言わんばかりに
煙草に火を付け一服している。その素振りは信頼か、冷血か、
「悩み事は終わったのかい?」
俺の前に聳え立つ男、身長は俺の方が幾分か上である。
“退くか?”
そう悩みを巡らしているうちに横にいた仲間が緊張で荒く熱くなった頭と息で突っ込んでいってしまった
「GYAAAAAAAAAAAAAAAAA」
きあいなのか気に触れたのか、そいつは叫びながら間合いを詰める
「GHAAAAAAAAAAAAAAAAA」
そいつの声に反応してか、あちらでリズムを淡々と刻む男の方のボクサーも突っ込んでった
“クソどもがっ”
どうにか、仕留められないか
発端になった方は素人ならば目に止められないだろうハイキックを放つ
蛇ッ(ジャッ)
しなる鞭のようだった
若いヤクザは強力な蹴りをしゃがむ様に避けるとキックが最頂点から少し落ちた所の足のズボンの裾に指を入れ足を吊り下げるようにもつ
そして、がら空きになった足の空間に入り込み一本背負いを放つ
空手家の体は鞭のようにしなり
コンクリ舗装の地面に叩く着けられる
つられて突っ込んでいった方は、広かった間合いを詰めるように走りこむ
撥っ(ばっ)
そのボクサーの足元に飛び込むように前転をして跳ね上がるようにジャンプして両肩に乗り、両足で頭を挟みこむ。そのまま自分の頭を振り子の錘のように使って後方に倒れこみ、相手の股の間を潜りこむ。その勢いを使って相手を前方に回転させ投げ込んだ。
顔面を突き刺さるように強打した
新たな屍が二つ増えた
“逃げた・・・・い”
俺がそう思うと、ボクサーが俺のほうへとジリジリと近づく
“?”
「逃げよう。数に利がなくなった今戦う意味はなくなった。」
「倒れた奴らは?」
「グッ」
“さて、逃げるに逃げられないぞ”
「さて、どうする?」
俺と向き合う若ヤクザが言ってきた?
「俺たちに喧嘩を売ったんだ。落とし前はつけてもらわないと」
ジャグ
そいつは、鎬造りの短刀を懐から取り出した