小説『ソードアート・オンライン 守り抜く双・大剣士』
作者:涙カノ()

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第1話 =始まりの時=

2022年11月6日(日) 12:30

「ただいま〜…」

俺は誰もいない家に声を出しながら入った。
ちなみに今は1人暮らし。高校に入るために親に許しをもらってこの暮らしをしている。
声が響くだけで帰ってこない虚しさにもなれもう半年以上になる。
着替えようと自分の部活用品であるテニスラケットを床に置くと
部屋に置いてあったダンボールに目がいった。

「いつの間にきたんだよ…母さん…持ってきてくれるのは助かるけど…」

といつもみたいに野菜などの差し入れかと思ったらそこには1つのヘルメットが入っていた。
そしてよく見るとダンボールの横に一枚の手紙が貼られていた。

「えぇっと…なになに…『宅配便の人が来たから代わりに受け取っておきました。』か…
て…これってナーヴギアじゃん!!」

テニス部で運動するものいいけどゲームも大好きな俺。
SAOβプレイヤーには選ばれなかったが無事に製品版を手に入れることができた。
その感動も腹が「グゥゥゥゥ」と鳴る音で消されたが…
その後簡単にカップラーメンを食べながらマニュアルを読み気づいたときには
正式リリースの1時をとっくに超えていた。

「あ…もう始まってる…出遅れたけどそろそろ行きますか…」

そういいながら自分の携帯を開き部活動の同級生全員に
「ソードアート・オンライン!いってくるぜ!!」というメールを送った。
そしてダイブ直前、少しトイレに行きたくなってしまったのでヘルメットをベッドに置きトイレへといった。
いまさらだが、ここでやめておけばよかったのに…

そしてトイレから帰ってきて同級生の返信を確認したところで
ナーヴギアを装着し、ベッドに寝転びこう言った。

「リンク・スタート!」


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そしてしばらくすると突然視界が明るくなり洋風な町並みが目に入った。

「…うぉ!?ほんとにゲームの中に入ってる…」

俺はそういいながら体中をペタペタと触り始めた。
傍から見れば変態だけど初めての体験なんだから仕方がない。
よく見ると、自分の視界の左上に名前がある
「RIKUYA」…本当に設定どおりだ…
馬鹿みたいに本名を登録したけどローマ字ならばれない…うん、ばれない

「何すればいいんだろう…」

俺は何をすればいいのかわからずに悩んでいると目の前を颯爽と駆ける青年がいた。
どうやらあの動きからしてβ版をやったことのある人みたいだ…
ついていくとどうやら路地裏で武器を買っているらしい。

「あのー!!」

「…俺?」

よかった、気づいてくれた…

「君ってβテスト経験者?」

「あ、あぁ。そうだけど…」

「よっしゃぁ!俺のカン当たった!あのさぁ…俺」

「今日が初めてなんだよ」といおうとしたとき一人の男がこちらに走ってきた。

「その迷いのない動きっぷり…アンタ、βテスト経験者だろ…」

どうやらこのおっさんは俺と同じ目的でこの人のあとを付けてたらしい。
性格には俺よりかはこういう体感ゲームをやってそうだが…
と、考え事をしているとレクチャーしてほしいらしく顔の目の前で手を合わせていた。

「あ、あのさ。俺も初心者で右も左もわからないんだ…俺にも教えてくれないか…」

若干引き気味だったが折れたらしく「あぁ。」といって承諾してくれた。

「俺はクライン。よろしくな」と、おっさんが指を立てそういった。

「俺は…キリトだ」と目の前の青年が、そして

「俺はリクヤ。これから頼むぜ」とキリトに握手を求めてみた。

無事に握手もしてくれて嫌な空気が流れることもなかったので大きな前進だろう。
そして、俺たちは近くの店で各々の武器を買った。
キリトは片手剣、クラインは短剣、俺はなかなか売れていなかった大剣にした。

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=第1層・始まりの町・西フィールド=

「どわぁぁぁぁ!!」

クラインがやられていた。
猪型のモンスターに…そして突進された衝撃なのか悶えていた。

「お、おいクライン!大丈夫か!?」

「…ハァ…大げさだなぁ…痛みは感じないだろう?」

俺が駆け寄ろうとするとキリトが衝撃の事実を口にした。いや、普通なんだろうけど…

「…あ、そっか。」

「知ってたのかよ!?」

どうやら知らなかったのは俺だけらしい…恥ずかしい…
でもいいか。さっきのクラインみたいに痛くもないのに股間を押さえて悶えてる姿よりかはましか」

「お前!普通に言ってんじゃねえよ!!」

「あ、ごめん。聞こえてた?」

そんな掛け合いをしていると、キリトがアドバイスを入れてきた。

「言ったろ、重要なのは最初のモーションだって」

「んなこと言ったってよう…あいつ動きやがるし」

動かないモンスターがどこにいる…
という感情を持ちながらも今度は心の中にしまっておいた。実際、攻撃を当てれないのは俺もだし…
先ほど、ここまでくる途中でモーションやメニューの開き方などをレクチャーしてもらった。
メニューの開き方は文章だけ読んでもやってみるとどうなるかわからないから実演してもらいました…
いや、お恥ずかしい…

「ちゃんとモーションを起こして…」

キリトはそういいながら足元の石を拾い、投げるように構えた。

「ソードスキルを発動させれば…」

その言葉と同時に手元の石が赤く輝きだした。
そしてキリトが投げるとその石は凄まじい勢いで飛んでいき、猪に当たった。

「あとはシステムが技を命中させてくれるよ」

「おぉ!!さっすがキリト先生ってところか?」

「モーション?…モーション」

俺がキリトに向け拍手を送っているとクラインがそうつぶやき始めた
そして追加のアドバイスが猪を誘っているキリトの口から発せられた。

「どういえばいいのかな…ほんの少しタメを入れて…
スキルが立ち上がるのを感じたらズバァンて打ち込む感じ!」

ズバァンてそんな抽象的な…
どうやらクラインも同じことを思ったようだが何かに気がついたらしく構えをとった。
すると短剣が光りだした。
それを確認したキリトは今まで誘っていた猪をクラインの方へと走らせた。

「だりゃぁぁぁぁ!!!」

掛け声と共にクラインは猪を一閃した。
するとライフゲージが見る見る減っていきなくなった瞬間、ポリゴンとなって弾けた。

「ぅおっしゃぁぁぁ!!!」

盛大なガッツポーズを繰り広げるクラインにキリトが賞賛の言葉をかけた。
そしてハイタッチをしあっていた。

「でもさぁ…今のっていわゆる雑魚モンスターじゃね?」

俺はそんな疑問を思ったので口に出したらキリトがそれに頷いた。
クラインはがっかりしている…
普通そうだろ…始まりの町のボスって聞いたことねぇよ…
すると俺の目の前にもう一体猪が現れた。

「じゃあ次は俺の番!」

ザッと自分の獲物を抜き両手で構える。重さには慣れた…

「お前にできんのか〜?」

クラインは座りながら挑発じみた発言をしてきた。

「やってやろうじゃん!」

俺の声に気づいたのか猪は俺に突進を繰り出した。
それを大剣でガードする。
大剣の弱点は強大なパワーの引き換えにスピードが殺されるということだ。
キリトの話だとパラメータをあげればスピードを殺さなくても済むようだが。

「ふっ!」

一瞬の隙を突いて一うしろに下がり、下段で構えを取った。
相手はまた突進してきた。それと同時に俺の剣が赤く光った。

「はぁぁぁぁ!!」

その場で一回転し、カウンター気味に猪を切りつけた。
どうやらこういうスキルらしい。

「こんなもんかな」

「おめでとう、飲み込み早いな。」

「へへっ。まぁね」

キリトにほめられたので少し恥ずかしくなった。
言っておくけど決して変な趣味の持ち主じゃないんで。

「おぉ!!」

クラインが先ほどの突きを素振りみたいに何度も繰り返している。
そのたびに赤く光っていた。

「にしても、すごいな…」

「はまるだろ?」

「あぁ!」

「まぁな!…でもよぉ」

とクラインが質問をしてきた。

「スキルって武器を作ったりしたりいろいろあんだろ?」

そういいながらもいろんな構えの練習をしているが…

「そうだなぁ…スキルの種類は無数にあるって言われてる。
その代わり、魔法はないけど…」

「え?魔法ないの!?回復とか、援護とかは!?」

「自分の体動かして戦うほうが、面白いだろ?」

言われてみればそうか…
しかもこのゲームのタイトル「ソードアート・オンライン」って名前くらいだから
あっても近距離武器しかないか…

「じゃ、次いこうぜ!!」

「あぁ!」「おう!」

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「もう夕方か…現実と同じように空も変わるんだな」

「そうだなぁ…しっかし、何度見ても信じられねえな…ここがゲームの中だなんてよ」

俺がつぶやくと、クラインに聞こえてたらしく同調してくれた。
クラインの言うとおり信じられない…いまごろ体は家で倒れてるんだからな〜

「作ったやつは天才だぜ…」

「おおげさだぁ…」

キリトはあきれているが俺たちの親の時代には考えられなかった世界だからな…
実際にゲームの中に入ってプレイするっていうのは。

「初のフルダイブ体験だもんな…」

「ということは、ナーヴギアようのゲームをやるのもこれが初めてか?」

「つうか、ソードアート・オンラインのためにハードもそろえたって感じだな…
リクヤはどうなんだ?」

「そうだな…」

クラインに聞かれ、今日のことを思い出した。

「家に帰ったらナーヴギアが置いてあった…たぶん懸賞の商品だと思う。
そしてそのことも忘れてたからさ、見たときすっげぇびっくりした」

「おめぇ、運いいな〜」

クラインが俺の運のよさに少し僻むような声で言ってきた。
甘いな、クライン。俺たちの目の前にはもっと運のいいやつがいるぜ。

「でも、キリトのほうが運いいよ。ベータテストに当選したんだから。」

俺はそのキリトに話しかけた。
そしてベータ版のときの話になった。
キリトは2ヶ月で8層までいったらしい。そして今は1ヶ月あれば十分らしい。
相当なはまりようだ。

「正直、期間中は寝ても覚めてもSAOのことしか考えてなかったよ。
この世界はこいつ一本でどこまででもいけるんだ。
仮想空間なのにさ、現実よりも生きてるって感じがする。」

狩りを続けるか?というキリトの発言に俺は親指を立て、答えた。

「もちろん!といいたいとこだが…」

クラインは腹が減ったらしいので一度ログアウトするらしい。

「こっちの飯は空腹感がまぎれるだけだからな…」

「ふぅーん…こっちでも飯食えるんだ…」

そりゃ栄養とかは実際に食べてないから取れるわけないけど…
って、今考えると恐ろしいな!!

「ま、飯食ったらまたログインするけどよ。
んで、そのあとほかのゲームで知り合いだった奴らとはじまりの町で落ち合う約束してんだよな。
どうだ、紹介すっから、あいつらともフレンド登録しねえか?
いつでもメッセージ送れて便利だしよ。」

「えっ?…」

クラインにキリトが言われると急に顔を伏せてしまった。
どうやら人付き合いは苦手らしい。だから、最初のとき引き気味だったのか。
それを見たクラインは申し訳なさそうに口を開いた。

「いや、もちろん無理にとは言わねえよ。そのうち、紹介する機会もあるだろうしな。」

「あぁ…悪いな…」

「おいおい、そりゃこっちのセリフだぜ。お前のおかげでここまでできるようになったんだから。
この礼はそのうちちゃんとすっからな、精神的に。
そういや、お前はどうだ?リクヤ」

と、急に俺に話を振ってきた

「え!?俺?…そうだなぁ…まだこのゲームのシステムわかっちゃいないからまた今度でいいか?」

「そうか、わかった。知り合いには紹介しとくよ。」

「ありがとな」

「おう!」

と、互いに握手しクラインはキリトとも握手をした。
そしてメニューを開きログアウトを選択しようと細かく開いていた。

「あ!!おれもログアウトしなきゃ!!」

突然の大声にクライン、キリトは驚いていた。

「ど、どうしたんだ?」

「いやぁ、確かこんくらいから部活の夜練が…て、ことで俺もログアウトするよ。」

俺はそういいながら覚えたばかりの手の動かし方でメニューを開いた。
この数分後、俺は知るだろう。どんなことをしてでもログアウトができないことを。
そしてこのゲーム「ソードアート・オンライン」がただのゲームではないことを






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