小説『ソードアート・オンライン 守り抜く双・大剣士』
作者:涙カノ()

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第26話 =休息=


=第22層=

「だりゃぁぁ!!…・・・あれ?」

『…そうじゃない、もっとこうするんだよ』

「頭の中でこうとか言われても分かるかぁ!!」

傍から見れば独り言で何言ってんだこいつなんて状況だけどもう一人の俺―名前はと聞くと(メンタルヘルス・パーソナリティ・プログラム)。通称(MHPP)試作、(SORA)とだけ答えられたのでソラと呼んでいる―に言葉のみで俺に上位ソードスキルのやり方を教わっている。もう1つの人格に教わるって言うのもなかなか変だな…

だが何度やっても発動するのは『ダブルサーキュラー』もしくは1回転し斬り上げ最後叩き斬るテイルズの技『幻魔斬翔剣』のどちらかだ。まぁ、どっちも便利な技だけどな〜…

「またソラと練習してるの?」

「…ん、サチか。まぁな、あれが使えればこれからの攻略も有利になると思うし」

ソラのことはあの、ボスがいなかったという驚きの報告の後そこにいた全員にした。仮にももう1つの人格で俺とは別人なので話し方が変わったらそれがソラだということを認識して欲しかったからだ。

69層のボス戦ではバルバトスよりかは弱いが堅い、速いというなんとも面倒な敵だったので応戦するためこちらも意を決し『双・大剣士』としてのスキルを使ったのだが…
『アースマグニ』は何とか出せたもののそれのさらに上のスキル『グランバースト・クエイク』は不発に終わった。
それでも一応勝てたのだが、周りにいた『血盟騎士団』や『聖竜連合』、『風林火山』に「それはなんだ」と聞かれ不快な目で見られたのは今でも覚えてるし、申し訳ない気持ちも出てくる。
風林火山の皆はそれほど気にしなかったのだが一番うるさかったのは聖竜連合だった。
あーだこーだ言ってきて(全部悪口だったけど)俺が対応しづらくなっているとその間にKoBの団長ヒースクリフさん、そしてそのフォワード隊リーダーのゴドフリーさんだった。
あのときの俺は相当テンパっていたのか2人の言ったことは覚えていないけれどそれによりその場は静かになった。
今思えばあの2人に貸しを作られたような気がするけど気にしたら負けだと思う。

その後、ゴドフリーさんの考えで厄介ごとを避けるためここ、22層に家を借りてそこをギルドホームとした。
この家は大きめのログハウスで目の前には湖が広がっている。
実はこの家、アスナとキリトにも秘密にしておりあいつ等と会うのは大体リズの店、もしくはエギルの店だ。
リズはあそこでいまだに商売を続けており、俺の情報を聞きに来ただけという輩には速攻で帰らせる何かをしているらしいが…気にしたらこれも負けだ、うん。

「んー!!それにしても…こんなゆったりとできるのは久しぶりだね」

「言われてみれば、久しぶりだよな…」

サチは伸びをしながらそのままテラスで寝転がり空を見上げていた。
幸いいまは俺以外に周りにいるプレイヤーはいないからこんなことをしているだろうがほかに人がいないからって意外と大胆なことするな、こいつは。そんなサチの隣に俺は座るけど。

「いつもは攻略が日課だったから…」

「それとレベル上げだな。いま思うと俺らも結構無理してたな…」

「その無理してきた分、今はちゃんと休も?」

サチの言葉にうなづき今まで出していた2本の剣をアイテム欄に片し同じように空を見上げる。ちょっと温かすぎるけど今日は雲1つない晴天だった。もうすぐ6月に入って雨ばっかになりそうだけどな。

「2人で何やってるの?」

「おはよう、ユカ。…空見てるの」

そういい、ユカがテラスに出てきて俺の隣に座る。俺も含めてここに来てから外に出るとき以外は皆軽装なので服装に少し違和感を覚えるがそれも新鮮だな、なんて思いまた空を見上げる。

「それにしても今日は遅かったな。もう12時近いぞ?」

「二度寝しちゃって…ふぁぁ…」

あくびするところを見るとまだ眠いらしい。遅くまで何してたんだか。

「いろいろ、よ」

「女の子はやること多いんだから」

また、聞こえてたらしい。さらにサチまで続けて言ってくる。そんなこといわれても男子な俺には理解が出来ない。

「ふーん…そういえばシリカは?」

「買い物に行ったよ。今日はコラルで安売りしてるんだって」

こんな緊張感なに1つない会話がずっと続きそれだけで結構な時間すでに経っていた。すると扉の開く音がしそこからピナが俺めがけて飛んできた。それに続き、荷物を机の上にオブジェクト化させた後、シリカもこちらへやってくる。

「おかえりー大変だったか?」

「それほどでもなかったですよ。いつもよりか安かったから暗算簡単でしたし」

シリカは自分で言ったとおりそろばんでもやっていたのか会計みたいな速さは人一倍だ。あとそういうのにはきっちりしているからまるで小さな母親だ。だからこそそういった金銭関係のものはシリカに任せられるのだが。

「それで…これ、安かったんで買っちゃいました!」

そう言ってアイテムの入った袋から出したのは軽装の防具、つまりいわゆる私服だった。こういうの見つけると買ってきてしまうのは玉に瑕なんだけどな。でもそういうのでうちの女子たちは盛り上がるので文句も言えない。

「…服とかわかんねー」

『同感だな』

「うおっ!?…急に出てくるな…というかお前もわかんないんだな…」

『服なんぞどれも同じじゃないか…性能が違うだけで』

「あいつ等のアイテム欄前見せてもらったけどさ…同じようなやつが結構あったぞ…」

『あぁ…そんなのダブらせたってアイテム欄の無駄使いだろ』

「『女ってわかんねー』」

何故だか俺とソラの会話、といってもほぼ独り言なんだが…それも気にせずトークを続ける3人。
それに対し再度ため息をつく俺。
ここで武器を最近研いでないな、ということを思い出したので「おーい」と呼びかけ3人に俺の存在を呼びかける。

「俺、今からリズベット武具店に行くけど…どうする?」

「えー、ご飯はー?」

「お前も作れるだろうが!」

サチが文句を言ってくるもサチも料理スキルが高いので料理出来るはずなので問題ないとは思うけど…それを知っているので思わず呆れながらも声を上げてしまう。
料理スキルの高さは恐らくどっこいどっこいだろうけどレパートリーはサチのほうが絶対に多い。料理の知識は現実が関係してくるから俺は必要最低限しか作らなかったし…ここでは俺は料理よりかスイーツの方が多い。
その原因もこの女子たちなのだが…

「…分かったわよ、たくぅ」

なにやらぶつぶつキッチンに入っていくサチ。

「サチ、リズの分もよろしくー!…で、シリカとユカはどうする?」

「私は…ナイフ補充しておきたいからついていくわ」

ナイフに効果をつけるのはナイフを作る鍛冶屋、それと薬を作ることの可能な調合士が必要不可欠だ。俺たちの場合リズが鍛冶、あと必要な調合士はユカが結構スキルレベルを上げているのでそれで足りている。

「私も行きます。ここにいたって暇ですもん」

「うわ、ぶっちゃけたな」

「皆行くなら私もいくよー」

キッチンからサチの声が聞こえてくる。そりゃこんな何もない家に1人はつまらないよな。
すると、もう料理を終えたのか包みを持ったサチが奥から出てきた。
「どうせ行くなら皆で食べよ」とのことらしい。包みを1つ1つ俺たちに渡し、リズの分はサチが持っていた。
今日は攻略に行くことはないか、と考えながら晩飯のことも考えているともう外に出ていた3人からせかされ俺も外に出ることにした。











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