小説『ソードアート・オンライン 守り抜く双・大剣士』
作者:涙カノ()

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すみません、少し修正しました


2 =衝撃の事実=


「えっと…ログアウト、ログアウト…」

早くしないと部員のヤツに怒られるー!
そう思いながらあせりながらログアウトのボタンを探している俺。
すると横では同じ行動を取り続けているクラインがいた。
どうやら画面を行ったりきたりしているらしい…
そしてあることに気がついたのか口を開いた。

「なんだこりゃ…ログアウトボタンがねぇぞ!」

「ボタンがないって…そんなわけないだろ」

よく見てみろ。とキリトは言いながら自分もメニュー画面を開く。
するとメニュ−画面を操っていた手がピタっと止まる…
そしてようやく俺もキリトたちと同じ画面と思われる場所にたどり着いた。
すると1つありえない場所に空欄ができていた。

「…ない…」

まさかキリトからその言葉を聞くなんて思わなかった。

「ってことは…ログアウトできないってこと…」

「ま、今日はゲームの正式サービス初日だかんな。こんなバグも出るだろ。今頃GMコールが殺到して、運営は半泣きだろなぁ。」

クラインは冷静に分析、運営に同情していたがその直後キリトにピザの存在を思い出されひざまづいていた。
ていうかロゴアウトできないなんて…終わった…

「くそぅ!このままじゃあいつに…」

クライン同様、俺もひざまづいていた。
なぜなら部員の1人に性格的に鬼畜で時間に厳しいヤツがいるんだよ…
言葉だけで殺される…

「試したけど、反応ねぇんだよ。ああっ!もう五時二五分じゃん!おいキリトよう、
ほかにログアウトする方法ってなにかなかったっけ?」

「いや、知らないな。ってか、自分でログアウトするにはログボタンを押す以外にログアウトする方法なんて無いだろ。」

クラインの質問に対しさらにキリトはまさかな言葉を吐いた。

「嘘…だろ…」

「んなバカな……ぜってぇ何かあるって!、戻れ!ログアウト!脱出!!」

「マニュアルを読んだがその手の緊急切断方法は一切載ってなかった。」

「でもよ!……だって、馬鹿げてるだろ!いくらバグったって、自分の部屋に……自分の体に、自分の意志で戻れないなんてよ!!」

「その通りだけど、落ち着けよクライン。」

うろたえているクラインをキリトが必死でなだめる。
こっちから見ていれば滑稽な絵だ。

「…ナーヴギアの電源を切ってしまえばどうかな…」

ちょっと俺、名案思いついた!?とばかりに言ってみるがキリトに否定された。
どうやら、中に内臓バッテリーが入っているようで最悪1日は持つらしい。

「……じゃあ、結局のとこ、このバグが直るか、向こうで誰かが頭からギアをはずしてくれるまで待つしかねえってことかよ。」 

クラインとキリトは無言でうなづいて行程の意を返した。

「でも、オレ、一人暮らしだぜ。おめぇ等は?」

「…母親と、妹と三人。だから俺も、晩飯の時間になっても降りてこなかったら、強制的にダイブ解除されると思うけど…。」

「クラインと同じく1人暮らし、だよ。というかキリト妹いたんだな…」

「悪いかよ。それよりもリクヤ、クライン、流石にこれは変だとは思わないか?」

キリトは俺とクラインに質問を投げかけるが俺たちには何がヘンなのかわからなかった。
そんな俺たちに対しキリトは説明を開始する

「こんな状況なら、運営サイドは何はともあれ一度サーバーを停止させて、
プレイヤーを全員強制ログアウトさせるのが当然の措置だ。
俺たちが気づいてからでさえもう15分は経ってる。なのに対応が遅すぎる。」

「そうか。これってオンラインゲームだもんな…」

「む、言われてみりゃ確かにな。
SAOの開発運営元のと言やぁ、ユーザー重視な姿勢で名前を売ってきたゲーム会社だろ。
その信用があっから、初めてリリースするネットゲームでもあんな争奪戦になったんだ。
なのに、初日にこんなでけぇポカやっちゃ意味ねぇぜ。」

俺にはアーガスとかなんとかはわかんなかったけど
そう思いながらきりと、クラインから目をはずすとあたりは一面オレンジ色だった。

「…キリトもクラインもそう深刻そうにするのはもうやめにしよう?それよりも夕焼けが…」

なにやら話していたが正直話についていけないのでわざと中断させ俺の見ている方向を見させた。
そこにはゲームの中とは思えない夕日が存在していた。

「本当だな、こりゃ確かにきれいだ。な?キリト。」

「ああ。」

俺たち三人はさっきまでのシリアスな空気を払拭するために夕焼けを眺め、その景色を見ていた。
夕日を見ているととゴ―ン!!ゴ―ン!!と、鐘のような大音量の音が突然鳴り響いた。
音が鳴ったかと思えば、俺たちはすでにその場所に姿は無かった。


=始まりの街=

「…ここは?」

俺はあたりを見渡しそうつぶやいていた。

「始まりの街…みたいだな…」

その横でキリトがつぶやく。さらにその隣にもクラインがいた。

「ひゃー、すっげぇ人だぜ…」

そう、クラインが言うように広場と思えるその場所は人で埋め尽くされていた。
おそらくSAO全プレイヤーなのだろう。
その全員が虚空に向かって文句を言い続けている。
すると1人の男が上を見ており大声を出した。

「あっ!……上を見ろ!!」

その声に従って上を見るとそこには思わず目を疑うような光景が広がっていた。
よく見ればただ染まっているだけではなく、【Warning】と【System Announcement】の文字が交互に表示されている。
そこから出てきたのは空を埋め尽くす真紅の空からだらりと血の雫のようなもの
それは地面に落ちることなく空中に止まってその姿を変えていった。
落ちてくる雫は一点に集まっていき、そこから現れたのは大体20mくらいの真紅のフード付きローブをまとった巨人だった。

『プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ。私の名前は茅場晶彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ』

茅場晶彦ってまさかこのSAOを作り上げた人物か?
俺もニュースなんかでこの人の話題は見たことがある…
すると、その茅場晶彦と思われる巨人はつぎの言葉を発す

『プレイヤー諸君は、すでにメインメニューからログアウトボタンが消滅していることに気付いていると思う。
しかしゲームの不具合では無い。繰り返す。これは不具合ではなくソードアート・オンライン本来の仕様である』

ログアウトボタンがないのが本来の仕様…ってことは…俺たちの意識はいまこのゲームの中…
それじゃあ俺達はここから出られないってことか…
なぜだか俺は周りの人がうろたえているにもかかわらず少ない知識で分析ができていた。

『……また、外部の人間による、ナーヴギアの停止あるいは解除も有り得ない。
もしそれが試みられた場合――ナーヴギアの信号素子が発する高出力マイクロウェーブが、諸君の脳を破壊し、生命活動を停止させる』

この発言にもやはり回りはうろたえていたが俺は騒ぎはしなかった…
それよりも…わくわくとした感情らしきものが目覚め始めてきた…

『より具体的には、十分間の外部電源切断、二時間のネットワーク切断、ナーヴギア本体のロック解除または分解または破壊の試み
――以上のいずれかの条件によって脳破壊シークエンスが実行される。
この条件は、すでに外部世界では当局およびマスコミを通して告知されている。
ちなみに現時点で、プレイヤーの家族友人等が警告を無視してナーヴギアの強制除装を試みた例が少なからずあり、その結果。
――残念ながら、すでに二百十三名のプレイヤーが、アインクラッド及び現実世界からも永久退場している。』

「二百十三だって!?…なあキリト…ナーヴギアでどうやって人を殺すんだ?」

その死人の数にはさすがに俺も声を出してしまった…そして機会には疎い俺は隣のキリトに話を聞いた。
キリトの話によると最新の技術を使っているとは言えその原理は電子レンジと同じそうだ。
十分な出力さえあればナーブギアは人の脳を沸騰させて殺すことができるらしい。


『諸君が、向こう側に置いてきた肉体の心配をする必要は無い。
現在、あらゆるテレビ、ラジオ、ネットメディアはこの状況を、多数の死者が出ていることも含め、繰り返し報道している。
諸君のナーヴギアが強引に除装される危険はすでに低くなっていると言ってよかろう。
今後、諸君の現実の体は、ナーヴギアを装着したまま二時間の回線切断猶予時間のうちに病院その他の施設へと搬送され、
厳重な介護体制のもとに置かれるはずだ。諸君には、安心して……ゲーム攻略に励んでほしい』

茅場晶彦…まじでやってくれたな…
俺の心にはうらみのような、でもそれとも違う何かの感情が存在した

『しかし、充分に留意してもらいたい。
諸君にとって、ソードアート・オンラインは、すでにただのゲームではない。
もう一つの現実と言うべき存在だ。
今後、ゲームにおいて、あらゆる蘇生手段は機能しない。
ヒットポイントがゼロになった瞬間、諸君らのアバターは永久に消滅し、同時に、諸君らの脳は、ナーヴギアによって破壊される』

茅場晶彦の言うとおり確かにこの世界はゲームの世界だ。
だけログアウトできない以上、ここは現実になってしまった…
見えなかったはずの死ぬまでの数字が見えるようになっただけのこと…
加わったのが戦わなければ生きていけないということが加わった。

『諸君がこのゲームから解放される条件は、たった一つ。
先に述べたとおり、アインクラッド最上部、第百層まで辿り着き、そこに待つ最終ボスを倒してゲームをクリアすればよい。
その瞬間、生き残ったプレイヤー全員が安全にログアウトされることを保証しよう』

茅場晶彦はそんなことを言っていた。
キリトたちがやったベータテストでも二桁はいけないものらしい
そしてこれは試作品なんかではなく、製品版。難易度は上がっているだろう。

『それでは最後に、諸君にとってこの世界が唯一の現実であるという証拠を見せよう。
諸君のアイテムストレージに、私からのプレゼントが用意してある。確認してくれ給え』

「プレゼント?…なにこれ?」

なれない動作でメニューを開きアイテムストレージをみる。
アイテムストレージを見てみれば、さっきまでなかったはずの手鏡と言うアイテムが入っていた。
俺はそれをタップしてオブジェクト化する。キラキラという効果音と共に小さな四角い鏡が出現した。

それを手にとって見てみるが、そこにはいつも見慣れている俺の顔があった。
そして思う…どうして俺はアバターをかっこよくしなかったのか!…とかそんなことを…。
すると突然白い光が鏡を見ていた俺を包み込んでいった。
一瞬、目の前が何も見えず白しか見えなかったがそれは晴れ、先程の始まりの町の風景になっていた。
しかし少しだけ違っていた。
周りを見ると、先程までいた多種多様な髪の色や髪型、背格好が違っている人物がほとんどだった。
キリト、クラインも同じだった。
俺はほぼ実際と同じアバターにしたから変わらないけど…

「お前ら、キリトとリクヤか!?」

すると隣から声はクラインだけど姿が違う人物が話しかけてきた。
キリトと呼ばれた人物を見ると、俺より少し背が小さくなっているなどの変化が起きていた。

「ってことは…お前、クラインか!?」

「お前ら、変わったな…」

「そういうお前はぜんぜん変わってねぇけどな」

「ほんとだ…何でお前だけ変わってないんだ」

まさか、キリトからそんなことを言われるとは思っておらず俺は素直に「考えるのがめんどくさいから自分の姿にした」と答えた。
その答えに、2人は呆れていたが。

「でもなんでこんなことを…」

頭をかきながら悩むクラインにキリトが巨人に指を刺す

「どうせあいつが教えてくれるさ」

するとキリトの言うとおり、上の巨人から声が聞こえ始めた。

『諸君は今、なぜ、と思っているのだろう。
なぜ私は…SAO及びナーヴギア開発者の茅場晶彦はこんなことをしたのか?
この世界を創り出し、観賞するためにのみ私はナーヴギアを、SAOを造った。そして今、全ては達成せしめられた。
…以上でソードアート・オンライン正式サービスのチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君の――健闘を祈る』

その最後の言葉とともに茅場晶彦は空に溶けるように残響とともに消えていった。
やがて空は赤い空から元の青い空へと戻っていった。
そして一瞬の静寂の後、広場はプレイヤー達の声で埋め尽くされた。

「嘘だろ……なんだよこれ、嘘だろ!!」

「ふざけるなよ!出せ!ここから出せよ!!」

「こんなの困る!この後約束があるのよ!」

「嫌ああ!帰して!帰してよおおお!!」

普通なら俺はこの人たちとは同じ気持ちだろう…
でも、俺は違った。わくわくとした感情が存在していたのだ。
なぜなら先程行ったの戦闘システム、あの夕日、そして茅場晶彦のあの演説方法をみて共通点があった。
それは…

「このゲームのシステム自体は…Talesなんだ…」

俺のいったその単語…そのゲームはおそらくSAO参加者には誰にもわからないだろう
しかしそれを思わせるだけには俺には十分だった…
そのシステムが搭載されているということはその世界にきたも当然なのだ

「あれ?アンタ…もしかしてリクヤ?」

俺が少し喜んでいるとうしろからそんな声が聞こえた。

「どちらさ…お前まさか……」

「そ、そのまさか」

こいつは俺と小、中、高がいっしょの今も同じクラスという人物だった。

「でも、なんで…ゲームしないんじゃ…」

「彼氏と一緒に始めたの。」

この人が付き合っているということが知っていたがまさか隣にいる人物がそうだなんて…
正直、知り合い程度だったんで好意とか全く無かったけど
何ですかこの人は!リア充自慢かコノヤロー」

「いや自慢じゃないけど、ねぇ」

聞こえてた!!そして隣の彼氏に同意を求めようと話をしていた。

「よかったっすね〜大好きな人と最後ができて、どうせHP切れたらいっしょに死ぬんだろ?」

なんかむかついたんで俺はその一言を発してやった。
この世界はもう現実、HPが0になったら死ぬということは先程の話でわかった。
だからこの世界では痛みなく、一緒に死ぬことが可能だ。

「死ぬ気なんてない!私達は絶対生き残る!アンタもせいぜい歯食いしばってがんばりなさいよね〜」

俺はそんな言葉を聴きながらその場をあとにし、移動したと思われるキリトたちを探しにいった。
そういえば、あいつ…ほかの人と違って前向きだったな…
それにくらべ周りはいまだに騒いでいる
悲鳴や怒号、絶叫、罵声、懇願。おのおのの感情をすべてだし…

「…周辺のフィールドは狩りつくされるだろう」

不意にそんなキリトの声が路地から聞こえた。
そこにはクライン、キリトの2人が立っていた。

「2人とも…何の話してるの?」

その声に2人は気づきこちらを見た。

「リクヤか…ちょうどいい。お前も俺たちとこい
俺は危険な場所も全て知ってる。レベル1でも安全な道も知ってる
だから今のうちに次の村を拠点にしたほうがいい」

「でもよぅ…」

そんなクラインから気弱な声が聞こえてきた

「俺は他のゲームでダチだったヤツと徹夜で並んでこのゲームを買ったんだ…
あいつらまだ広場にいるはずなんだ…置いてはいけねぇ…」

そんな声にキリトは考え事をしていた。
しかし、次のクラインの言葉により阻まれる。

「悪ぃ、お前にこれ以上世話になるわけにはいかねぇよな
だからきにしねぇで次の村いってくれ」

だが、その発言にもキリトは暗い顔をしたままだった。

「俺だって前のゲームじゃギルドの頭張ってたんだ。お前に教わったテクでなんとかしてみせらぁ!」

クラインは自信満々にそういいきった。

「そうか…リクヤは…」

俺に振られてきたが俺の中で、答えはすでに決まっていた。
戦闘テクニックを教えてもらうとき、ベータテストでの出来事を含めて…
俺はそれを口にした。

「ついていけば楽なんだろうけどね…でも俺はお前にとっての荷物になっちゃうと思うんだ」

「そんなことは……」

「まぁ気にしないでよ。初心者は初心者なりにがんばらせてもらうからな。
そしてまだ死ぬ気はさらさらない。俺はゲームに来てない友達とももう1度会いたいしな」

「そうか…ならここで別れよう。何かあったらメッセージ飛ばしてくれ。」

「あぁ」

「おう」

俺とクラインはキリトに向かって返事する。
少々、キリトの顔は暗かったが…
そしてそのまま外へ通ずる通路を歩いていく

「キリトッ!!」

そんな時クラインがキリトを大声で呼び止めた
正直隣にいた俺の耳に、少なからずダメージを与えながら…
そして呼び止めたはいいものも何を言おうか悩んでいるようだった
だが、結論が出たのか次の瞬間声が出てきた

「おい、キリトよ…お前、案外可愛い顔してやがんな」

「ブーーー!!」

まさかの発言に飲んでないけど飲み物を噴出しそうになった。
さらに発言は続く

「結構好みだぜ?」

その発言にキリトも思わず振り向く。
さすがに俺はクラインに近づき、右手を左頬に寄せる

「これなのか?」

「ちげぇよ!!がんばれよって意味だ!」

「…これじゃないならいいや…キリト、俺も一言言わせてもらうよ…」

そういい、俺は普段より大きく空気を吸い込んだ。
そっして自らの思いと同時に声にして口から出した

「絶対に追いつくから互いに生き残ろうぜ!!」

俺の発言にキリトも心が和んだのか笑みを浮かべた。

「クライン、お前もその野武士面のほうが似合ってるよ!
リクヤ、絶対に追いついてこいよ!!」

そういい、キリトは走っていこうとした道に戻った。
そしてキリトの姿が見えなくなった後、クラインも広場に戻ろうとした。

「お前、キリトについていかなかったってことは俺みたいに待たせてるやつがいるのか?」

「そんなのいないよ」

「なら、なんで…」

「これは俺の初めての1歩だからな…自分で行かなきゃ
てなわけで俺はもう行くよ」

「そうか…お前も絶対に生きろよ!」

「もちろん!クラインもね!」

俺はそういい、先程キリトが通った道に足を向けた。
こっからは俺の冒険が始まる…その第一歩だった。
後ろから足音が聞こえるってことはクラインはもう行ったんだね…
それじゃあ俺の冒険も初めますか!!
そう思いながら俺は歩き始めた…



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