小説『ソードアート・オンライン 守り抜く双・大剣士』
作者:涙カノ()

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第27話 =まさかの元カレ!?=


=48層=

「いらっしゃ…なんだ、リクヤたちか」

「なんだとはなんだよ…」

一応客としてきたのにその対応はないだろ、と思いながら備え付けの椅子に座る。どうやら今はほかの客もいないらしくこいつも暇をもてあましていたらしい。客がいなければ俺もリラックスできるのでうれしいけど。

「リズ、お昼ご飯もって来たよ」

「お、今日はサチのかぁ…皆はもう食べたの?」

リズの言葉に全員首を横に振る。1人店で頑張っているのにずっと楽してる俺達が先に食うのもなんだしな。
別に楽したいからしてるんじゃなくて周りがうるさいのが嫌だから、という理由なんだけども。

「どうせなら皆で食べようと思ってな」

「リクヤにしては気の利いたこと考えるじゃない」

「いつもこんなんだったらいいんですけどねー」

シリカの言葉に全員の視線がこちらを向く。なんか…いわゆるジト目?そんな感じだ。それにため息と…

「…そ、それよりも飯だ飯!……ん!?」

これ以上この空気にしておくと俺が殺され(精神的に)そうだったので手元に出した包みを開け、その中に入っていたサンドイッチのようなものを口に含む。含んだところで俺の口の中に表現されたのは某ハンバーガー店のあの超と言ってもいいほど有名なあの味だった。

「前にアスナと頑張って作ってみたんだけど…どう?」

いやぁ、1年半近く味わってなかった味を食べればがっつくのが人間だと思うんだ、うん。そんなわけでサチの質問が耳に入っていないくらい俺たち4人は食べ続けた。ちらっと見えたサチの顔はなにやら子供を見守る母性あふれる微笑を浮かべていた。

「…っぐ、ふぅ…美味かった美味かった!また作ってもらってもいいか?というかレシピ教えてくれ!」

「う、うん。もちろんだよ」

「私にも作ってください!」

「あたしも!」

「私も…いいかしら?」

何かを次も!と言われることは俺は多かったほうだけど言うことは少なかったからこんなに早く次食べたいって思うとは久しぶりだからなんか不思議な感じだな。
少しサチに聞いたところ普通じゃありえなさそうな食材と食材、もしくはモンスターのドロップ品のかけあわせでできるらしいので今度、俺も試してみようかな。

「あ、そうだ。リズ、俺の武器研いでくれよ」

「別にいいけど…あんたの武器って普通に重いから」

「分かってる、いつものだろ?」

そういい奥へ行くリズについていく。そんなに歩く距離ではないが自分の武器を取り出すのにはちょうどいい時間だった。いつものように俺も回転砥石の前に立ちまずオータムリリィを水平に構え、剣の腹部分をリズが支え、砥石に当てていく。砥石は別に一定時間当てるだけで全体やったことと同じになるのだがスキルでどうしても完成度に差が出てしまう…らしい。そしてスキル判定されるのは最も砥石に近い人らしいのでいつもこんなやり方だ。リズは気分なのか集中したいらしくこのときはいつも無言で暇なのだが。

「ふあぁ…昼だから眠「何でここにいるのよ!!」…ん?」

「ユカの声ね…」

リズは会った当初、昔のようにユカにちゃんづけだったのだが最近ではもう普通に呼び捨てだ。それどころかシリカが俺たちには一応さん付け以外全員他人のことは呼び捨てだ。

そんなどうでもいいこと考えている暇はないと思い、ちょうど研げたオータムリリィを持ってカウンターに急ぐ。そこにはアスナとよく似たような…というかKoBの制服を着た男プレイヤーとユカが鉢合わせになっていた。

「なんでって…俺も一応剣士だからね」

「そうじゃなく「…どうした、ユカ?」…リクヤ…」

そのプレイヤーとユカの間に割り込み、ユカをかばうようにして立つ。ユカの顔にはちょっと険悪そうなといったような表情が浮きでていた。こんな姿は、引き籠もってたあの時代にもあまり見られるものではなく俺も少し驚いた。

「リクヤって…もしかして…」

「……お前もSAOやってたんだな…」

俺の前にいたのは元クラスメイトとして記憶に残っていた(名前は忘れた)やつが立っていた。向こうは俺のこと名前だけ知ってるみたいだけど…世間狭すぎじゃね?幼馴染はいるし、同級生もいる、クラスメイトも…あれ、これって1万人限定でしたよね?
それはともかく…

「で、何でお前は声上げたんだ?」

「それは…その…「彼女が俺の元カノだからじゃないか?」…っ」

「ふーん。で今日はなんのようですか、KoBさん?」

「武器屋にきたら用は1つでしょ。…でもいい武器もなさそうだな」

こんなやつらが屯ってる場所じゃな、付け加え俺たちを含む店全部を見渡す。恐らく、こいつはアスナがこの店に通ってることを同じギルドだからか知っており、武器を見に来たのだろう。最後のがなきゃことを大きくする理由もなかったんだけど…

「そうだな…お前に扱える武器は存在しないよ」

「…どういう意味だ?」

「そのまんま。扱えるような弱い武器は置いていないんだよ。それに少なくともここにいる全員、お前よりかは上だぜ、レベル」

得意じゃないけどちょっと挑発じみた発言を。なにやらため息が聞こえるので前のヤツがやったのかと思いきやサチ&シリカが呆れてものも言えない、見たいな感じだった。

「最強ギルドの一員の俺がお前等みたいな名も知れないギルドに負けるって?」

「だからさっきからそういってんだろ…」

「そこまででかい口叩くなら分かってるんだろうな…!こい!」

まさか挑発に乗ってくるとは…ちょうどいいか、ユカが裏切られてその相手がこいつだ。それだけで俺の怒りは爆発寸前。もともと沸点低いし何よりそんな嫌なことされたのが自分の幼馴染、黙っておけるはずがない。こいといわれたのでそれについていき外に出る。すると挑発に乗った相手好例なのかデュエルが申し込まれた。
えっと…名前が…「マルベリー」?女みたいな名前と思ったのは俺だけじゃないはず。

「…リズ、もう一本できたか?」

「そんなに傷ついてなかったから簡単だったわ…」

もう終わらしたのかトレード欄で俺にキャリバーンを渡す。なんでオータムリリィを使わないのかというと、ただ単にリズの剣でこいつに触れたくない、って理由しかない。それでもう片方を使うっていうのもおかしいけど。

「さて…覚悟は出来てるんだろうな」

「覚悟?なんの?」

Yesを押し、キャリバーンをオブジェクト化、それを定位置に…キリトみたいな感じで装備する。ちょっとアレかっこいいな〜なんて思ってこいつはここって決めたけど…まだ腰の方が体の回転に抜刀威力がプラスされるから威力的には微妙だな。
抜刀の威力がないのなら先に抜いておく。銀の刀身が光を反射、さらに柄の上の方についている紅い結晶も同じく光を反射する。

さて、デュエルでは手、抜きたくないし俺の怒りとかぶつけたいから集中だ。最近できるようになったけど周りの声も俺の耳に入らせずカット、目の前のヤツ以外、視界にも入れない。言葉だって最後に答えたのが最後。もう言葉は交わさないつもり。

「負ける覚悟…だよ!」

どうやらすでに時間が経っていたらしく相手が飛び込んでくる。俺の記憶だと確かこいつ剣道部だっけか。
武器も俺と同じ大剣だがそれを剣道の竹刀みたいに構え跳んでくる。構えとか剣道やってないから知らないけど。
相手もソードスキルはPvPでは無駄と分かっているらしく、使わずただの振り下ろし攻撃を仕掛けてきた。それを左手に持ったキャリバーンで受け止める。
…うん、パワーないな。ちょっと手首をひねりその剣を外側へ弾く。

「悪いけど…遅いわ」

武器を振る速さは敏捷値の次に筋力値が求められる。さすがにアスナやキリトみたいな敏捷あげてる剣士には俺は勝てないがそこそこ速いって自分でも思っている。
なので左を頭上に上げ隙だらけの相手の体に振り下ろす。まだまだ攻撃したいのでいわゆる弱攻撃だ。
さらにそこから振り上げる。といっても、これも弱攻撃。相手も少しはなれて様子を見ようとするが…もう決めよう…
足に力をいれそこから水平に跳び、わざと相手の武器に俺の武器で攻撃する。キリトがこの前やっていた武器破壊をやってみようとしたのだ。運のいいことにその直後耳をつんざくような金属音が響いた。

「…お?出来た?」

「なっ!?」

そりゃ驚くだろうな、自分の武器が破壊されるなんて。リズが作った武器なら迷わず相手の体狙ってたけど…そうでもないしいっか。そんな感じでわざと音を立て武器を収める。

「で…武器変えて仕切りなおしか?次は…そんな甘いことしないけど」

「…くっ…降参!」

諦めてくれた、よかった。あいつが俺を見て何かつぶやいたようだけどあいにく聞き耳スキルあげてないんだ。

「なんだったの、あいつ?」

「ユカの元カレ…てヤツだろ?」

「でも…向こうはリクヤさんも知ってたみたいですけど?」

「…一応、クラスメイトだと思うからな」

名前思い出せれば本当によかったんだけど…いや思い出せないほうが逆にいいか。手加減する必要ないし。

「…あいつは…「今は言わなくてもいいぞ」でも!」

「もうちょっと気持ち落ち着いてからのほうがってことよ」

リズが慰め、一旦リズベット武具屋に入ることとなった。ユカがこんなにうろたえる?というのは意外とないから正直心配だ。俺はそんなこと経験無いからわかんないけどな…












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