小説『ソードアート・オンライン 守り抜く双・大剣士』
作者:涙カノ()

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第30話 =鳥人の大群=



「…なぁ。俺ついてくる意味あったか?」

うしろで絶賛暇をもてあましているキリトが呟く。前でユカ、シリカ、サチの3人が1体を3人で叩くという鬼畜な戦法に出ていてなおかつそのモンスターも一回に1体づつしか出てこないから同じく後ろにいる俺も暇なんだけれど…

「あいつらのレベル上げのサポートのために」

「…まだ…差、あるのか?」

キリトの問いに「あぁ」と答える。それでも差はなくなってきたほうだしそのおかげでギルド内の平均レベルも上がってきた。
俺が22層で休んでいたときも時折3人でダンジョンへ行く時があったからもう戦闘も心配する必要もないし逆に頼もしい。

「へぇ…」

なんか感心しているようなよく分からないようなキリト。こいつはソロだから仲間のレベルアップで他人が喜ぶってことわかんねぇだろうな、きっと。

「キリトー!今どこら辺なのー?」

「お、おう…あと少しで俺のマッピング部分も終了するー!」

キリトの大きな声にサチもまた大きな声で礼を言い、前を向き歩き始めた。なんか最前線だってのにでおしゃべりしながらって緊張感本当にないなってあいつ等見てると思えてくる。でも逆にいつも死ぬって考えすぎて緊張しすぎてもこの世界じゃ生きられないからそんな人から見れば羨ましいことなんだろうな。
そんなとき…

「…っ!」

不意に気配を感じ左へ、キリトも同じことを感じたのか右へそれぞれ飛ぶ。先ほどまで俺たちが立っていたところを見るとそこにはモンスターが1体剣を振り下ろしていた。姿はやはり鳥人のような感じだけど…そのパッと見20はいるんじゃないかいうくらいの鳥人どもが空を飛んでいる。音もすさまじくそのおかげでサチたちも話すのをやめ、戦闘体制に入ったのがチラっと見えた。

「リクヤ、気をつけなさいよ!」

「こっちの台詞!」

一旦、2手に別れてこの大群に俺たちは立ち向かった。

――――――――

「ぜやぁあ!!…キリト、スイッチ!!」

「おう!」

スイッチのために相手のガードを崩すのは筋力値の高いプレイヤーの方が有利、というのが常識なのでなのでまず1体のガードを誘発させそれを崩す。いつもならここで2撃目にいけるけど残念ながらもう1本は外してしまっており左手はいま寂しい状態だ。そのことを残
念に思っているとキリトが4連続剣技『バーチカルスクエア』で攻撃、瀕死に追い込む。キリトはさらに追撃で斬り払いしモンスターに止めを刺す。
目の前にウィンドウが開かれるがそんなものを見ている暇もなく次が来た。

「これ何体目…だぁ!?」

それほどボス部屋に近づいてきたのならいいけどさすがに多すぎる…向こうのシリカやサチ、ユカも少々HPは減っているもののまだ1割未満なのでピンチではない。俺たちも少し緑部分がかけてるくらいなので心配はない。

「まだ7体くらいだ!」

相手の攻撃を防御、弾き返しさらにスイッチしてキリトは『ヴォーパル・ストライク』を繰り出しHPは削る。さらにスイッチの号令がかかり前方へ足を出し体に勢いをつける。

「まだそんだけかよ…裂空斬!」

そのまま悪態をつきながら空中で回転ジャンプを2、3度繰り出しその勢いに任せ剣で斬りつける現実じゃ絶対に出来なさそうな技で縦に説明どおり斬りつける。ジャンプの着地でしゃがんでいるがコレも次の技へのステップ。

「空蓮双旋華!」

そのまま地面に剣を立てそれを軸に右で後ろ蹴り、その回転力を殺さず左で蹴りをいれ、着地した左足を軸にし回し蹴りを与える。
この攻撃はまだまだ続き先ほどの回し蹴りの勢いで立てた剣を抜き、振り下ろしまた高く斬り上げ回転斬りを喰らわせるという結構動く技なのだが案外的がでかいので当てやすかった。

『次、来るぞ!』

「分かってる!…キリト、リンク!」

「あぁ!…って何が!?」

「いいからYes押せ!」

最近分かったことだが、この『共鳴(リンク)』ただパーティを組んでいるだけなら自分が右上にある共鳴したい人の名前に触れ、その触れられた相手がYesを押すとやっとつながる物らしい。
ギルドメンバーならあらかじめ決めていた合言葉みたいなもので速攻で出来るんだけど…
俺たちは前までは2人合わせて共鳴と叫んでいたが緊急時に対応できないためまずするほうは共鳴する相手の名前の後に共鳴といい、相手が受諾すると自動でつながるように試行錯誤してやっと決めることが出来た。

それはともかくキリトが押してくれたので共鳴はこれで完了、俺的にはスイッチよりも対応しやすくなった。キリトはどうだか知らないけどあいつならすぐ慣れるだろ。

「…なんなんすか、コレ?」

「共鳴ってやつ。いうなればシステムのスイッチだな。…来るぜ!」

幸か不幸か、モンスターはなぜか一体ずつしか降りてこない。…なにかのイベントか?一旦、その考えは隅に追いやってさっきと同じように攻撃を弾き、ガードを崩す。そして間髪いれずにキリトが相手の胸らへんをに斬撃を加えようとする。が、相手も黙っていないのか自身の剣でそれを弾こうと剣を出すが横にいた俺がそれを阻止、キリトの攻撃を続行させる。

「うおぉぉぉ!!」

「やってみますか!」

共鳴の特性上、キリトがそのまま『バーチカル・スクエア』をだすのが分かったのでこのことを後で説明しなきゃ…なんて思いながら連携をさせるために俺も技を出す。

「「月華斬光閃!!」」

キリトがわけがわからない顔でシステムに従い、剣を振り上げ直後月を斬るように振り下ろす。そのまま自動で俺にバトンタッチ、久しぶりに剣を両手で持ち吹き飛ばすのと斬るのを合わせた感じで振り払う。モンスターはそのまま飛ばされてフェードアウトして見えなくなった。ポリゴンになったらしく眼の前に再度ウィンドウが開かれる。

「おい、何だったんだ今の!」

「説明はあとでするから!また来るぞ!」

俺のその言葉に反応するかのようにまた1匹、俺たちの眼の前に現れる。一応確実に倒せてるけどもこの方法だといつ全部を倒せるか想像もつかない…まだ上で再出現してないとは言い切れないし…

「せぇい!!」

「あぁぁ!!」

ガードを弾き、俺とキリとでほぼ同じタイミングで相手に斬り降ろしを行い、何度目かの悲鳴を上げさせる。キリトがそこから突き攻撃を仕掛け傷を示す紅いエフェクト部分にさらに追撃を仕掛ける。俺も同じように突きを行いその直後、俺とキリトはそれぞれ自身の外側に向けて斬り払いまた、モンスターをポリゴンと変換させる。
コレは共鳴専用ソードスキル『リンクドライブ』…てソラが教えてくれた。

「…キリがないな…どうするリクヤ?」

「どうするって言われてもな…どうにかして降りてくる数増やせればいいんだけど…」

降りてくる数が増えればこちらはどんどん苦戦となっていくが上のモンスター数は一気に減るだろう。サチたちのほうを見るとどうやらあっちも1匹を相手しているらしい…キリがないからこうなったらあの手段しかないか?

「キリト、部屋の目星って付いてるか?」

「…一応。このまま真っ直ぐ行けばいいと思うけどな…」

「ふーん…「ふーんって…まさか?」…じゃあ、走りますか!」

あの手段というのは至極簡単なもの。
RPGでは恐らく絶対にあるだろうと思われるコマンド『逃げる』だ…まぁ俺たちの場合コマンドではないけれど…隣のキリトに一瞬驚かれその直後ため息をつかれた。いい案だとは思うけどな。エンドレスな戦闘なんて誰もしたくないだろ、普通。

「…たく…でも、1つの案ではあるな…」

「だろ?…サチ、ユカ、シリカ!前方へ全力疾走!!」

俺の一言にサチたちは一瞬、何言ってんだこいつみたいな顔をされたけど俺が何か考えている部分だけでも伝わったのかモンスターのHPを一気に削りキリトがボス部屋だろうと目星を付けた部屋へと一気に駆けていく。
それを見た俺は地面を蹴り地面を跳ぶ。キリトは敏捷値も高いのでほかの皆と同じように走っている。
ジャンプではさすがに走りには勝てないためキリトに抜かされるがそんなのも気にせず前へ移動、大群を振り切る勢いでどんどん進んで俺たちはボス部屋を目指した。











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