小説『ソードアート・オンライン 守り抜く双・大剣士』
作者:涙カノ()

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=前書き的なもの=

内容を変えました!!編集する前のを呼んでくださった方、本当にすみません
前と変わらずグダグダですが…宜しくお願いします




第41話 =報告=



=第48層=

「……どうだ?」

「………」

俺の目の前ではお吸い物を静かに食べているサチやシリカ、リズにユカがいる。意外とこの光景ってシュールなんだよな…だっ
て、ここは回りに剣や盾が置いてある武具店なんだから。

「…なつかしい味だね…」

「おいしいですよ!」

「……まさか本当に完成させるなんて…」

「やるじゃない、リクヤ」

女性陣4人からこんなにほめてもらえるのは結構一緒にいる俺でもなかなかないので思わずガッツポーズをしてしまう。
これで、レシピの完成だ…鰹だしの。ここまで来るのは本当に大変だった。サチとアスナが共同して作った醤油や他のいろいろ
なソースのレシピをもらい、それらを組み合わせてみたり、自分で狩ったモンスターのドロップ品で食べられるものを試してみ
たりと2人には届かないかもしれないけど結構な試行錯誤を繰り返した。

「でも、まさか調味料以外のもので出来るなんてね…盲点だったよ」

「本当だよな…グラムライト草の出汁にウイングロードの肉汁、レシピもらった醤油にマヨネーズ…だからな…」

ウイングロードとはあの73層の鳥人だ。ウイングロードの肉は今はこうして鰹だしの元として活躍しているが食べ物としては恐らく中の下だろう。焼いて食べるといい歯ごたえ…ではなくなんか無駄に硬いし、煮たら煮たでこれまた微妙だったし…と俺たちの中では不評だった。ラグーラビット食べたとかいったキリトが羨ましいな、本当に。

「でもこんなに材料がいるならあんまり需要ない気がするけど…」

リズの言ったとおり、問題はそこなのだ。材料が多すぎる。醤油、マヨネーズは比較的簡単な草や骨なのだが俺の作っただしには最前線近い物があるから出回ることは全然ないだろう、出回らす気もないけど。

「たまに違う味が楽しみたくなったらまた作るさ…」

「…そのときは私も手伝うよ」

「あーあ…私もスキル上げておけばよかったかしら…」

いまさらだな、と思いつつ先を行っている事に対して俺が少しドヤ顔をするとナイフが飛んできた。なんで毎回毎回ナイフが飛
んでくるんだろうな…

「明らかにリクヤさんが悪いですよ」

…やべ、声に出てたっぽい。それでもよかったことは話してたおかげでユカには聞こえてなかったことだけか…
と思っていたら突然リズベット武具店の扉が開き小さな鐘の音が部屋に響いた。

「いらっしゃいま……なんだ、キリトか」

外にはCLOSEDと札がかかっている。それのにもかかわらず入ってくるのは俺たちの知り合いくらいしかいないだろう。そしてリズの知り合いといえば俺たちを除いてアスナにキリト、クライン、エギル…俺が知ってるのはそのくらいだ。職人どうしで他にも知り合いがいそうだけど、会う機会もないからべつにしらなくてもいい。
で、今入ってきたのは2人目に紹介したやつ、キリトだった。

「…見事に全員揃ってるな…」

「そりゃそうよ…リズのお店手伝ってたんだし」

いまや大人気武具店となったリズベット武具店。でもNPCだけじゃ客をさばききれないと家に帰るとリズがこぼしていたので攻略
のしない日などを作りそれをお店の手伝いに当てていたのだ。そしてそれが今日だった。

「な、なるほどな…」

「…早く入ってよ、キリト君…」

「それで2人して顔赤くしながらここまで来てどうしたんですか?」

シリカの声にキリトの後ろから入ってきたアスナまで「なっ!」と驚いてさらに顔を紅くしていた。感情表現がめちゃくちゃオー
バーなのだ。それこそアニメやマンガみたいに頭から湯気出したり、顔全体が本当に真っ赤になったトマトみたいになったりと。

「えっと…報告があります…キリト君、お願い」

まさかのパスにキリトは驚いて目を回して…はいなかったけどあたふたしている。

「…スゥ…ハァ………」

そして何度か深呼吸をして改めて俺たちを見た。

「……この度…俺とアスナは…」




「結婚、しました」



いつもならここまで顔の赤いキリトに大爆笑を向けていただろうけどさすがに今は俺でも空気が読める。
…祝福すべきだって何かが言ってるし。
さすがに付き合い始めた、ではなくいきなりの結婚にはびっくりさせられそうになったが俺らが見ている中での長いキスをしていた2人なのだ。それもありかな、なんて思ってしまう。そもそもSAOには恋人なんていうシステム上の関係は存在しないから2人がくっつく方法が結婚しかないのだけれど。

「それにしても…やっとなのね」

「誰が見てもお似合いだったのに」

ユカやサチが話す中、報告をした2人はなぜかぽかんとしていた。

「……驚かないの?」

「いや…ダンジョンでキスしてたから」

「「見てたの(か)!?」」

「…まぁお前らよりかは早く決着ついたし」

まさかこの2人完全に俺とユカを空気としてみていたんじゃないだろうな…逆に悲しくなってくるぞ…そんなことを思っている
と真っ赤なトマト…じゃなかった、真っ赤なキリトも反撃か何かか口を開いてきた。

「お、お前だってユカとしてたじゃないか!」

「なっ!?」

この一言はこの部屋全体を凍らせるには恐らく一番効果のある言葉だったのだろう…通常は。実際に俺には今までで何度もあっ
たけど精神的ダメージが半端じゃないほど与えられる刃だっただろう…。

「ふーん…キスしたんだ…」

声を出来るだけ低くしてそういうリズ。入り口付近ではキリトが「…言っちゃいけないこといったか?」などとほざいているが
本当にその通りだ。なので一発殴りにいきたかったが残念ながら不可能…

「ゆ、ユカからだって!!」

なので必死の抵抗を試みる。

「…しってるから…いいけど…」

「……え?」

「だから、私たちもう知ってるんだよ……その…」

ちらちらとアスナたちのほうを見ながらもごもごするサチ。鋭いアスナが「帰るね」といいながらキリトを引っ張り外へ出てく
れたのでサチにとってはよかったらしいが俺にとってはどの状況でもアウトだよ…

「…で、し、しってるって?」

「えっと…その…」

「私、話したのよ。キスしたこと。」

マジですか…と思ったけど驚きのあまり口には出なかった。そこからさらに話を聞くとどうやらサチとのキス―事故だけど―や
リズとのキス―あれは向こうからで…―とかシリカとのこと―あれはピナが…―までも女性陣の中で情報交換がされていたらし
い。…あれ、俺全部事故or受動的?

「……あー…何故?」

「実は…」

この4人、家では恋愛トークで結構盛り上がっているらしい。部屋の違う俺にはそういった音がまったく聞こえないので知らな
かったけど…。
多分、そのいつもの恋愛トークのときは俺、料理したり小説読んだりと暇をもてあましてたんだろうな…
どうやらそのときにサチが口を滑らしてしまったらしい。そこからそういうのを隠すのはやめよう、ということになったらしく
自分たちの恋心も打ち明けていた、らしい。


「……で、好きな人って?」

「「「「……リクヤ(さん)」」」」

全員顔が真っ赤だ…多分、言われた俺もなのだろう…遠まわしとはいえ向こうに告白させてしまったし告白受けたし…

「…俺は……どうすればいいの?」

女子にこんな質問するのは失礼だと思う…でも、俺はこういった経験が一度もない。付き合うとかそういうリア充展開はもちろ
ん、告白したり告白されたり…異性との関係を友達以上にまで上げたことがないのだ。…いま考えると「恋」というものも俺に
は覚えがないんだ…

「…今じゃなくてもいいからさ…」

「リクヤさんが私たち、選んでください…」

「選ぶって……言われてもな」

「それとも…リクヤにはほかに好きな人がいるのかしら?」

そういわれれば俺は「いない」と即答できる。いままで好きな人…とも考えたことがなかったし現在進行形でそれも考えられな
い。もっといえばゲームでもそういう関係になるキャラはいたけどそれが理解できなかった。

「…で。どうなのよ?」

「俺にはさ、好きな人も…いないけどさ……ごめん、今は決めれない…」

そういって俺はリズベット武具店の扉を乱暴に開け外に出る。扉が少しだけ空いてた時間があったため後ろから俺の名前を呼ぶ
声が聞こえるが気にしてられない。

「…突然言われてもわかんねぇよ」

自分の気持ちもわからないやつに人の気持ちなんか受け止められるはずがない。罪とか怒り、憎しみなら簡単なんだけどな…そ
んなことを思いながら日が沈みかけている48層の中を俺はどこに行くのかもわからずずっと走っていた。








=あとがき=

今回は今まで以上のグダグダといっても言いすぎじゃないような気がする…
ユカ回が本当にピークだった気がします…

ちなみに変更した理由はこのままだと矛盾点が生まれるんじゃないか…まぁ、そんな感じです





-44-
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