小説『ソードアート・オンライン 守り抜く双・大剣士』
作者:涙カノ()

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第44話 =告白=


=第22層=

…入りにくいな。

それが家が見えるとこまで着いたときに思ったことだった。
理由は単純、家の周辺にサチやシリカにリズにユカはもちろんキリトやアスナ、クラインら風林火山がドタバタと騒いでいるからだ。しかも全員の顔が険しい…この世界は無駄に便利で視界に入ったものをズームできるんだよな…それでみるとシリカ泣いちゃってるし…他のみんなもなんか…。

「……どうすればいいんだ」

夕方とは違う意味でここから逃げ出したくなった。理由は簡単、絶対怒鳴られるのがわかっててそこに行く人間なんて普通いないだろ…

「……リクヤ!」

「…うぉっ!?……なんだ、キリトか…」

「なんだ、じゃないだろ!!…皆心配してるぞ!」

コソコソっと行こうとしたらさすがといおうか、新婚さんのキリトに見つかった。キリトが叫んだせいで他の人にもその声が聞
こえぞろぞろとこちらへとやってきた。

「…よ、よう…クライン…」

「ようって…お前なぁ!!」

クラインに怒鳴られながら俺は紅い鎧の男数人に囲まれてしまい、手を引っ張られて無理やりにでも引っ張られていきどんどん
家へと近づいていった。多分、俺の筋力値なら抵抗できたはずだけどそれをしなかったのは俺を心配してくれた、というのがた
だ単にうれしかったからなのだろう…自然と俺の顔は笑みを浮かべていた。そして俺を家の前まで送っていくと「事情はお前が
キチンと説明しろ」と言い残し、クラインらが帰っていきそれを見送った後、キリトたちも帰っていった。

心配してくれてありがとう…と、心の中で思うとまた少し笑ってしまいそのまま家に入っていった。
んだけど…それは家に入った途端に青ざめた。

「…痛ってぇ!」

家に入った瞬間、突然棍を出してきたサチを見かけてしまい棍術ソードスキル『旋槍』というちょっと特殊な突き攻撃を繰り出して来るのがわかったからだ。そしてそれがものの見事クリーンヒット、扉まで飛ばされた。

「……どこ、行ってたの?」

「どこって言われれば…48層?」

「…なんでよ?」

なんでって言われるとそれは多分…いや、絶対に皆に話さなければいけないことだろう。俺はサチにみんなの前で話すといい奥まで歩いていく。

「あ…忘れてた。ただいま、サチ」

「……おかえり」

先ほどの起こっている表情はどこへ行ったのやらものすごく優しい笑みを浮かべ答えてくれた。すると、目の前から淡い水色の羽根に包まれた小竜が俺に突っ込んできた。

「おっと。ただいま、ピナ」

それをふんわりと受け止め頭の上へ乗せる。結構重いから時々シリカをすげぇって思うときは歩けどふわふわだから重さなんか
忘れられる。俺の声に反応したのか「きゅー!」と元気に鳴き髪を引っ張り皆がいると思われる俺の部屋…まぁいわゆるリビン
グだけど、そこに連れて行こうとする。

「帰り…遅くなった、ただいま」

「…り、リクヤさん…」

「なにやってたのよ、馬鹿!!」

シリカには泣きながら出迎えられリズにはやはり怒鳴られました。そしてユカには…と思ったらそのユカがどこにもいないじゃ
ないか、ということに気づきリズに聞こうとすると突然扉が開き、ユカがそこから出てきた。

「…遅かったじゃない…」

「悪い…な、本当に」

一瞬、それだけかよ…って思いかけたけど感情表現が激しいこの世界のため瞳に涙が浮かんでいるのがすぐにわかった。ユカも
それに気づいて必死で涙を拭こうとしているが。

「……えっと…ま、まず…椅子に座ってくれよ」

座らせたはいいもののそしてここで無言の時間が始まってしまった。まぁ、ここにいるうちの4人が一斉での告白をして残る1人が答えもせずに逃げてきたからなんか気まずい空気が漂ってる。そもそも俺自体、こういう会話で始めることがほとんどなく大体話す相手から恋愛話が始まって俺がそれに乗っかる、というのがいつもなのだ。だからなのか最初になんて始めればいいのかがわからない…ここで第3者がいれば話を振ってくれそうで簡単なんだけど今からの話は第3者には聞かれたくない。
…やるしかないか…と少し、深呼吸をし気持ちを落ち着ける…幸運にも今ここに全員いるから呼びに行くなんて恥ずかしい事は
せずにすむのだけど。

「…あの、さ…さっきの…話だけど…さ」

俺が言葉を出し始めるとみんなの体が一瞬震え、あのときのことを思い出したのか一気に顔が赤くなっていた。

「あ…あのときのって…リズのお店での…こと?」

「…う、うん」

「い、今言わなくたっていいじゃないですか!」

シリカがそういうが俺はそれに対し首を横に振り「今の俺の気持ちだけでも伝えなきゃいけないんだ」と宣言してしまった。

「…で、あんたの気持ちって言うのは?」

「……告白されたことが初めてだったからあのとき本当にうれしかった…でも…俺は思ったんだ…本当にそういう感情を皆に持っていたのかって……」

「それで…?」と聞いてくるリズに俺は首を横に振る。

「…多分…異性、じゃなくて友達とか、仲間とかってずっと思ってたんだ。それでも、サチやシリカにリズ、ユカの気持ちは本物だって…いや、そこまで断言できたわけじゃないけど嘘じゃないって言うのはわかった。だからそんな中途半端な気持ちじゃ答えちゃいけないって思って…ずっと考えてた…」

ソラにも助言をしてもらいぐちゃぐちゃだけど俺の中で…意見はでた。そのことをしっかりと自分の脳にも焼き付けるようにしっかりと口にする。

「言ってくれたのに失礼だと思うけど……やっぱり選べない…」

「……そっか」

少し残念がるサチ。そのまま話の終わりかと思ったのか座っていた椅子から立ち上がろうとするところを「まだ言わせてくれ」とギリギリのとことで引き止める。
ここからは俺の希望だ。それが受け入れられなくてもいい…

「でも俺は…誰か1人でも欠けたら嫌なんだ…皆とさ…ずっと一緒にいたい…一緒に戦ったり、ご飯食べたり…他にもいろいろ…だから俺と…その…」

あと少しのところで言葉が出てこない自分の言葉の引き出しの無さに本当に絶望だよ、これ…。悪あがきで頭をかきながらずっ
と「あー」とか「うー」とかうなっていると誰かがくつくつと笑うのが聞こえ、その方向を見るとその笑っていた人物はユカで
それを始まりに皆が小さく笑い出した。

「大事な言葉が出ないのは相変わらずね、本当に」

「…う、うるさいなー」

「でも、あのリクヤさんから告白じみた台詞を聞けるなんて」

シリカにつっこまれてしっかりと覚えている会話の内容を思い出してしまい、熱湯でもかかったかのように俺の顔は一気に熱く
なってしまう。…いま考えればただ、1人じゃなくて皆になっただけでこれって告白じゃないか?…

「…わかったわよ…あたし…ううん、あたしたちでよかったらずっと一緒にいてやるわよ」

リズのそこにいた全員を代表したような言葉に一瞬で俺の持っていた不安はどこかへ行ってしまった。

「…ありがとな」

「でも…ようやくリクヤのそういう言葉が聞けた気がする」

「まぁ、わかってたけどね。リクヤが誰も選べないっていうことくらいは」

「え?…なんで」

まさかのわかってた発言をしたユカに聞くと「リクヤ(さん)鈍いもん」とユカ以外の全員に口をそろえて言われてしまった。俺って鈍いんじゃなくて恋を知らなかっただけじゃないかって反論しそうになったけどまた何か言い返されそうなのでやめといたほうがいいだろう。
でも、これでみんながバラバラになるなんて最悪の事態は無くなったし、俺の気持ちも伝えられた。あとはこの気持ちに嘘をつ
かないように頑張ってサチ、ユカ、リズ、シリカの4人はもちろん、自分自身も守らないと…な。









=あとがき=
あけましておめでとうございます!!
正直「皆と一緒にいたい」と言う台詞が好きなのでこの回は駄作ですがお気に入りですww

そしてまだまだアンケート実施中です!!
どしどし意見ください!!






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