小説『女戦士は穏健派』
作者:剣聖()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

第十一話のつづき



源太郎〔!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふっっ!
ふひいーーーーー(大恐怖+超驚愕+超興奮)!!!
ふひいーーーーー(大恐怖+超驚愕+超興奮)!!!
ふひいーーーーー(大恐怖+超驚愕+超興奮)!!!
ふひいーーーーー(大恐怖+超驚愕+超興奮)!!!
ふひいーーーーー(大恐怖+超驚愕+超興奮)!!!〕

太一〔ひいいいいいいいいいいい(超恐怖)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・きゅ!!急に猛獣みたいな怒号!!!急にけたたましい轟音!!!
へ・・・下手な[おばけ屋敷]なんかよりずっと心臓に悪いよ・・・!!!〕


ードックン!!!!!ドックン!!!!!ドックン!!!!!ドックン!!!!!ドックン!!!!!ドックン!!!!!ドックン!!!!!ドックン!!!!!ドックン!!!!!ドックン!!!!!ドックン!!!!!ドックン!!!!!ドックン!!!!!ドックン!!!!!ドックン!!!!!ドックン!!!!!ドックン!!!!!ドックン!!!!!ドックン!!!!!ドックン!!!!!(←源太郎の心臓が凄絶なまでに脈打ち、大音響となって周囲に迄響きわたる心拍音)ー


あっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・し!!失礼致しました!!完全にボーっとしておりました!!
え〜〜と!一瞬の内に美智子の姿が消え、その後あお向けに倒れて毒吐きだす源太郎の所までは私もお伝え致しましたが、その後の瞬間です!!!
急に美智子がはるか上空・・・おそらく!100メートル以上はゆうに有る高さでした!そんな上空から姿を現わし!膝を抱えて丸まった体勢から源太郎が倒れている付近にめがけて、まさに!ミサイル弾か焼夷弾(しょういだん)の如き、眼にも留まらない凄絶なウルトラスピードで急降下し出したのです!!!無論!その様な急降下ですから!降下する効果音ももの凄いし!降下の迫力もスゴイなんてもんじゃありませんでした!!!
そのスゴさを表わすものとして、源太郎の悲鳴が大絶叫だったのですが、恐怖が凄絶なあまり声がこの上なく引きつりまくって絶叫なのに周囲に大きく響いていないと云う異様な現象に陥った訳でありました!!

そして、降下しながら地面が近くなると!膝を抱えた体勢から両脚をキッチリと奇麗(きれい)に揃えてピンッっと伸ばし、両腕を真上にピンッっと伸ばして、所謂身体を縦一直線に伸ばした体勢に変更して源太郎の付近めがけてひたすら急降下!!!
そのままの降下の勢いのまま!倒れている源太郎の身体の僅か4〜5センチ程横の地点にブーツのヒールを刺し込むようにして踏みつけんばかりに大地に着地した美智子お!!
美智子が着地の瞬間!手榴弾でも爆発したかの様な轟音が響きわたり!美智子が踏みつけ着地した地点は彼女の4〜5センチ位の高さがあるブーツのヒールが地面に深深と突き刺さり!約40〜50メートルに亙(わた)って大地にどでかい亀裂や破損が出来上がって、源太郎が倒れている部分の大地も亀裂の影響で盛り上がってしまっているう!!!
私が思うに・・・・・・美智子がくり出したこの技は明らかに「死闘・デスマッチ仕様」の熾烈な技に当てはまるであろうと拝見します!!


ーザッッッッック!!!!!!!!(←美智子が地面に突き刺さったヒールを抜いた音)ー


おもむろに大地に突き刺さったブーツのヒールを抜きあげた美智子!!
100メートル以上の高空からの急降下キックで地面に突き刺さったにも拘らず、美智子のブーツのヒールは全く壊れてもなければ、傷んでもいないようだ!!どうやら彼女のブーツは、ライダースーツと一枚岩(いちまいいわ)に&amp;#32363;(つな)がっている表面は「ダークレッドのラバースキン」製の生地だが、ソール部分とヒール部分は「低反発ハードラバー素材」が使用されている為、外側からの衝撃は多量のラバーゴムがギュッと濃厚且つコンパクト軽量に凝縮されているので少少の衝撃ではキズすら付かない頑丈さタフさを誇り、内側からの衝撃は低反発クッションが働き脚本体への衝撃やダメージはほとんど皆無な状態にまで無くせると云う優れた防御力で、更に脚本体の疲労も凡(すべ)て吸収できる回復力も備える、更につま先部分も拡(ひろ)さにゆとりを持たせた、まさに闘士の為にある「万能ブーツ」と呼べる逸品のようだ!
すると!

美智子(・・・どうやら源太郎くんを相当愕(おどろ)かしてしもたみたいや・・・。
そら無理もないわ、今のウチの技デスマッチ用の[殺人技]やさかいな・・・まあ〜元から当てるつもりなんて全っ然なかったから、予定通り源太郎くんの身体の4〜5センチ横に外した訳やけど・・・。)

美智子(もしこの技が源太郎くんの身体のどこかにヒットしとったら・・・・・・ウチのブーツのヒールで身体串刺しになって、出血多量で大ケガしてまう筈やわ!間違いなく・・・!
怖かったやろ・・・?ゴメンね・・・源太郎くん。
せやけどもね源太郎くん・・・。これにはウチにも訳があるのよ・・・。)

美智子〔びっくりさせてゴメンね(微笑)!源太郎くん(微笑)!
取りあえず・・・横になったままの姿勢でええから深呼吸(しんこきゅう)しよか(微笑)。〕

源太郎〔ふひいーーーーー(大恐怖+超驚愕+超昂奮)!!!
ふひいーーーーー(大恐怖+超驚愕+超昂奮)!!!
ふひいーーーーー(大恐怖+超驚愕+超昂奮)!!!
ふひいーーーーー(大恐怖+超驚愕+超昂奮)!!!
ふひいーーーーー(大恐怖+超驚愕+超昂奮)!!!〕

美智子は源太郎に深呼吸するよう呼び掛けるが、当の源太郎は突如襲ってきた美智子の繰り出す殺人技を目の当たりにし、未だ恐怖と昂奮から立ち直れてはいないようだあ!!

美智子〔・・・!?
源太郎くん!深呼吸よ(焦)!深呼吸してちょうだい!お願いやから(焦)!
このままやったら心臓に大きく負担かかってしまうで(焦)!!〕

美智子(あかん・・・ウチの声が全然届いてへんみたい!完全にビックリしたんと恐怖心で昂奮(こうふん)しきってしもてる・・・!
かくなる上は!!)

美智子は何やら意を決したようだが・・・!?

美智子〔ちょっとゴメンね!〕

そう云うと美智子は横になって倒れている源太郎の身体に背中から左手を入れ、上半身を起こしあげた。

源太郎〔ふひいーーーーー(大恐怖+超驚愕+超昂奮)!!!
ふひいーーーーー(大恐怖+超驚愕+超昂奮)!!!
ふひいーーーーー(大恐怖+超驚愕+超昂奮)!!!
ふひいーーーーー(大恐怖+超驚愕+超昂奮)!!!
ふひいーーーーー(大恐怖+超驚愕+超昂奮)!!!〕

美智子(・・・ちょっとまたビックリさしてしまうかも知れへんけど、堪忍(かんにん)してね。)

美智子〔活(かつ)っっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!〕

源太郎〔ひゅっ!!〕

おおっとお!!
何と美智子は源太郎の背中に当てた左手を「活!」と云うと同時に強く背中を押さえたあ!
すると、先程まで観るからに心臓に悪そうな引きつった様な荒荒(あらあら)しい速い呼吸をしていた源太郎が正常な呼吸と状態に戻り、正氣を取り戻したあ!!
恐らく「氣功術(きこうじゅつ)」にも精通している美智子ならではの、氣功を遣(つか)った回復術と私は観受けました!

源太郎〔・・・・・・・・・オ・・・・・・オ!オレは!!?〕

美智子〔氣を取り戻したんやわね!よかったわあ!
あなたさっきまでいかにも心臓と肺に負担かけてる様な引きつった呼吸しとったから、ウチが氣功を施してあげたんよ。ゴメンね、ウチが急に死闘用の技なんか観せてしもたばっかりに・・・。〕

美智子〔そう云うことやから(微笑)♪軽〜〜く2〜3回深呼吸しよっか(満面微笑)♪〕

源太郎〔す〜〜〜〜〜(吸)。ふう〜〜〜(吐)。
す〜〜〜〜〜(吸)。ふう〜〜〜(吐)。〕

美智子に満面の微笑みをもってして、やさしく深呼吸を促がされ、ゆっくりと深呼吸する源太郎。

源太郎(・・・つまり、この女(ひと)の本氣の技観ちまって正氣を失っちまった訳か・・・。
あんなにも怖っろしい技は生まれてこのかた観た事あねえが・・・・・・何てザマだ・・・!不甲斐ねえにも程があんぜ・・・それでも角界(かっかい)で一目置かれてた[鬼岩海]様かよ・・・!)

源太郎(それにしても・・・・・・あい変わらずやさしい女(ひと)だな。オレは対戦相手で敵なのに心配してくれてよ・・・!
ありがてえ・・・ありがてえんだが!このままじゃダメになりそうなんだよ・・・オレの場合・・・!)

「敵に塩を贈(おく)り候(そうろう)」
この概念を終始実践をしてきた「上杉謙信」の如く、美智子は源太郎と云う「好敵手」にも氣配りと云う物をバトルの中でも欠かさない態度に、源太郎自身も感謝と感服で心を被(おお)われている様だ。
そして同時に、何時までも対戦相手である美智子のくれる庇護(ひご)に甘える訳にはいかないと確信し、自らに渇を入れようと考えてるそぶりを感じます!

源太郎〔まったくよ・・・ありがとな、幸瀬さんよ。
・・・・・・同時にこのオレ・・・・・・暴れん坊で怖(おそ)れられたこの[泰山源太郎]様も落ちぶれたもんだい!〕

美智子〔そんな事あらへんのよ!源太郎くん。
だって・・・あなたは未だ[死闘]とか[真剣勝負]とか[デス・マッチ]とかの互いに命さらけ出してそれをうばい合う様なバトルなんかは経験した事無いんでしょう?せやから今し方のウチの死闘用の技を観たら、昂奮(こうふん)して取り乱してしもたって仕方のないあたり前の事なのよ。恥ずかしい事なんかとはちがうんよ。氣にする必要なんて無いんやから・・・ね!〕

美智子〔ウチは小さい時から[闘士]として活動して来て、もう戦歴も随分長いから[死闘]とか[デス・マッチ]も色色経験したから落ちついてるだけの事なんよ。源太郎くんかってウチくらいの戦歴を経れば自然と[死活(しかつ)の瀬戸際(せとぎわ)]に立っても、ウチと同じくらいかそれ以上に冷静にいられる筈やから!
あなた自身とウチを悪い意味で比較して、自分を卑屈に追いこんじゃだめよ!分かった?〕

源太郎〔分かってるよ幸瀬さん。
だからよ・・・・・・・・・いつまでも対戦相手であるオレへの鬱陶(うっとう)しい[温情のバーゲンセール]はやめにしてくれっつってんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!〕

美智子〔!!??・・・源太郎くん・・・!〕

源太郎〔オレは云ってみりゃあアンタの[相手]にすらなってねえって事じゃねえかよお!!!!!そら悪りいのは弱っちい自分自身だって事あ分かってんぜ!!!!!それにアンタの温情は深く染みてありがてえよ!
けどよ・・・今は闘いの最中じゃねえかよ!!!譬(たと)えそれがアンタの云う[組み手]程度のモンであってもよ!!!そんな闘いの中で度度(たびたび)相手であるアンタからお情けもらってるオレはよお・・・最早[闘士]じゃ無くなってんじゃあねえかよお!!!!!違うかい!!!!!〕

美智子(・・・・・・源太郎くん。ウチは・・・ウチは、あなたを出来る限り安全で危険が無い手法(しゅほう)で強く成長する様に導かなあかん思て、細心の注意払って氣を配ってた・・・。
でもウチの過ぎた氣配りが源太郎くんを情けなくさせる矜持(きょうじ)へと追いこんでしもてたんやわね・・・ウチが良かれと思おうが思うまいが関係なく・・・。)

美智子(おそらくウチ・・・・・・さっき源太郎くんがいっぱい食べたもの吐き散らしちゃったり、ウチの技観て過呼吸状態になったの目の当たりして、かわいそうに思いだしてお情けの眼で源太郎くんを観だしてしもてたんやろね・・・。ウチ源太郎くんの闘志に応えなあかんて誓ってた筈やのに・・・!
そう・・・そうよ!今ウチが源太郎くんにしてあげなあかん事は、[心を鬼]にしてあげる事・・・!そうよね!源太郎くん!)

美智子(今からウチは、あなたをノックアウトするつもりで攻撃させてもらうから!
でも、源太郎くんが大事に到(いた)らんようには氣を付けますからね!前途あるあなたをここで潰してまう訳にはいかへんもの!)

太一(うん・・・・・・随分ストイックな人間なんだな、泰山くんって・・・。もう蟠(わだかま)りも無いんだし、幸瀬さんも「組み手」だって云ってるのに、でも自分を限界まで追いこむ様に要求するなんて・・・!彼自身ハッキリ云って疲労とダメージが極限迄達(きょくげんまでたっ)してて、治療と休養が必要な状態の筈なのに・・・充分に勇敢なガッツある人物の部類に入るとオレは思うけどなあ・・・。)

太一(何が不足に感じるんだろ?彼?彼の強さならもう充分伝わってるよ?1秒間に10発前後の張り手を繰りだしてみたり、地響き捲き起こす四股踏んだりする時点で。そしてオレなんかにも伝わってるんだから幸瀬さんなら当然理解してくれてるよ!
だからもうやめにしちゃっても良いじゃない?闘いを。これ以上やったら泰山くんホントにヤバイ事になっちゃいそうだよ・・・!)

源太郎〔幸瀬さんよ・・・分かったんならよ、まずオレを抱え起こしているその手を離してもらおうか!〕

美智子〔ええ、せやったね。じゃあ・・・離すわよ。〕

美智子はそう云うと、源太郎の身体を抱え起こしてる手をゆっくりと離し、源太郎をやさしく仰向け状態にした。

美智子〔じゃあ・・・・・・源太郎くん!!!
そこから見事立ちあがって、まだウチと闘えるんや云うのを証明してちょうだい!!
あなたが闘士として、ウチの対戦相手として、対等や云い切るんやったら・・・出来るわね!!?〕

源太郎〔へっ!!いいじゃねえか〜さっきまでのあんたみてえなその手厳しさ!!!上等だぜえ!!!!!
オレあ〜角界に居た頃は、稽古中に何度も血ヘド吐いたり寝る前に血のション便垂れた事だって何度もあんだよ!!!!!それに較べりゃあ・・・何てこたあねえんだよ!!!!こんなモン!!!!!〕

美智子(・・・源太郎くん・・・ほんまにもう・・・!)

-16-
Copyright ©剣聖 All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える