小説『∞』
作者:たまちゃん(たまちゃんの日常サタン事)

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私は今、生きているのか?


死んでいるのか?







こんな夢を見た。







ジリリリリリン





私は寝ている。


目覚ましが鳴る。


私はそれを止めようとするがベルは鳴り止まない。


時計を壁に叩きつける。



そこで、目が覚める。





目覚ましは鳴り続けている。


私はそれを止めようとするがベルは鳴り止まない。


時計を枕で押さえつける。


着替えて外出しようとドアを開ける。



そこで、目が覚める。





目覚ましは鳴り続けている。


私はそれを止めようとするがベルは鳴り止まない。


時計を手に私は考える。



もしまた、この目覚ましを止める事が出来なかったら?



そして私は目覚ましを止める。


ベルが鳴り止む。







さて、今の私は、本当に起きているのか?



この瞬間が夢ではないと、証明する術は何であろうか?



目覚ましを止めたから?


ベルが鳴り止んだから?



夢ではない事を確かめるには、痛みを感じればいい?



夢であるかを、自分の頬を抓る事により確かめる?











幻肢痛をご存知だろうか?



事故で失ったはずの、腕や足に


脳に刻み込まれた記憶の破片が


痛みを呼び戻してしまう現象だ。







幻覚、幻聴、幻肢痛、もしも、幻の匂い、幻の味…


五感すべての幻に、惑わされているだけだとしたら?



誰もが、覚めることの無い夢を見続けているだけだとしたら?









私は思うのだ!



【我思う、故に我あり】


とは、すなわち精神世界に於ける自己の存在を示しているのであり、


自己の実体を証明した事にはならないのではないか?











ジリリリリリン





目覚ましが鳴る。












そこで、目が覚める。













そんな夢を見た。。。




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