とある海に囲まれた東の島の国。
自然豊かで人々は古の掟を守り、平穏を培ってきたこの国で、世界の終わりを知りつつも静かに生活していた。それを目にするようになっても・・・。
東の国、とある山奥の小さな村。
外との交流をほとんど持たないこの村で、一人の少女は決断していた。
この世界に抗う事を・・・。
「本当に行くんだな」
村の長は、少女を睨みつけた。
少女は、まっすぐに村の長をにらみ返す。それを見た村の長は、フッと嘲笑うように笑う。
「ここにいれば終わりなど見ないですむと言うのに」
世界の終わりというのは、『全てを戻す』と言われている。どうしてそう言われているのかは分からない。誰がそう言ったのかも分からない。だが、世界は確実に終わりに近づいている、と言われている。
この世界には、『破壊者』と言われる存在がいる。それは人々の生活を脅かす化け物で、その破壊者の行動は、日々活発化している。
海で囲まれた東の国もいつまで平穏でいられるかは、分からなかった。
「お前は、共食いが見たいのか、愚かな下僕め」
愚かな下僕とは、少女の事だ。
どうしてそのように呼ばれるのかは、少女が一番良く知っていた。
少女が慕う人が村を出て兵士になったからだ。この村は、外に出ることを禁忌としている。そして、破壊者と共にあることを望んでいる。その破壊者を狩る立場になったのだ。少女は、そのせいで村では忌み嫌われた。