小説『真・恋姫;無双〜最低野郎の暴走記〜(R18の予定)』
作者:黒翼()

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 ここにひとりの青年が寝ていた。

 「ここは何処だ?」
 「面白味がない言葉だ、√2点。」

 目を醒ました青年は無意識に呟いた言葉に、何処からともなく現れた女性がそう突っ込んだ。

 「√!?」
 「そんな事はどうでも良い。」
 「良くないよ!?」
 「よ・い・の・だ!」

 青年は女性の出す威圧感に負けてブンブンと頭を振って女性の言葉を肯定した。

 「それでだ、貴様は死んだ。」
 「え、死んだ?」
 「そうだ、死んだのだ。」

 青年は突然、自身が死亡したことを告げられ、呆然としていた。

 「それでだ。ん、どうした?おーい、聞こえておるかぁ?」

 女性は呆然としていて、反応の無い青年に大きな声で呼びかけたり、目の前で手を振ったりして、反応を伺った。

 「む、反応が無い。まるで屍の様だ。・・・って、いかんいかん、こんな所でネタをやっとる場合では無いのだ。とりあえずぅ、起きろっ!!」

 そう言って女性は青年に拳骨を落とした。

 「グハッ!!!!」

 青年は呆然としていたため、拳骨が避けれず、モロに衝撃を受けた。

 「よし、意識が戻ったな。」
 「よし、じゃ無いですよ!行き成り何するんですか!!」

 青年は頭を抱えながら、女性に食ってかかった。

 「では説明をするぞ。」
 「スルーしないで下さい!」
 「五月蝿いわ!人が話をしようとしておるのに妨げるで無いわ!!」

 女性は怒気を滲ませた声でそう一喝した。

 「す、すみませんでした!」

 そう言って青年はジャンピング土下座をした。

 「では、そのままの体勢で私の説明を聞け。」

 そう言って、女性は青年に死亡理由からこれからの事について話した。

 「という訳で、欲しい能力をコレに書け。」

 そう言って女性は紙とボールペンを青年に渡した。

 「えっと、転生先は決まってるんですか?」
 「何だ知りたいのか?」
 「えっと、出来ることなら。」
 「よかろう、教えてやる。貴様の転生先は真・恋姫無双というエロゲーを元にした世界だ。」
 「マジですか!」
 「マジだ。貴様はその世界で、原作ブレイクより更に上の原作レイプをしてもらいたい。」
 「えっと、原作レイプですか?」

 青年は女性の言葉の意味が理解できず、聞き返した。

 「そうだ。原作レイプとは原作ブレイク何て生易しいものではない。原作ブレイクは大体は、死ぬ運命だったものを生かしたり、勝てないはずの戦を勝たせたりが殆どだが、原作レイプは、キャラクターの幼少期に介入して、性格を歪ませたり、産まれるべきキャラクターの親や、一族を皆殺して、そのキャラクターを産まれないようにしたりと、物語自体を改悪又は改善し、人を歪ませ、運命を歪ませ、喜劇を悲劇にしたりと原作世界を冒涜する行為の事だ。」
 「えっと、そんな事しても大丈夫なんですか?」
 「知らん。」
 「えっ。」

 青年は女性に心配そうに聞き返し、女性はそれを一言で切り捨て、青年は予想外の返答に唖然とした。

 「別に世界の一つや二つ壊れた所でどうと言うことは無い。総ての世界の創造者たる我はそんな些末な事を気にしない。それに見てみたいのだ、人間が欲望のままに行動するとどうなるのかを。」
 「えっと、それならどうして俺なんですか?」

 青年は不思議そうに聞き返した。

 「決まっておろう。お主ほど中途半端に卑劣でゲスで冷徹で、そのくせ正義感はあるは、優しい一面もある訳のわからない人間の方が面白いからだ。」
 「卑劣とかゲスとか酷くないですか?」
 「なんだ、我の口からお主の悪行の数々を言って欲しいのか?」

 そう女性は自信に対する評価が不満だと言う顔をしている青年に言った。

 「い、いえ。け、け、結構です!はい!」
 「ならさっさと能力とか書け!出来るだけゲスい能力とかを書けよ?」

 そう女性は青年に念をおした。
 暫くして。青年は要望を書いた紙を女性に渡した。

 「なるほど、なるほど。期待したほどゲスい能力では無いが、そこそこゲスい能力なので許そう。では能力を与えよう。」

 そう言って女性は拳を作り、そして開くとそこには黒い玉があった。

 「コレを飲めばお前の望んだ力が手に入る。」

 そう言って女性は黒い玉を青年に渡した。

 「コレを飲むんですか?」

 青年は不安そうに聞き返した。

 「そうだ。いらないのなら、そのまま送るが?その場合、貴様、即効で死ぬぞ?あそこは普通の現代人が何の力も持たずに暮らしていける所では無いからな。で、どうする?」
 「飲みます!」

 そう言って、青年は黒い玉を一気に飲み込んだ。

 「うむ。よく飲み込んだ。ではお前を恋姫の世界に送る。」
 「はい、お願いします。」
 「ただし、一つ注意だ。」
 「何ですか?」
 「お前を送る場所は特殊な場所だ。」
 「特殊ですか?」
 「そうだ。お前が力をある程度使いこなすまで、時間が停滞していて、その場所から出るには5つの試練を乗り越えなければいけない。」

 そう女性は言った。

 「何でですか?」
 「力を持って居ても使いこなせなければ、只の持ち腐れだからだ。あ、それと能力を使うときの危険要素だが総べて無くしておいた。」
 「そうなんですか、有難うございます!」
 「使うときに危険な要素がある能力なんて、只の使えぬ欠陥品だからな。気にするな。向うに逝ったら、原作を変えることを躊躇うなよ。原作ブレイクも原作レイプもそもそもそんなにたいした差は無いからな。まぁ、兎も角そういう事だから、逝ってこい。」

 女性がそう言うと、青年のましたに底の見えない黒い穴が現れ、青年はそこに心の準備無しに堕ちた。

 「う、お、あぁぁぁっれぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

 青年は奇妙な叫び声を上げながら堕ちていった。

 「さて、武器と試練の為のアレも創って送るか。」

 そう言いながら女性はその場から消えた。

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