小説『IS<インフィニット・ストラトス> 求道の渇望者』
作者:シロー()

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No.7 楽しい日常


ーピーンポーンー

「おはようございます」

「あら、聖來君。今日も早くからありがとね」

「いえいえ……こちらこそ、毎朝、朝ごはんまで頂いて……ありがとうございます」

「いいのよ……私も息子ができたみたいで楽しいしね。それに……」

「あ、おかーさん。って……げ……聖來、もう来たの!?」

階段にサッと体を隠し、ピョコッと顔を出す時雨。
髪が外へ向いているのはいつも通りなんだがちょくちょく訳の分からない方向に曲がっている、つまり、寝癖がついててなんか可愛い。

「あらあら……うふふ。聖來君寒いでしょ?さぁ、上がって上がって」

「はい。お邪魔しまーす」

「ちょっと……聖來、先に行ったりしないでよ。直ぐに戻るからね!!」

そう言って、バタバタと二階に行く時雨、それと入れ替わるように……

「あ、聖來さん。おはようございます」

「おはよう。簪ちゃん」

こちらはいつも通りしっかりと整った服装と髪型で階段を降りてくる更識簪。

「じゃ、朝ごはんも用意してるし、先に3人で食べましょうか?」

そう言って、ニコリと笑う更識楯無さん。
対暗部用暗部という家系であり、16代目の更識家の当主となった女性である。
モデルでも滅多にいないであろう抜群のスタイル、柔和でありながらも悪戯っぽい笑みを浮かべる楯無さん。

「何?聖來君、私の顔を見て。残念だけど、私には愛する人がいるからね?うちの娘達ならいつでもあげるからそれで我慢してね」

そう言って、ウインクをする楯無さん。

「ちょっと、お母さん……」

顔を赤くして抗議をする簪ちゃん。
俺も加勢するかな……

「そうですよ。2人だってきっと好きな人もいるだろうし……」

「むぅ……好きな人とかいないもん」

ちょっと待て……なんで簪さん、そんな顔してるんですか?
いつも物分りの良い簪ちゃんがなぜか俺の意図と反対の動きをしたことに驚く。
まぁ、でもそれが人間ってもんだしな……そうでないとつまらない。

「うふふ。大変ねぇ、簪ちゃん。頑張ってね。じゃあ、食べましょ?」

「いや、俺は時雨を待ちますよ。後でなんか言われるのも怖いんで……」

「むぅ……じゃあ、私も待つ……」

「あらあら……じゃあ、私も待っていようかしら」

「お待たせーって、皆どうしたの?」

「あなたを待ってたのよ。早く席につきなさい。時雨」

「はーい」

軽やかに席について頂きますと一言、そそくさとご飯を食べだす時雨。
それを見て、俺や簪ちゃん、そして楯無さんまで目を丸くして驚く。

「あむあむ……ごく。ん?皆、どうしたの?」

「皆、貴女を待ってたのよ?それじゃ、淑女としてはまだまだね。そういう面なら簪ちゃんが一歩リードね。まぁ、聖來君がどんな子がタイプなのかは知らないけどね」

ん?俺?どういうこと?それに……

「一歩リードって、2人で何か勝負でもしてるんですか?」

「「…………何も……」」

「あらあら……」

不機嫌そうにご飯を食べ始める簪ちゃんと時雨。
そして、それを面白そうに見る楯無さん。
いつも通りの朝の風景、それを見ながら俺は楽しい一時を味わっていた。







ープルルルルルー

「はい、神越です」

「あー、マサ君!元気ー?」

「はい、元気ですよー、束さんは元気ですか?」

「はいよ、元気よ!」

電話越しからもわかる束さんの元気さに思わず笑みが浮かぶ。
数ヶ月に一度、こうやって電話がかかってくるのだが大半は世間話、偶に危険な依頼があったりするんだが、どちらにしろ連絡があった時はやはり嬉しくなってくる。

「で、どうしたんですか?」

「えっとね、マサ君、今、6年生だよね?中学校は何処に行くとか決まってる?」

「まぁ、今住んでいるところからだと、桔梗中学校に行く事になると思います」

そういえば……束さんは自分の保護者的な役割を担っているんだよな……

「そうなんだ……少し、お願いがあるんだけど……聞いてもらってもいいかねい?」

「条件にもよりますけど……」

「小学校卒業したら、私の住んでた家の近くに部屋をとって星周学園に行ってもらいたいのん。で、一年後に入学してく織斑一夏ー略して、いーくんを鍛え上げて欲しいのん」

「織斑って……千冬さんの弟さんですか?」

「おー、流石だねー。お察しの通り、いーくんはちーちゃんの最愛の弟さんなんだけどね……その子を……」

「ok、いいですよ。束さんの頼みですしね」

「わー、ありがとー。やっぱり、マサ君、大好き〜」

眼の前にいたら抱きついてきたであろうその喜びよう……
他の人への対応と明らかに異なるその反応に素直に嬉しく感じる。
そして、もっと、役に立ってあげたいと思う。
従うのではなく慕う。
支配を拒み続けたマサキが初めて得た居場所(束の信頼)
それを大事にしたいと思う気持ちは正しいものであり、それ自体には何の問題もない……
しかし、この時、俺はこの数年で新たに得ていた居場所を捨てることになることに気づいていなかった……





ーーーーーーーーーーーーーーーーあとがきーーーーーーーーーーーーーーーー

原作開始時期までまだまだですね……

-8-
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