小説『ハリーポッターの双子の妹は、“幻の瞬殺”と呼ばれた魔女 part1』
作者:梨那♪(小説大好き♪)

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<「決断の時」>


「え!?…メアリーも…ホグワーツに??!」

ようやく制服の丈合わせから戻って来たハリーナは、驚きを隠せないでいた。
メアリーは嬉しそうに、まだ封を開けていない手紙を片手に、嬉しそうにしていた。

「えぇ。実はね、ハリーナの手紙と一緒にメアリーの分も来ていたの。私も吃驚したわ。だけどこの子も正真正銘の魔女よ。」

ハリーナはとても信じられない…とばかしに思い、メアリーの顔を見て、確信したのであった。
「メアリー、おめでとう!!」メアリーは、ぎゅっとハリーナを抱きしめると、言った。
「ハリーナ…ありがとう!!」
「ほら、メアリーもホグワーツにいくんだったら早く制服をやって来てよ!」

マレーナおばさんも、嬉しそうにいつの間にか大きな二つの、買い物とかで使いそうな台車(?)を持って来ていた。
「お母さん?それは何?」完璧に呆れた顔で聞いたメアリーの質問に対して、マレーナおばさんは「アナタ達の荷物よ。」と言った。

「え!?てことは…メアリーの分の教科書もあるんですか?」開いた口が塞がらず、質問すると、待ってました!と言わんばかりの顔をしながらマレーナおばさんは言った。

「えぇ。もちろんよ。二人がどこかに行ってしまった内に買っておいたのよ。」
「ぁ…。お母さん、そういえば…お母さんってそんなにお金、持ってたっけ?」メアリーが思い出したかのように訪ねると、マレーナおばさんが即答で答えた。
「あるわよ。こうなると思ってリリーと一緒に貯めてたのよ。あ、勿論、銀行は別々よ?」ハリーナとメアリーは顔を見合わせ、言った。
「お母さんと一緒に?どういう意味ですか?お金って違うんですか?」
「えぇえぇ。全く持って違うわ。まぁ…そんな細かい事は気にしないでって言っても、二人は気になるだろうから…。
駐車場を探していた時、大きな灰色の塔に入って行ったでしょう?」
「うん…確か…。」メアリーが腕を組みながら、記憶を辿るようにして言った。
「あそこはね、“グリンゴッツ銀行”って言うの。二人分のお金を下ろして来たのよ」
「初耳ー…。」
「あの…グリンゴッツ…って何かの動物とかですか?」
「あぁ。動物って言うか…鬼が働いてるのよ。だから警備はスッゴイのよ〜!
リリーも言ってたわ。“ホグワーツの次に安全な場所だ”ってね。」
ハリーナとメアリーは聞いてはいけない物を聞いてしまったかのように固まっていた。

やがて、メアリーは制服の丈を測りに行き、ハリーナとマレーナおばさんの二人となった。
ハリーナはずっと床のタイルを見つめながらこれからの事や、マレーナおばさんが言う母親の事で頭を悩ませていた。
マレーナおばさんに聞いても良いのか分からずに、ハリーナは悩んでいた。

それに気付いたマレーナおばさんはハリーナの手を自分の手に乗せながら言った。
「どうしたの、ハリーナ?何か私に聞きたそうな顔をしてるわね?」
マレーナおばさんの笑顔はいつでもハリーナの心を和らがせて、癒させていた。
ハリーナは「はい…。」と言いながら、ゆっくりと喋った。
「マレーナおばさん……私の…お母さんは…どんな人でしたか?」
「そうねー…。リリーはいつでも前向きだったわ。何事にもめげずに、怖い物にも立ち向かって行って……。」
「そうなんですか…。」
ハリーナはマレーナおばさんの話を聞いた途端、何故だか口元が緩んだのに気付いた。
それからマレーナおばさんは何かを思い出したかのように「あ!」と言った。
「ハリーナ!貴女に伝えないと行けない事があったわ…。」
「私に、ですか?」
「えぇ!!ハグリッドに頼まれていたのに…すっかり忘れてたわ…。失敬すぎるわ…。」
ハリーナは、マレーナおばさんが言っている言葉の意味が分からなく、あちこちへと行くマレーナおばさんの後を目で追いながら「頼まれた」というハリーナ宛へのマレーナおばさんが忘れていた内容を聞こうとしていたが、聞けずに終わった。

「さぁ〜!次は杖屋さんに行くわよ!!」
嬉しそうにはしゃぐマレーナおばさんの後を必死に追いながら、ハレーナとメアリーは大きなトランクを運んでいた。
教科書の束に、制服包み、先程購入したハリーナが気に入った黒色のふくろうと、メアリーが気に入った目の色が緑色の白銀のふくろう籠を取っ手に付けながら二人は息を荒れさせていた。

「お母さんー!!待ってってばー!!」
「ほらほら〜!!早くしなさいよ〜〜」

メアリーの言葉を尽く無視するマレーナおばさんの気分に適わないメアリーは顔を赤くさせながら重いトランクを運んでいた。
「お母さんったら…こんな重い物を押していて早くしろ?そんなの到底無理よ!!」
「アハハ;でもメアリー、杖って私、結構選ぶの楽しそうだと思うよ?」
「まぁー…それもそうだけどー……ねぇハリーナ!!あれを見て!!」

メアリーは突然、立ち止まりながらどこかを指差していた。
その先を目で追うと箒屋さんが目に止まり、何かを物干しげそうな目で見つめる幼い子供たちが居る事に気付いた。

「いいなぁ〜…これ、最新型のニンバス2000だぜ!!」
「私も欲しいなぁ〜…ニンバス2000を持ってる人、見た事無いもの…。学校で見せたら私、一躍有名になれるわ♪」
「マリア、止めとけ。そんな有名生活、すぐに崩れるって。」
「何よ、リカルド!!そんな夢のような日々を描いてみたっていいじゃないの!!夢が無い男って…。」

ハリーナは呆れた顔でその子達の背中を見つめると、マレーナおばさんの元へと急ぐのであった。


それからマレーナおばさんは外に二つの大きなトランクを置くと、杖屋さんの中に入った行った。
「こんにちわ〜!!誰か居ませんか〜??」
そんなに大声を出さないと、気がつかないのかな?とハリーナが思っていた時だった。
「ガタガタガタッ」という大きな音がし、音のする方から年老いたおじさんが階段とともに現れたのだった。

「あらこんにちわ、マダムさん。お久しぶりね。」マレーナおばさんはにこっと微笑みながら言うとその人は嬉しそうに階段から下りてこっちに向かって来た。
「おやおや…これはリリーさんの古き友、マレーナ=マーガレットではないか!!
今度はどうしたんだい?娘にも新しい杖を買うのかの?」
「えぇ^^娘のメアリーの分と、リリーの娘のハリーナにも、下さい。」
“ハリーナ”という言葉を聞いた杖屋の主人がハリーナの方を大きな目で見た。

すると、マダム氏は淡い水色の瞳をキラキラと輝かせながらハリーナの手を握った。
「これはこれは…まさか!!…ハリーナルイリス=ポッターさんですか!?」
「は、はい……。」ハリーナは何を言ってもいいのか分からず、体が動くままに皺くちゃの手を握った。
「何と何と…ポッターさんの娘のハリーナさんではないですか!!
私ゃ嬉しいですよ!!生きている内に『名前を言ってはいけないあの人』の強力な闇の魔法を打ち破った伝説の人物の二人目にも出逢えて…最高ですわ…。」
マダムさんが泣きながらハリーナの手を握っていた時、ハリーナは次から次へとマダムさんが言った言葉の意味を理解しようとしていた。
(『名前を言ってはいけないあの人』?強力な闇の魔法に私が打ち破った?伝説の人物の二人目?一体、どういう事?)
「あの…“伝説の人物の二人目に出逢えて”って言ってましたよね?」ハリーナは思い切って聞こうと思い、なるべくゆっくりと話した。
「えぇえぇ。彼が来たのはつい先日でしたから…。それがどうかなさいましたか?」
「その…もう一人の伝説の人物って誰ですか?」
「そりゃぁ勿論貴女様の双子のお兄さんのハリー=ポッターさんですよ。」
ハリーナはメアリーとマレーナおばさんの方をチラッと見ると、二人して楽しそうに杖を選んでいる最中であった。
「わ…私の…双子…の?(ハリー…ポッター?)」
ハリーナは何度も聞き間違い、悪い夢だと思っていたが、マダム氏の手の温もりと淡い水色の瞳を見ているとそれが本当なんだ、と思い知らされるのだった。

_(私に実の兄がいるの?双子?ハリーポッター?それにマダムさんはどうして私を知ってるの?)_
マレーナおばさんはマダム氏からハリーナの分の杖を受け取ると次の店へと向かった。
その間もハリーナは只々黙って二人の後に付いて行き、新しい物が買われるのを見ているだけで考えていた。
そしてダイアゴン横丁で買い物をしている時、ハリーナはある事に気付いた。
どのお店へ行ってもハリーナの名前や話題は次から次へと飛び交い、握手を求める人が多かった。
マダム氏が言っていた言葉を思い出すように頭の中で何度も何度もリピートされ、ようやくハリーナは理解したのであった。
「ねぇ…ハリーナ、どうしたの?顔色が悪いよ?」メアリーが心配するようにハリーナの顔を覗き込むと、緑色の瞳がキラキラと輝いていた。
「ハリーナ?ねぇハリーナ?聞いてる?…ぁ、もしかして…ハリーナ、自分の話題が出てるから少し…怯えてる?」
「そっか…。マダムさんが言っていた意味、分かったよ!!メアリー!!」ガバッと顔を上げたハリーナの反応にビクッと肩を震わせ、メアリーは聞いた。
「え?言ってた意味?どういう事?」
「さっきマレーナおばさんとメアリーがいなかった時に…マダムさん言ってたの。
“伝説の人物の二人目にも出逢えて良かった”って!!それで私は聞いたの。
もう一人は誰ですか?って…そしたらマダムさんは…これは絶対。マレーナおばさんに言っちゃ駄目だからね?」メアリーは良い所で止められて、早く続きを知りたくて何度も頭を縦に振っていた。
「言わないよ!!だからもう一人は誰なの!?」
「……“ハリー=ポッター”って言う私の双子の兄らしいの。それも先日にあの店に来たらしいよ。」
溜息を付き、肩をガックシと落とした時だった。メアリーが大声を上げながら繰り返した。
「双子の兄!?私、そんな事を聞いた事も無いよ!?」ハリーナは慌てて「シッー!!」と言いながら言い返した。
「私だってそんなの初めて聞くし、一度足りとも聞いた事無いもん。
そこで私は考えたの…。ホグワーツ魔法学校に行けば、その人に逢えるかもしれないって。
だからこそ私は魔女にならなくちゃ行けないの。まだ…本当にその人が私の唯一の血が繋がった家族かは分からないけど…その謎を解き明かす謎はホグワーツにも色々あると思うの。」
「そんな事までハリーナは考えていたのね…。分かったわ。私もはっきりと決断する!」メアリーは胸の前で小さくガッツポーズしながら言い続けた。
「私もハリーナと一緒に行くわ!!」



それから家に帰宅すると、かなりの時間が掛かった事でマーガレット氏はカンカンになって三人を待っていた。
だが、ハリーナとメアリーが持っていた大きなトランクと二匹のフクロウを見て、お気に入りのコーヒーカップを落として壊してしまっても気にも止めなかったぐらいであった。
「こ…これは…一体どういう事だ!?マレーナッ!!」
「どうもこうも…。この子“たち”が通う魔法学校の物を買いに行っただけよ?」マレーナおばさんは二人に二階へ行けと、優しい目で訴えかけていた。
「こ、この子達だと!?ふざけるなッ!!母さんから聞いていたが…メアリー!!お前もその馬鹿者と一緒に魔法何とかに行くのか!?」
「ホグワーツ魔法学校、お父さん。私は医者を辞めて行く事にしたの。」メアリーは自分のフクロウの籠に手を置きながら言った。
それを聞いていたマーガレット氏の顔が見る見る内に赤くなり、平常心では居られないと、ハリーナは思った。
そして丸い大きくて赤いトマトのような顔と視線をハリーナに向けると、唾を吐き散らしながら怒鳴った。
「貴様は…!!貴様は一体、コイツらに何を言ったんだッッ!!!この――――」その時だった。
マーガレット氏が何か、悪態を言おうとした時にマレーナおばさんが二人を庇うように前に立ちながら言った。
「貴方。もういいでしょう?」マレーナおばさんの声は今までに聞いた事も無いぐらいにとても低く、冷たかった。
「この子に暴言を吐いて、おまけに邪魔者扱いですか?そんなの私がいつまもで黙っているだなんて大間違いよ。
リリーにこの子を任せられた以上、私は責任を持ってリリーがハリーナにしようとしていた事をするわ。
それに私はメアリーをたった一人で産んだのよ?この子が何と言おうと、私が何をしようと貴方は何も言えやしないわ。」
その途端、赤かった顔が今度は見る見る内に青い顔へと変色していったのがハリーナとメアリーには分かった。
「そうでしょう?ですから。これ以上、ハリーナやメアリーを馬鹿にしてホグワーツの事も何か言うのでしたら…その時は覚悟しておいて頂戴ね。
すぐにでも離婚しますからね。それにお義母様も一緒に出て行って貰いますからね。」
マレーナおばさんはドア越しにこちらを見ていたマーガレットおばさんに向かって言った。
それを聞いていたマーガレットおばさんは「ウッ!!」と言いながらどこかへと消え去った。
それどころか、マーガレット氏は今までに一度も自分の妻が怒った所を見た事が無いらしく、口を開けたままであった。
それからいつもの笑顔に戻り、振り向いて言った。
「さぁ二人とも。今日はもう疲れたでしょう?二階へ行って、暖かいお風呂にでも入ってゆっくりと寝なさい。
明日はトランクに荷物を詰めたりするから…結構疲れるわよ?絶対に夜更しをしない事。いいわね?」
「勿論よ、ママ!!」メアリーがニコッと微笑みながら重たそうな荷物を二階に運び始めた。
「マレーナおばさん…ありがとうございます。」嬉しさの顔で笑顔いっぱいのハリーナも重たい荷物を二階に運びながらメアリーの後を追いかけた。


それから30分後。
二人はかなりの息を切らしながらハリーナの部屋に入り、メアリーは嬉しさの余りにハリーナに抱きついていた。
「凄いわ!!あんなにママが怒った所を見た事無いわ!!お父さんのあの顔を見た!?すっごくポカンとしてたわね!!
やった〜〜♪これで私もホグワーツに行けるわ!!」メアリーは嬉しさの余りに今日買ったばかりの自分のフクロウに抱きついていた程だった。
「でも…どうしてマレーナおばさんは二人に出て行って貰う、なんて言えたの?」メアリーはその質問を聞いて、フクロウのメルヴァー(今、考えた名前らしい。)から離れ、コホンと咳き込みながら言った。
「ここは元々お母さんのひいひいひいおじいさんの家だったの。
そしてそれが先祖代々受け継がれて、お母さんに受け渡ったの。
私がお腹の中に居ると知ったお父さんは、お義母ちゃんと一緒にこの家にやって来たの!!」メアリーはとても嬉しそうに言い、ハリーナのお気に入りの黒色のフクロウにウィンクしていた。
「そういえばこの子の名前は?」
「…まだ決めてなかったね…。どうしようかな…。」
「私みたいに♂だからー…メルヴァーって言う名前にしたの!!すっごくカッコいいと思うけど、どう?」
「そうだねー…。……ヘドウィール…何てどうかな?」ハリーナは顔を上げながら言うとメアリーは「それすっごくいい!!」という顔で嬉しそうに笑った。
「時って…あっという間だね、ハリーナ。」突然、メアリーが暗く染め切った夜空を眺めながら言った。
「時?…そうだね、メアリー。」ハリーナはクスッと笑いながらヘドウィールを優しそうな目で見つめた。

そしてマレーナおばさんの機嫌が最高に良く、マレーナおばさんはメアリーがハリーナの部屋で寝ても良い事となり、二人は最高潮点に至った。
だがメアリーが寝る前、ハリーナはしっかりと聞いた。
「私が絶対に…、ハリーナを自由にさせるから。」と…。

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