小説『ハリーポッターの双子の妹は、“幻の瞬殺”と呼ばれた魔女 part1』
作者:梨那♪(小説大好き♪)

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<9と3/4番線>


時という時間はあっという間に過ぎ去り、楽しかった二週間は過ぎ去り、今日はホグワーツ魔法魔術学校に向かう日であった。
嬉しさ、緊張、楽しみでいっぱいのハリーナとメアリーは誰よりも早く起き上がり、荷物の整理をしていた。

「ねぇメアリー、制服はもう着ていく?それとも電車の中で着る?」メアリーはそれどころか、髪型の一覧表をジッ〜と睨むように見ていた。
「んー?私はポニーテイルがいいかなー?」その返答を聞いたハリーナは呆れて溜息を付きながら、メアリーのベッドの上に座って雑誌を奪った。
「あぁぁあ!!!私の!!何するの!?ハリーナ!!」
「私の質問にちゃんと答えてよ。それに…まさかだとは思うけど、これを学校に持って行くの?」メアリーは無理矢理奪い返しながら言った。
「そ…それは…で、でも!!ハリーナは髪型の話をしていたよね…?」
「違います。私は今から制服を着るのか、電車の中で着るのかって質問してたの。だけどメアリー。貴女は髪型の事で頭がいっぱいで、違う答えが返って来たの。」キッパリと真実を教えると、「あー…うー…」と言いながら布団の中に隠れた。
「ちょっと!!もうすぐで出発なんだよ!?早く布団から出て来てよ。」
「イヤよ!!ハリーナはこの雑誌を奪おうとしているんでしょう?!そんなの駄目よ!!」


そして結局はマレーナおばさんによって、メアリーはその数秒後に布団の中から出て来た。
勿論メアリーが大事にしている髪型の雑誌は持って行く事となり、その間もメアリーは嬉しそうにハリーナの髪の毛を結んでいた。
電車が出発する二時間前に一同はマーガレット家を出て、キングス・クロス駅にへと向かった。
マレーナおばさんは車の中で何度も必要な荷物の名前を言い挙げて言った。
「フクロウさん達はいるかしら?」後ろを覗き込むようにしてマレーナおばさんが言うと二人は元気に返事した。
それからマレーナおばさんは二人分の汽車のチケットを二人に手渡した。
「あれ、お母さん。キングス・クロス駅に9と四分の三番線プラットホームなんてあったっけ?」
メアリーが眉間に皺を寄せながら不審そうに聞くと、マレーナおばさんは楽しそうに「着いてからのお楽しみ。」と言い、運転に集中し始めた。
それから数分後に一同はキングス・クロス駅に到着し、ハリーナとメアリーが頭を抱えて大荷物をどうしようかと悩んでいた時にマレーナおばさんが大きめのカートを二つ持って来た。
「これに入れるといいわ^^」
二人は自分の荷物をカートの中にきちんと整理しながら入れると鳥籠をカートの持つ部分に掛けるとマレーナおばさんの後に続いた。
キングス・クロス駅に着いた時は10時を少し過ぎていた頃であった。
マレーナおばさんは人集りを通り抜けて、「9」と書いた大きな札が下がったプラットホームの隣には「10」と書いた大きな札が下がっている事に気付いた。
「お母さん、これでどうするの?」メアリーはまた眉間に皺を寄せながら不審そうに聞いた。
マレーナおばさんはニコッと微笑んだまま、ハリーナのカートを「9」と「10」の中間地に持って来ると二人に聞こえるように言った。
「ホグワーツへの汽車に乗るにはここの柵を通って行かなければならないの。
あ、心配しなくていいのよ。九番と十番の間の柵に向かって真っ直ぐに歩けばいいの。
立ち止まったり、ぶつかったりするんじゃないかって怖がったりしない事。これが大切よ。怖かったら少し、走るといいわ。」
そう言うとマレーナおばさんは優しそうな笑顔のまま、ハリーナを送り出した。

ハリーナは半信半疑のままに小走りで柵の中に突っ込んだ。
驚いた事に目を開けると痛々しそうな衝撃も何も無く、角を曲がると余り見た事が無い可笑しな時計と新しそうな汽車が一台あった。
その中には数人のハリーナと同じ歳ぐらいの子達が乗り込んでいた。
「あぁぁ!!もうお母さんってばぁ!!」後ろから聞き覚えのある声がして振り返るとメアリーの後にマレーナおばさんがやって来た。
「お母さんが途中で切符を無くしたーって言って探してたの。ハリーナ、待たせちゃってごめんね?」
「ううん。私は大丈夫だよ、それにー…あまり時間は経ってなかったよ?」メアリーはその言葉を聞いていたのか、聞かなかったのかは曖昧だったがマレーナおばさんにお別れのキスをし、その後にハリーナにもお別れのキスをした。
「貴女達、ホグワーツでは十分に杖や魔法には気を付けてね?それから…ちゃんとふくろう便で手紙を出すわ。楽しみにしてて頂戴^^」
「ありがとうございます、マレーナおばさん!!私も一日一通出しますから!!」ハリーナがマレーナおばさんに抱きつきながら言うと、マレーナおばさんは目に涙を溜めて、鼻をかんでいた。
10時30分ぐらいになるとマレーナおばさんはメアリーを先に汽車の中に入らせてから、ハリーナを残した。
マレーナおばさんはメアリーが入ったと知るとポケットの中から大きな何かが入った袋をハリーナの鞄の中に入れてから小さい声で言った。
「今のはこっちの魔法の世界でしか使えないお金よ。汽車の中で貴女達の役に立つでしょう。それから…ハリーナ、貴女に言い忘れていた事があるの。」

「実はね…貴女にはもう一人、生き残った“家族”が居るの。
貴女の双子の兄で名前はハリーポッター。その子は貴女と同じ一年生よ。
ホグワーツに行けば貴女は伝説の魔女として有名人物となるわ。だけど皆、貴女が死んだと思っているわ。」
マレーナおばさんの言った事に対して、理解出来なかったハリーナはオウム返しのように聞き返した。
「え、私が…死んだと思ってる?」
「えぇ。今から丁度10年前の話で、貴女もリリー達と一緒に死んだ事になっているの。
そして私は貴女を危険から遠ざける為に、ホグワーツ学校校長先生と相談して貴女の名前を変える事にしたの。
名前は…“ハリーナルイリス=スターフィリア”忘れないで、ハリーナ。
それにホグワーツにはいい事もたくさんあるわ。“森の番人、ルビウス・ハグリッド”に逢って友達になるといいわ。彼が貴女を救うでしょう。
貴女が家に帰ってゆっくりと体が休まった時、全てを話すわ。だから今はホグワーツでの生活を楽しんで。」
マレーナおばさんは弱々しく微笑むとハリーナを抱きしめて、カートを持って行く子鬼を横目に見ていた。
「それから…これが最後よ。
“魔法をかける時は、心の中で想像し、杖を振る事。”リリーがいつも言ってたわ。」
ハリーナの腕にあった貴重な杖にそっと触れながらマレーナおばさんがそう言うと、汽車の中へとハリーナの背中を押した。
それと同時に全てのドアが閉まり、汽車は少しずつ揺れた。
ハリーナは最後に見たあの弱々しいマレーナおばさんの笑顔を忘れる事は無く、メアリーの元へ向かおうと子鬼に渡された制服に着替えてから汽車の中を歩き出した。


歩き続けて数分後。
ハリーナは頭を抱え込みながら複雑な思いでいた。
一つはマレーナおばさんが言っていた“ハグリッド”という人の事でもあった。
以前、前にダイアゴン横丁でメアリーが制服の丈を測り終えていた時の事であった。
ハリーナは自分の母親、リリーの事についてマレーナおばさんに聞いていた時に「ハグリッド」という名前が出て来た。
そしてマレーナおばさんがハリーナの名を変える必要があるのか、その事については触れようとはしたが、双子の兄の事を思い出してすぐに忘れ去った。
「(私には双子の兄がいる。ハリー=ポッター…同じ一年生。そして私もハリーナルイリス=ポッターというのが本名。
本当に皆、私の事を伝説の魔女だとか分かってるのかな?…微妙な所かもしれないわ。)」
深く考え込みながら歩いていた時の事だった。
「君がハリーポッターか?」
“ハリー=ポッター”に反応して顔を上げると、体格が少しばかり人より大きい二人の男と銀髪の髪の男子がどこかの席の入口に立っていた。
本来ならば「退いて。」とでも言って通って行きたい気分だが、そうは行かないとばかりにハリーナは思った。

「ああ、こいつはグラップでゴイルさ。そして僕がドラコ・マルフォイ。」
「ドラコ・マルフォイ」という二人より痩せた男子がそういうと、中から「クスクス」笑う声が聞こえた。
「僕の名前が変だとでも言うのかい?君が誰だか聞く必要もないね。パパが言ってたよ。
ウィーズリー家はみんな赤毛で、そばかすで、育てきれないほどたくさん子どもが居るってね。」
ハリーナは一発でこのドラコ・マルフォイと名乗る男子は嫌いだ、と確信をした。
「ポッター君。そのうち家柄のいい魔法族とそうでないのとが分かってくるよ。間違ったのとは付き合わない事だね。そのへんは僕が教えてあげよう。」
自分の魔法族がそれ程偉いのか…ハリーナはそう思った。
そして自分の双子の兄の返答を待ち構えていた。すると、冷たく低めのトーン声が聞こえた。
「間違ったのかどうかを見分けるのは自分でも出来ると思うよ。どうもご親切さま。」それを聞いた途端、口角を上げてニンマリ笑っている自分がいると、ハリーナは思った。
だけどまだ話は続いていたらしく、立ち聞きをした。
「ポッター君。僕ならもう少し気をつけるがね。
もう少し礼儀を心得ないと、君のご両親と同じ道を辿る事になるぞ。
君の両親も、何が自分の身の為になるかを知らなかったようだ。
ウィーズリー家やハグリッドみたいな下等な連中と一緒にいると、君も同類になるだろうよ。」

ドラコ・マルフォイが言い終え、中から足音が聞こえたが誰かが叫ぶ声が聞こえた。
それでもハリーナは気にせずに杖を取り出しながら、心の中で自分の目の前に居る二人が金縛りのように身動きが取れなくなればいいのにと思いながら杖を振った。
その瞬間だった___。
「うわっ!!」右側にいたグラップが声を挙げた。
「う…動けない…。」ゴイルがその場に倒れこむと、ドラコ・マルフォイが後ろを振り返りながら上擦った声で言った。
「グラップ!?ゴイル!?どうした!!」中にいた知らない二人も何事かと、覗いていた。
それから三人の視線がハリーナに来ると、ハリーナはもうすでに杖を閉まっていた。
「そこで寝られると…こっちが凄く困るんだけど。早く退かしてくれない?」ハリーナはグラップとゴイル、そしてドラコ・マルフォイに視線を向けるとドラコ・マルフォイが立ち上がりながら言った。
「お前は誰だ!!コイツらに何をした!!」ドラコ・マルフォイはハリーナが自分より少し身長が高い事を知り、それでも上から目線で言おうと精を尽くしていたらしい。
「…自分の名前を名乗る気は無いわ。それからそこの二人の金縛りでも解いてあげたら?
“良い魔法族の家は、勉強する前にはいくつかの魔法を知っている”んでしょう?
だったら二人から金縛りの魔法を解く、素晴らしい呪文があるんでしょう?」ハリーナが自信満々に言うとドラコ・マルフォイの後ろに居た二人の男子がハイタッチをしながら喜んでいるのが見えた。
「糞っ…!!覚えてろ!!」ドラコ・マルフォイは小さな体で何倍も自分よりある二人を無理矢理連れて行くと、憎たらしそうな目でハリーナを睨んでいた。
「君、凄いね!!アイツらを尽く打ちのめすだなんて…。」赤毛の男の子が黄色い声をあげながら言っているのが分かったが、ハリーナは何も思わなかった。
「ありがとう。私は気取った奴がこの世で一番嫌いなの。
自分が誰よりも偉いんだって思う、あんな人みたいな人間をね…。」ニコッと微笑みながら言うとドラコ・マルフォイが話していた<ウィーズリー家>の子が右側の子だと確信した。
「僕はロン・ウィーズリー。新入生なんだ。」ロンが自己紹介をすると、黒い男の子が手を差し出しながら言った。
「僕はハリー=ポッター。ロンと同じで新入生だ。君は?」ハリーナは誰かに殴られたかのように胃袋が重く、弱々しい微笑みを浮かべながらその手を握ろうとした時だった。
「ハリーナァ!!ハリーナ?」奥からメアリーがこちらに向かって手を振っているのが見え、ハリーナは「また今度。」と告げてからメアリーの元へと向かった。
そしてメアリーが取った場所の中でハリーナはさっきの出来事を一つ漏らさずに全てをメアリーに話し上げた。

それを聞いていたメアリーは唖然としながらその場に一緒に入れば良かった、という顔をしていたのをハリーナは思った。

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