小説『ハリーポッターの双子の妹は、“幻の瞬殺”と呼ばれた魔女 part1』
作者:梨那♪(小説大好き♪)

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<組み分け帽子>

それから一同は汽車から下りるとハグリッドという大柄の人がハリーナ達、一年生をホグワーツ魔法魔術学校までへと案内した。

そして進むこと数分。
大きな建物に皆が目を奪われ、照らし出された蝋燭<ろうそく>を見て感激する人が大半であった。
皆が下船<げせん>した後、忘れ物が無いかを確認していたハグリッドが小さなネズミを手に持って誰かに渡しているのを横目でチラッと見た。
メアリーはそれを見て顔色を青くさせて、気分が悪そうに見えたが「ハリーナがいるから、頑張る。」と言い、肩を貸していた。

それから大きな学校の中の門であろう所を通過すると、誰もが思わず学校の中の広さと大きさに注目していた。
大きな扉の前でハグリッドが立ち止まると、扉がパッと開いて、エメラルド色のローブを着た背の高い黒髪の魔女が現れた。とても厳格な顔つきをしている。どうもハリーナは好きになれそうにない、と確信した。
「マグゴナガル教授!イッチ(一)年生の皆さんです!」ハグリッドが敬礼をしながら言った。
「ご苦労様、ハグリッド。ここからは私が預かりましょう。」
マグゴナガル先生は扉を大きく開け、大きな正面玄関が待っていた。
壮大な大理石の階段が正面から上へと続いている。
マグゴナガル先生の後をついて生徒たちは石畳のホールを横切って行き、入口の右手の方から、何百人者人の声のざわめきが聞こえて来た。
生徒たちの目の前に見える大きな扉の中から綺麗な音色が聞こえると、さっきまで騒がしかった階段が一気に静かになった。
「皆さん。ホグワーツ入学おめでとうございます。」
扉の前で立ち止まったマグゴナガル先生が振り返り、言った。
「新入生の歓迎会がまもなく始まりますが、寮の組み分けはとても大事な儀式です。
ホグワーツに居る間は、寮生が学校での家族のような関係になるでしょう。
教室でも寮生と一緒に勉強し、寝るのも寮、自由時間は寮の談話室で過ごす事となります。
また、他寮との合同授業も週に何度かあります。他寮生と深親を深めるのも良いでしょう。
寮は四つあります。
グリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、スリザリンです。
それぞれの寮名には輝かしい歴史があり、偉大な魔女や魔法使いが卒業して行きました。
ホグワーツに居る間、皆さんのよい行いは、自分の属する寮の得点になりますし、反対に規則に違反した時は寮の減点となります。
学年末には、高位得点の寮に大変名誉ある寮杯が与えられます。
どの寮に入るにしても、皆さん一人一人が寮にとって誇りとなるように望みます。」

「間もなく全校生徒列席の前で組み分け儀式が行われます。しっかり並んで着いて来て下さい。」
マグゴナガル先生の声が辺りに響くと、生徒たちは開かれた大きな部屋の中へと歩いて行った。
メアリーはハリーナの横にいて、体調不良もそうであったがなるべく明るく振舞おうとしていた。
食堂らしき所に入った途端、不思議ですばらしい光景が広がっていた。
何千というろうそくが宙に浮かび、四つの長テーブルを照らしていた。
テーブルには上級生たちが着席し、キラキラ輝く金色のお皿とゴブレットが置かれていた。
広間の上座にはもう一つ長テーブルがあり、先生方が座っていた。
ハリーナは白くて長い髭を生やした人に目をやり、あの人が現校長のアルバス・ダンブルドア先生なんだと確信した。
以前、マレーナおばさんがハリーナの為に買ったホグワーツについての本を暗記するぐらいに九冊をまるまる二週間掛けて読んでいた時に『歴代ホグワーツ校長』というページに『アルバス・ダンブルドア』と書かれた人がいるのを見た。
メアリーが言うには心優しい人らしい人でグリフィンドール卒業だと、以前にメアリーが言っていたのを思い出していた。

マグゴナガル先生が一年生の前に黙って四本脚のスツールを置いて、他の人たちは手品とでもするのかとばかりに思っていた。
椅子の上には魔法使いが被るとんがり帽子が置かれた。
みんなが帽子をじっと見つめる中、一瞬、広間が静かになった。
すると帽子がピクピク動き、帽子が歌いだした。

『私はきれいじゃないけれど 人は見かけによらぬもの

私をしのぐ賢い帽子 あるなら私は身を引こう

山高帽子は真っ黒だ

シルクハットはすらりと高い 私は彼らの上をいく

君の頭に隠れたものを 組み分け帽子はお見通し

かぶれば君に教えよう

君が行くべき寮の名を』


<組み分け帽子>がまだ歌おうとしていた時、誰かがコップを落として割る音が辺りに響き、帽子が歌うのを止めた。
だが数秒後に全員が拍手喝さいをした。四つのテーブルにそれぞれお辞儀して、帽子は再び静かになった。
横にいるメアリーの顔が蒼白になるのが分かり、左腕を掴んでハリーナはずっと摩っていた。
「ハリーナ…私たち、一緒だよ、ね?」気持ち悪いせいか、メアリーは紫色になった唇でパクパクと動かしていた。
「大丈夫だよ、メアリー…。一緒の寮だよ、それに…別の寮だとしても私はどこにも行かないから。」

そしてマグゴナガル先生が長い羊皮紙の巻紙を手にして前に進み出た。
「ABC順に名前を呼ばれたら、帽子を被って椅子に座り、組分けを受けて下さい。」
「アボット・ハンナ!」一瞬だったが、帽子は叫んだ。
「ハッフルパフ!」
それからハッフルパフ・レイブンクローの寮生が多く、次に「ブラウン・ラベンダー」が初めてのグリフィンドールになり、汽車の中で出会った「ロン・ウィーズリー」も「グレンジャー・ハーマイオニー」もグリフィンドールとなった。
ヒキガエルに逃げてばかりいた「ネビル・ロングボトム」もグリフィンドールとなった。
ハリーナが一瞬で嫌いと確信したドラコ・マルフォイはスリザリンと言われた時に、薄気味笑いを浮かべていたのを見逃さなかった。
「ポッター・ハリー!」マグゴナガル先生がハリーナの実の双子の兄でもあるハリー=ポッターを呼んだ途端、辺りがざわつき始めた。

「ポッターって、そう言った?」
「あのハリー・ポッター!?」周りの一年生達もざわつき始めた。
ハリーナは見つめるようにハリーをずっと見ていると、帽子は何か深く考えるようにくねくねし始めた。
それから数分後に帽子は叫んだ。
「グリフィンドール!!」と。
「ハリーナルイリス=スターフィリア!」マグゴナガル先生の目が辺りを伺い、ハリーナはメアリーに別れを告げて、帽子を被った。
すると帽子はハリーナの記憶を見ているように言い始めた。
「ほほぅ…。この学校に双子の兄がいると、な?だがお前さんはその人と同じだな…。
勇気に満ちている、頭は人より遥かに良いみたいだな。才能もある。
おう、なんと、成程…。自分の力は人に役立つように使いたいとな?
さてはて、どこに入れたらいいものかな…。亡くなった肉親たちも偉大になったものだ…。」
ハリーナはずっと今の言葉を誰にも聞かれていませんように、と願うばかりであった。
「ならば…スリザリン!!」
ハリーナはスリザリン生がいる机に行くと、優しそうな人達に迎えられた。
「スリザリンへようこそ!私は四年生のマーライヤ=カリビアン!よろしくね」マーライヤは嬉しそうにハリーナの手を握った。
「ハリーナルイリス=スターフィリアです。宜しくお願いします。」ハリーナが顔を赤らめながらその手を握ると、マーライヤは強く握り返しながら言った。
「Nono!!同じ仲間なんだから、堅苦しい言葉は無しよ。私の事はマーライヤって呼んで。いいよね?」
「う、うん…!!私の事はハリーナって呼んでくれても構わないから!」ハリーナが嬉しそうに言った時だった。
メアリーが嬉しそうにスリザリンの机へとやって来た。
「ハリーナぁ…私も、スリザリンになったよ!!」メアリーはハリーナの横に座ると泣きながら言った。
ハリーナは綺麗に整えられた髪の毛を優しく撫でながら「よしよし。」と言った。
メアリーの後に、ニ〜三人に女の子が二人と男の子が一人、スリザリン生だと決まると宴は始まった。


ハリーナが丁度カボチャのパンプキンパイを食べようとした時、斜め前に座っていた茶色い髪の同じ一年生の子が言った。
「なあなあ!同じスリザリンの寮生だし、この五人で仲良くしようぜ!いいと思わないか?」
「…うん、私は賛成かな…。スリザリンって心が冷たい人ばかりが居るって言うのを聞いてたからちょっと心配だったんだ…。私はステファニー=オリビラ。ハーフなの。
お母さんがマグルでお父さんが魔法使いだったんだ。」肩に触れている髪の毛を揺らしながらステファニーが恥ずかしそうに言った。
その隣に座っている女の子が嬉しそうに言った。
「私はメデューサ=ビレクトロニー。メデューサって呼んで。
私もステファニーと同じでハーフなんだ♪だけど私の場合は反対。
お母さんが魔女でお父さんがマグルなの。結婚する時までお母さん、お父さんに自分が魔女だって事を隠してたらしいの。」
「俺はビクトリオ=アーディガン!ステファニーやメデューサとは違って正真正銘の純血だぜ。
俺ってばさ早く呪文魔法の授業をやってみてぇーっていっつも思ってたんだよなー!」ビクトリオが嬉しそうに言うとハリーナにチョコケーキの欠片をフォークに刺し込みながら視線を送った。
「私は…ハリーナルイリス=スターフィリア。…お父さん、お母さんの事は余り知らないけど…二人が偉大な魔女・魔法使いって事だけは知ってる。」俯きながらハリーナは寂しそうに言うと、メデューサ、ビクトリオ、ステファニーらが顔を見合わせながら聞いてはまずい物を聞いてしまったと言わんばかりの顔をした。
「…ハリーナ…、私はメアリー=マーガレット。
…私のお母さんは、ハリーナのお母さんの友達で少しだけ魔女の血が私にも流れてるって。
本当に私みたいな人に魔法が使えるかは分からないけど、自分なりに頑張ってみるわ。よろしくね」

ようやく歓迎会・組分け儀式が終わる頃。
アルバス・ダンブルドア校長からの最後の挨拶、二言・三言を聞くと一同はそれぞれの監督生の後に着いて各自の寮にへと向かっていった。

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