小説『ソードアートオンライン〜2つのスキルを持つ蒼の剣士〜』
作者:レイフォン()

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第34話 紫電の舞姫


俺とアスナは久しぶりに2人っきりで森林フィールドに来ている。
普段はコバルもいるのだが、今日は休眠状態になっているためかギルドホームにて待機している。
本当にコバルはただの使い魔なのか?ビーストテイマーとなっている俺からすればコバルは異質なものだが……頼れるもう1人の相棒だ。特に気にする必要はないな。


「う…うぅ〜ん!今日はいい天気ね」


「まあ、ここではそう言う風に設定しているのかもしれないが……設定するなら星空とかもしてほしかったよな。特に7月7日とかは」


「そうだね。七夕…おり姫星とひこ星が天の川をわたって会うことを許された特別な日なんだからそう言う設定はしてほしかったなぁ…」


俺とアスナはリアルでは毎年、七夕の時は俺の家の屋上から夜空を眺めるのが行事となっていた。
そのため、どうしても七夕の季節がくるとどうも、調子が狂うんだよな。


ガサガサッ


この森林フィールド…大きく伸びた雑草などが多く、進みにくいな。
アスナも進みにくそうだ。


「もう、なんなのこのフィールドは…」


ご立腹のご様子。


「けど……おかしくないかアスナ」


「…ええ。さっきから一度もモンスターが出てこないわね」


このフィールドに来て数十分が経過したのにもかかわらず、モンスターと一度も遭遇していないし、戦闘もしていない。いくらなんでもおかしいぞ。


「こういうときってな〜んか嫌な予感がするんだよな」


「や、やめてよ!レンの嫌な予感とかって必ず当たるじゃない」


「あ、あはは…」


リアルでも嫌な予感がすると必ず何かが起こる時なのはここでも変わらないのだ。
以前、そのせいで大変な目にあった事があるしな。


そんな事を考えていると


パカァ!


「へっ?」


「なっ!」


俺達の足元に穴が開く。
俺は反射的にアスナの腕を掴み、投げる。


「きゃぁああああ!」


ドサッ!


アスナが地面に落ちる音を聞きながら俺は穴に落ちていった。














〜アスナSIDE〜


「いったたたた……レン!」


私の事を投げたレンがまだ穴の中にいる!
もう、自分の事じゃなくて私の事を心配して!


「レン!無事!?」


穴に向かってしゃべると…


「お、おぉ〜何とか無事だー」


私は索敵スキルでレンがどうなっているかを見る。
レンは2本の剣を足場にしていた。何故かと思うと足元には鉄製の槍が穴の一番下に敷き詰められていた。


「だ、大丈夫なの!?」


「い、いや〜これは少しまずいかも…このまま何とか登ってみたいが…」


バサッ


「!」


シャキィィィン!


私は物音がし他方へレイピアを構えると…


[キキキキキキ!]


烏のような嘴をした顔、黒い羽毛に覆われた体をしたモンスターがいた。
カーソルに名前が出た。


【Karasutengu】……鴉天狗?あれ、確かレンが前に読んでいた本の…源 義経の幼名牛若丸の時に剣術を教えたって言われている名前よね?右手に剣をもっているし……敵よね?


私がそう考えていると


「ぐああああ!」


レ、レンの悲鳴!?


「レン!どうしたの!?」


「わ、わからん。いきなり黒い羽が俺に突き刺さって…うぐ」


レンのHPケージを見ると少しずつ減っている。嘘…毒じゃないわよね。ってことは羽が刺さっているからダメージを……?
…ちょっと待って?黒い羽?


私は鴉天狗を見ると鴉天狗は私を見て笑っている。
間違いないわ…あのモンスターが出て来てからレンにダメージを負っている。
つまり、こいつを倒さないといけないのに!


「はぁああああ!


私は素早い動きで鴉天狗を攻撃するけど…


シュン!


避けられる。


[シャァアアア!]


キィィィン!


避けた鴉天狗は私に攻撃するけど、私はレイピアで防御。
けど、重い…何回も防御してたら武器が壊れるわね。


私は距離を取る。けど、あまり時間をかけるわけにはいかない。
レンはHPがどんどん減っている。レンがいくら戦闘時自動回復スキルをもっていてもダメージの方が大きいみたい。


「はぁあああああ!」


避けられる。もっと…もっと早く!


シュン!ザシュ!


[グギャァアアア!]


翼に刺さって、片方の翼が消える。
気のせいかしら?私、早くなっている?逆に鴉天狗が遅くなっている気が…まあいいわ!
今はレンを助けるのが先決ね!


「はぁあああああ!」


ソードスキル:レ・ミゼラブルの10連撃を食らわす。


ズザザザザザザ!


片翼・手・足・腹・顔……ありとあらゆる場所をついていく。


「これで……」


最後の一撃を…顔に


「終わりよ!」


ザシュ!


突きさす。


パリィィィィン


鴉天狗が消えるのを見た私は急いでレンの様子を見る。


「レン!大丈夫!?」


「……ああ。何とかな」


HPケージはレッドゾーンに入っていた。良かった…間にあったのね。


「今、ロープっぽいのを渡しわね」


「すまないな」


私はアイテムストレージからロープっぽいのを取り出す。


レンがそれを手にするのを確認すると引っ張った。




〜アスナSIDE OUT〜












「いや〜助かったよアスナ。サンキューな」


助け出された俺はアスナに礼を言っている。


「いいのよ別に……夫婦なんだしさ」


顔を赤くしながらそっぽを向くアスナ。う〜む。我が妻は相変わらず照れやさんだな。


「そうだ。思い出したわ!」


「ん?」


「実はレンを助けるためにモンスターと戦ってたんだけどね?」


アスナに聞いた。戦闘中にもっと早くと思っていたら本当に早くなって鴉天狗のスピードを超え、倒した事を。俺はそれを聞いてもしやと思った。


「アスナ。スキル欄を確認してみろ」


「え?スキル欄を?わかったわ」


アスナは目の前で指を動かし、スキル欄を調べている。すると


「あれ?何このスキル。私、知らないわよ?」


「何だって?」


アスナのスキル欄を俺も見る。
そこには


「何々?スキル:紫電の舞姫は俊敏さが50%上昇し、麻痺無効、その他状態異常半減。自身の攻撃(ソードスキルも含む)に紫電を纏わせる事で威力が上昇し、相手の俊敏さを10%下げる事も出来る。この効果は攻撃を与える度に重複する……おいおい」


何と言うスキルだ。いや、俺の二刀流も凄いけどな。


「そっか。だから鴉天狗のスピードも遅くなっていたのね」


納得するアスナ。って、待てよ?


「こんなスキル…情報屋のスキルリストにはない……つまりこれはアスナだけのユニークスキルか」


「…レンと同じかぁ…」


グッ!


何でガッツポーズ!?


「舞姫っていうのもアスナには似合っているな」


「ふふ、ありがとう!」


俺とアスナは帰る事にしたのであった。






――――――――――――――


更新遅れました。
昨日、更新しようと思ったのですが……みなとカーニバルの発売した辻堂さんの純愛ロードをプレイしてたため、更新忘れてました。
ついに出たアスナのユニークスキル。こちらではなく小説家になろうの方での募集をもらったのを使わせてもらいました。




……辻堂さんの純愛ロード…書こうかなw

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