小説『雷の紋章』
作者:Mr,後困る()

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第17話 名も無きポーンの話

―5年前、白の大陸、魔王別荘―

魔王『たまの休みにこうしてのんびり過ごすのも良いねぇ
ウザい戦士が何人かと魔法使いの爺さんが来た事を除けば良い休暇だったよ
良い絵も幾つか手に入ったし』
ふぁーすと『・・・私には貴方のセンスが分らない』
魔王『何で分らな・・・ふぁーすと、庭にまた誰か来たみたい、追い返しといて』
ふぁーすと『はい、すぐに』

―30秒後―

ふぁーすと『魔王様、先日の呪術師が話があるそうです』
魔王『追い返せ』
ふぁーすと『はい』

―10分後―

ふぁーすと『魔王様、連中が生贄を置いて逃げて行きました』

ふぁーすとは茶髪の少女を連れて帰って来た

魔王『またこのパターンか・・・その子が生贄の子?別にそういうの良いから逃がしてあげて』
ふぁーすと『逃がしてやるって言っているのに良いって言うんですよ』
魔王『?へーんなの、君どうしたの?お家に帰りたくないの?』
『帰ってもどうせ辛い事しか無いから』
魔王『???・・・親に苛められているの?』
『親なんか居ない、私は奴隷だし』
魔王『・・・ごめん』
『別に良い・・・私はどうなるの?』
魔王『どうもならないよ、帰って良いよ』
『・・・私を食べたりとかは』
魔王『しないよ、常識的に考えて食人なんて反社会的な事はしないよ』
『魔王からそんな言葉が出るだなんて思わなかった』
魔王『君は後ろ向きだねぇ・・・』
『私の人生は今まで嫌な事しか起きなかった』
魔王『これからもそうだとは決まった訳じゃない』
『決まっているよ・・・私が奴隷で居る限り』
魔王『じゃあ、辞めちゃえば?』
『・・・何を?』
魔王『奴隷である事を』
『・・・無理だよ』
魔王『何故?』
『何故って・・・だって主人達が許さないから』
魔王『じゃあ一生奴隷で居ると良い』
『・・・・・え?』
魔王『君は主人に捨てられたんだよね?』
『・・・まぁ生贄にされたんだからそうでしょうね』
魔王『ならば僕の奴隷もとい従者になれば良い』
『・・・私は人間ですよ?』
ふぁーすと『私だってそうさ』
『え・・・』
魔王『彼女は人間の為に働いていたけど裏切られてね、それ以来僕の下で働いているんだよ』
『・・・・・』
魔王『・・・そう言えば君の名を聞いていなかったね』
『・・・・・私に名前はありません』
魔王『じゃあ名を与えよう『生贄』なんてどうかな?』
ふぁーすと『人の名前じゃないですね』
魔王『僕に全てを捧げなさい、そうすれば今よりも良い世界が見られると思うよ』
『・・・・・』
魔王『・・・嫌なの?』
生贄『・・・・・・・帰っても酷い人生ならば貴方に仕えるのも良いかも知れませんね』
魔王『うん、楽しい人生にするよ』

―現在、白の大陸、街道―

生贄『(貴方にお仕えして最高の人生でした
だからこの人生を壊す勇者を私は討ちに征きます
貴方がくれたこの力で!!)・・・行くぞ!!勇者共!!』



STAGE1:SMOOTH TOWN
BOSS
CODE NAME 生贄
性別:女 出身地:白の大陸、滑らかな町出身 
年齢:年齢不明、推定18歳 本名:無し 本職:魔王の従者 趣味:チェス
技能:特に無し 魔法:使えない 魔王に従っている理由:魔王への忠誠心
戦闘奇械:巨大なチェスのポーン型

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