小説『雷の紋章』
作者:Mr,後困る()

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第24話 鳴き声

―黒の大陸、魔王城、謁見室―

業者「すいませーん、ギャラリーの増設に来た者ですがー」
ふぁーすと「いらっしゃいませ、主は今留守です」
業者「あー、そうですかーじゃーまた来まーす」

バリィィン!!

魔王「待たんかいふぁーすと!!」

窓を打ち破って魔王が中に入って来た

業者「あー魔王様ー久し振りっすー」
ふぁーすと「い、生きていたんですか・・・」
魔王「人を幽霊みたいに言うんじゃない!!
僕は一応君の上司なんだから手加減してくれ!!死にかけたぞ!!」
ふぁーすと「すみませんが接待喧嘩は苦手な物で・・・」
業者「接待喧嘩って何すか?それより仕事の話をしたいんすけど」
魔王「ん?・・・ああ、そうだった忘れていた、じゃあ色々話そうか・・・」


―白の大陸、アルデネン村―

アルデネン村、地理的には白の大陸では最も北に位置する村で
白の大陸は年中通して比較的温暖な気候だがこの村では真夏でも20度を超えない日もあり
冬になると吹雪になる事も珍しくは無い、この村の住民は主に酪農や
寒冷地で育つ穀物を栽培しそれを売ったりする事で生計を立てている

アロア「さぁ、着きましたよ」
ジェニー「やっとか・・・寒っ!!」

ヘンゼルが酔わない様にゆっくり走った為、既に夜中になってしまった

ヘンゼル「・・・・・寒い」
リーゼル「・・・・・大丈夫ですか?」
ジェニー「・・・・・・・・・・・」
エデ「・・・・・アロアさん、何で貴女はこんな寒いのに平然としていられるんですか?」
アロア「この村の冬は大抵この位の寒さですよ、今日は少し暖かい位です」
ヘンゼル「・・・これで暖かい?雪が足首より深く積もっていますよ」
エデ「・・・・・防寒着でも買えば良かったですわね」
ジェニー「・・・だな・・・アロアさん、暗くなってきたし宿に案内してくれませんか?」
アロア「勿論です、ご案内します」

―宿屋『Flanders』―

カランコロン

主人「いらっしゃ・・・アロア!?」
アロア「久し振りジョルジュ、部屋空いてる?」
ジョルジュ「丁度良かった、さっきまで満室だったがつい1時間位前に全員帰った所だ」
ジェニー「ちょっとアロアさん、予約とか取って無かったんですか?」
アロア「すみません、何時もガラガラだった物で・・・」
ジョルジュ「ほっとけ、所で仕事は良いのか?」
アロア「仕事だよ、勇者様一向をこの村にお連れする事」
ジョルジュ「・・・パトラッシュか?」
アロア「・・・・・内緒だがつい先日森に入った王国軍が全滅したらしい」
ジョルジュ「・・・マジか?」
アロア「ああ・・・」
エデ「お二人で盛り上がっている所悪いのですが部屋に案内して貰えませんか?」
ジョルジュ「あ、ああ・・・すまない、今案内しま」

ウオォォォォォオオオオオオオン!!

何処からか何かの鳴き声が聞こえた

リーゼル「い・・・今のは!?」
ジョルジュ「パトラッシュが鳴いているんだ」
エデ「パトラッシュの亡霊の鳴き声ですか?」
ジョルジュ「ああ・・・」
ジェニー「今の鳴き声近くなかったか!?」
アロア「いえ、あれは森の中からの鳴き声です」
ジェニー「森の中から!?すごい大きな声だったぞ!?」
アロア「実際に鳴いている時に森に居た人が居るんですが・・・
あまりにも大声だった為気絶したそうです」
リーゼル「じゃ、じゃあ鳴かれたら気絶で殺されて終わりじゃないですか!?」
ヘンゼル「・・・・・じ」
アロア「じゃあ勇者様方、私は実家の方に戻りますので何かあったらすぐに呼んで下さい」
ジェニー「分りました、ではご主人部屋に案内して下さい」
ジョルジュ「分かった、部屋に案内しよう」

ジョルジュはヘンゼル達を部屋に案内した

ジョルジュ「この部屋だ」
ヘンゼル「ありがとうございます、所でお聞きしたい事があるんですが・・・」
ジョルジュ「?・・・何ですか?」
ヘンゼル「『パトラッシュの亡霊』の『パトラッシュ』って何ですか?」
ジョルジュ「!!」
ジェニー「あ、確かに気になるな・・・教えて貰っても良いか?」
ジョルジュ「・・・アロアから聞いていないんですか?」
ジェニー「いや、全く」
ジョルジュ「そうか・・・じゃあ長話になりますが良いですか?」
ヘンゼル「そんなに長い話なんですか?別に良いですよ」
ジョルジュ「では・・・話しますね」

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